第一話 〜学校の噂①〜

 この学校は四階建てで、一階は職員室や事務室、保健室などがあり、体育館には一階の端にある渡り廊下から行くことができる。二階から四階は教室だ。二階が一年生の教室、三階が二年生の教室、四階が三年生の教室となっている。

「--何これっ⁉︎」

「さっそく、変化が起きているっスね」

 二階に上がった私たちは異変に気づいた。

「どうして三階に上がる階段が無いのっ⁉︎」

 昼に来た時にあったはずの階段がなくなっていたのだ。

「それに、どうして廊下の中央に看板が?」

 階段を上った先に見たこともない看板があった。

「看板に何か書いてあるっスよ」

 看板を懐中電灯で照らす。

「--うわぁっ!」

 看板には赤い文字で『一年三組へ行け!』と書かれていた。

「一年三組?」

「とりあえず行ってみましょう」

 暗い廊下を懐中電灯で足元を照らしながら歩いていく。

 一年三組は北西にある教室だ。

「ここだね」

「そうね」

「早く中に入るっス」

 一年三組の教室のドアに手をかける。

「開けるよっ」

 空ちゃんが頷くのを確認して、一気に扉を開ける。

「--っ」

 鍵がかかっているはずの教室のドアが開いた。

「何で開いてるの?」

「鍵をかけ忘れたのかしら?」

「誰かいるっスか?」

 中は何の変哲もないただの教室だった。

 教卓の辺りまで入り、教室を見回す。

「やっぱり何もないよね?」

「ええ……」

 --ガシャンッ!

