エピローグ
「……ここはどこだろう?」
周りを見るが、暗くて何もわからない。遠くの方で、金属と何かがぶつかる音がしている。誰か近くにいるのだろうか。
音を頼りに暗い空間を歩いていく。
「あっ、光だ!」
前方に小さな光が現れた。歩いていくとだんだんと大きくなり、やがて広間に出た。
コロシアムのような円形の空間。天から一筋の光が差し込んで、闘技場を照らしている。観客席はあるが、誰も座っていない。柱や床などにところどころ、焦げているところがある。
「ーード、ドラゴンッ⁉︎」
灼熱の炎を身にまとう巨大なドラゴンと剣を持った少年が交戦していた。
ドラゴンが炎を吐き、コロシアムが赤く染まる。炎を少年は跳んで回避する。続いて、少年が剣を凍らせ、ドラゴンに斬りかかる。しかし、ドラゴンは大きく息を吸い込み、攻撃体制に入った。
「あっーー」
少年は自分が危険な状態にいることに気づいたようだが、空中にいるため回避が間に合わない。
「ーー間に合ってぇ!」
鞄に入っていた重い剣を取り出し、全力で走る。刀身が黄金に輝き、一直線にドラゴンの足を斬りつけた。
ドラゴンは唸り声を上げ、攻撃ができなくなる。
「ーー今だよっ!」
「はぁあああーーっ!」
少年は動きを止めたドラゴンに氷の剣を突き刺した。そして、剣が突き刺さると、次に炎が剣を覆い、ドラゴンを
ーーウォオオオッ!
ドラゴンは唸り声を上げて数センチ吹き飛んだ。
「……大丈夫?」
ドラゴンが
「この世界まで助けに来てくれてありがとう、風夏」
「えっ、なんで私の名前を知っているの?」
「君の夢はもう終わったのかい?」
ともに戦っていた少年なのだろうか。
「うん、終わらせてきたよ。だから、今度は
自然と私の口から彼の名前が出た。
ドラゴンが起き上がり、
「さぁ、あのドラゴンを倒してしまおう!」
「うんっ!」
私と歩夢くんは剣を握って、ドラゴンに向かって走った。両側からドラゴンに迫っていく。
ドラゴンは私の方を向いた。不意を突かれたことを怒っているのだろうか。
「風夏さん、気をつけて!」
跳躍しドラゴンの炎を避ける。私がいた場所を炎が焼き焦がした。
柱に足をつき、地面に着地する。
「っと、危なかったぁ!」
再び、炎が飛んできたのを柱に隠れて避ける。横を炎が埋め尽くし、燃えるように熱い。
「お返しだよっ!」
剣を振ると剣先から光の魔法弾が出現し、ドラゴンに命中する。
ドラゴンの悲鳴が辺りに響く。
「このドラゴンって倒さないといけないの?」
「倒さないとダメだよ! このドラゴンは幻影なんだからっ、ヤァッ!」
歩夢くんがドラゴンに剣を突き刺し、再び爆発を起こす。ドラゴンが怯んだ。
「ドラゴンが動けないうちに、一緒に攻撃しよう?」
「わかった。それじゃあ、構えて!」
「うん!」
私は剣に魔力を注ぐ。剣が光り出し、剣先に魔法弾が出現する。だんだんと魔法弾が大きくなっていく。最大まで魔法弾を膨らませる。
「三、二ーー」
歩夢くんがカウントダウンを始め、手を大きく上げたのを確認すると、一緒に大魔法を発動する。
「ハァアアアーーッ!」
魔法弾から灼熱の光線がドラゴンに向かって発射される。灼熱の光線はドラゴンの
リコレクション 星宮幽鬼 HoshimiyaYuki @Mamonaka-Yuki
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