「ーーっ!」

 音のした方を照らすと、入ってきたドアが閉まっている。

「……空ちゃん、閉めた?」

「いえ、私ではないわ」

 空ちゃんはかぶりを振った。

 ドアを開けようとしたが、いくら力を入れてもドアがくっついてしまったかのように開かない。

「何をしているの、ふうちゃん?」

「ドアが、開かないのっ⁉︎ 鍵がかかっているみたいっ!」

 心臓が激しく脈を打つ。

「一回、落ち着きましょう。教室の中に何か鍵を開ける方法があるかもしれないわよ?」

「そうだね、探してみよう」

 一度、深呼吸をして高鳴る心臓を落ち着かせる。

「うわっ!」

「キャアアア〰〰!」

 廊下側から机の一つ一つを確認していき、窓側の前から二番目の机の中を探していると、空ちゃんの悲鳴が聞こえた。

「どうしたの、空ちゃん?」

「いい驚きっぷりっスね」

「もう、驚かさないでよ、小夏さん」

「千尋ちゃん、空ちゃんが怖がっているからもうやめなよ」

「別に怖くはないわよ?」

「声が震えているっスけど?」

「本当に怖くないわよ。さぁ、探しましょう」

 教室にあるすべての机の中を見たが何も入っていなかった。

「机の中には何もなかったよ」

「ロッカーはどうかしら?」

 ロッカーの中を見ていくが、教科書やノートなどが入っているだけで他には何もない。

「どうしよう、何もないよ⁉︎」

「ここから出られないみたいっスね」

「どうして、小夏さんはそんなに平然としていられるのよ」

「この状況を楽しんでいるからっスよ」

 まだ見ていないところは、掃除用具入れぐらいだろうか。

「掃除用具入れは……」

 掃除用具入れを開けて確認する。

「特にこれといって変わったものは……何だろう、これ?」

「どうしたの?」

 空ちゃんが私の声を聞きつけて来た。

 見つけたものは綺麗に折りたたまれた紙だった。紙を開いて中を読む。

「ヒント。この教室にある秘密のもの……?」

 この教室の秘密って何だろう。

「集まってどうしたんスか?」

 悪戯が好きな千尋ちゃんなら何か知っているかもしれない。

「この教室の秘密って知ってる?」

「この教室の秘密っスか……」

 千尋ちゃんは少し考えていたが、突然歩き出した。

「もしかして、知っているの?」

「二人ともこっちに来るっス」

 千尋ちゃんが立ち止まったのは、窓側の前から二番目の机だ。

「去年はここのクラスだったので。でも、この秘密を知っている人は私を入れても五人くらいじゃないっスか?」

 千尋ちゃんはしゃがんで何かをしている。

「千尋ちゃん、何をしてるの?」

「タイルを取っているっス」

「取ってもいいのかしら?」

 空ちゃんは心配そうに見ている。

「取れたっス」

 床のタイルが取れ、穴が出現した。

「下に行ける階段があるっス。行くっスか?」

「私は行かないわっ! 何があるかわからないもの」

「でも空ちゃん、行かないと出られないよ?」

「それでは、空から行ってみるっス」

「イヤよ。先を知っている小夏さんから行けばいいじゃないっ!」

 千尋ちゃんは下りたことがあるのだろうか。

「私も降りたことはないっスよ。だから、どこに繋がっているかは知らないっス」

「じゃあ、私から行くよ」

 仕方がないから、私が先導する。

「お願いするっス」

「私は二番目に行くわ」

「やっぱり怖いんスね」

「別に怖くないわよ」

 私は階段を下り、二人が下りてくるのを待った。


 今までは月明かりなどがあり少し明るかったが、階段を下りた先は真っ暗だ。そして、風が通ることがないのか蒸し暑い。

「ここってどこかしら?」

「つうろ? この先に行ったら、どこかに繋がっているのかな?」

「行ってみるっス」

 私、空ちゃん、千尋ちゃんの順で、暗くて狭い通路を歩いていく。

 懐中電灯で周りを照らしてみるが、特に何もない。

「行き止まり……いや、ドア?」

 壁と同じ色でわかりづらいが、ドアがあった。

「どこに繋がっているのでしょう?」

「開けてみようか」

 ドアを開けて、懐中電灯で先を照らす。

「今度は上に上がる階段のようね」

「また二階に戻るのかな?」

「これは噂でいう十三段しかない階段では?」

「私たちここで死んじゃうの⁉︎」

 背筋がゾッとした。

「冗談っスよ。ちゃんと帰れるっス」

「根拠はあるの?」

「私の勘っス」

 千尋ちゃんの勘はどれくらい当たるのだろうか。

「上ってみるよ」

「ゆっくり行けば大丈夫よね」

「後ろは見ておくっスね」

 ゆっくりと階段を上っていく。

 懐中電灯を持つ手が震えて、光が揺れている。

「もう。十三段は超えたよ」

「良かった」

「千尋ちゃん、大丈夫だったよ」

 下にいる千尋ちゃんに呼びかけると、千尋ちゃんが駆け上がってきた。

「もしかして、怖かったのかしら?」

「いや、怖くないっスよ。逆に何もなくてつまらないっス」

 何も起こらない方が安全でいい。

 私たちは再び上り始める。

「ねぇ、この階段、長くない?」

「そろそろ、二階についてもいい頃よね?」

「それには同感っス」

 学校の一階分の段数は二十四段だ。もう三十段は上っている気がする。

「また、ドアだ」

 今度は壁の色とは違い、緑色のようだ。

「早く、開けて、ふうちゃん!」

 空ちゃんが震える声で言う。

「どうしたの、空ちゃん?」

「さっきから、何か音が聞こえるような気がして……」

「気のせいっスよ。私は何も聞こえないっス」

「少し静かにしてみよう?」

 辺りは静寂に包まれた。耳を澄ませて音を聞く。

「……風かな?」

「確かに小さいけど、足音が聞こえるっス! 早くドアを開けてっ!」

 千尋ちゃんが慌てて言うから、私はドアを押し開けた。

 ドアの先は教室が並ぶ廊下だった。いつもの風景に少し安堵する。

「ここは何階だろう?」

 もしかしたら、ここは三階かもしれない。

「……ねぇ、誰かあそこにいないかしら?」

 前方に人影がある。

「手、繋いでもいいかしら?」

「うん、繋ごう」

 暗くてはぐれるかもしれないし、何かに連れて行かれる可能性もある。しっかりと手を繋いでおこう。

「二人とも怖がりっスね」

「小夏さんも繋ぐ?」

「私はいいっスよ。怖くないですし」

 前にいる人はまだ気付いていない。

「まだ気付かれていないみたいだね」

「気付かれないうちに、何階に来たのか確認しておきましょう」

「千尋ちゃん、どうしたの?」

 振り返ると、千尋ちゃんはドアを見ていた。

「さっきの足音が少し気になっただけっス」

「千尋ちゃんも手を繋ごう?」

「いや、私はいいっスよ。本当に少し気になっただけっスから」

 近くにあった教室に行き、クラスを確認する。

「ここは、二年三組……ってことは、やっぱり、三階だったんだ!」

「ここが三組ということは反対側はウチらのクラスよね?」

「そうなるっスね」

 一応、反対側も確認する。

「良かった、四組だよ」

「……ねぇ二人とも、こっちを見ているわよ」

「--えっ、何がっ⁉︎」

 心臓が思い出したかのように動悸し始める。

「ゆう、れい……かしら?」

 空ちゃんは一歩後ずさった。

「あら、風夏さんに空さん、それに千尋さんも? こんなところにどうしていらっしゃいますの?」

 この場違いな明るい声音には聞き覚えがあった。

「もしかして、霊華、ちゃん?」

「そうでございますわ」

 そういえば、二階より暗い気がする。月が陰ってしまったのだろうか。

「霊華ちゃんは何をしているの?」

「私はこれから帰るのですわ」

 どうしてこの時間まで学校にいるのだろうか。

「今まで何をしてたんスか?」

「私は補修が終わった後、教室でずっと復習をしていましたわ。それより、あなたたちは?」

「私たちは自由研究のテーマを天体観測にしようと思って、屋上に行くところだったの」

「まぁ、そういうことでしたら、私も連れて行ってくださいまし。私も自由研究をしに行きますわ」

「いいよね、空ちゃん?」

「多い方が怖くないものね」

 霊華ちゃんが仲間になった。

「やっぱり怖いんだ」

「霊華ちゃんが怖いのかもと思って言っただけよ」

 この二人のやりとりは放っておいて、上の階に行く方法を考えよう。

「ねぇ霊華ちゃん、ここの階に階段ってある?」

「もちろんですわ。学校に階段が無いなんてことはないですわよ?」

「そ、そうだといいんだけど……」

 この階にいた霊華ちゃんがそう言うのならあるのだろう。

「二人とも置いて行っちゃうよ」

「待ってください」

「置いていかないでほしいっス」

 いつも上ってきている階段があるところに辿り着いた。

「これはどういうことかしら?」

「おかしいですわね。確かに先程まではありましたのに」

 階段があるはずの場所には大きな絵が飾られていた。

「この絵は何だろう?」

「これは地図、かしら?」

 空ちゃんはこの絵が何を示しているかわかったようだ。

「どこをどう見たら、地図になるんスか?」

「あっ、わかりましたわ」

 霊華ちゃんと空ちゃんが交互に説明してくれた。

 一見、中央の赤い花が全体につるを巻きつけているような絵に見えるが、右上、右下、左上、左下には空間が空いている。空ちゃん曰く、この空間が教室ということだった。そして、霊華ちゃん曰く、赤い花がこの絵がある現在地ということだった。

「これが地図だとして、どうすれば上に行けるのかな?」

「まずは教室に行ってみるのがいいんじゃないかしら?」

「そうですわね。何か手がかりがあるかもしれませんものね」

「四人いるんだし、それぞれ別の教室に行ったらいいんじゃないっスか? その方が効率が良さそうだし」

 千尋ちゃんはまた空ちゃんを揶揄からかっているのだろうか。

「何かあった時のために、二手に別れるのがいいと思うわ」

「やっぱり怖い感じっスか?」

 千尋ちゃんはやはり揶揄うことが目的だったらしい。

「何かあったら危険じゃない。小夏さんは一人でも大丈夫だろうけどね」

「みんなで行った方が協力できるし、いいと思うな」

 このやりとりは聞き飽きたため、中断させる。

「風夏ちゃんもこう言っているし、そうしましょう」

「私も賛成ですわ!」

「仕方ないなぁ。それじゃあ、どこから行くっスか?」

「私たちのクラスからでいいんじゃない?」

「そうですわね。この階でよく知っているクラスですものね」


 私たちは二年四組の教室に入った。

 --ガシャンッ!

「--えっ、また⁉︎」

「またってどういうことですの?」

「下の階でも同じことがあったのよ」

「その時はどのように脱出しましたの?」

「今とは状況が違うけど、机の下に階段があってそこから三階に来たんスよ」

 ここで何をすればいいのか考えなくては。

「あれ、教卓の上にボタンってあったっけ?」

「明らかに怪しいボタンっスね。押してみるっス」

「えっ、押しちゃったの⁉︎」

 見るからに怪しいボタンが教卓の上にあり、そのボタンを千尋ちゃんは押してしまった。

 --カチャッ!

 鍵が解除される音がした。

「これで外に出られるの?」

「安心するのはまだ早いわ。あれを見て!」

 空ちゃんが指差す方を見ると、教室の後ろの椅子が私たちの方へ動いている。

 --ズズッ、ズズッ!

「慎重に外に出た方がいいですわ。下手に動くと襲ってきますわよ〰〰!」

 そう言いつつ、霊華ちゃんがいち早く走って出口へと向かう。

「椅子が追ってくるよ〰〰!」

「きゃ〰〰!」

「何これ、超楽しいっ!」

 二年四組の教室内に三人の悲鳴と一人の楽しそうな声が響いている。

「早くしてくださいましっ!」

 一足先に外に出た霊華ちゃんはドアを閉める準備をしている。

 私に続き、空ちゃんも教室の外に飛び込む。

 霊華ちゃんは私たちが出たのを確認すると、急いでドアを閉めた。

「これで大丈夫ですわよね」

「えぇ、おそらくね」

「怖かった〰〰」

 まだドキドキしている心臓を鎮めるために、座って深呼吸する。

 --ドカンッ!

 二年四組の教室から鈍い大きな音がした。

「中で何が起きたのっ⁉︎」

「椅子が爆発でもしたんですの?」

 中の様子が気になるが、ドアを開けたくない。

「そういえば、千尋ちゃんは?」

 千尋ちゃんの姿が見えない。

「出てきたはずじゃ--」

「まだ中にいるんですのっ⁉︎」

 --ガラッ!

 二年四組の戸が突然開いた。

「「「--キャァァァッ!」」」

 三人の悲鳴が重なった。

「そんなに驚いてどうしたんスか? 何かあったんスか?」

 千尋ちゃんは平然とした様子で教室から出てきた。

「椅子に襲われたのかと思いましたわ!」

「無事でよかった」

 千尋ちゃんが無事で本当に良かった。

「何をしていたのかしら?」

「椅子なら退治しておいたっスよ」

 教室内を覗くと、黒板の前に椅子の破片が散らばっていた。

「何をしたの?」

「一応、学校の備品よね?」

「逃げ回っていたら、追ってこなくなっていたっス」

 千尋ちゃんは笑顔で言った。

「あと三つもこんなことが起きたら、心臓が止まりますわよ!」

「生きて帰れるかしら?」

「早くここから出るために、落ち着いたら行こう?」

「早く行かないと、朝になっちゃうっスよ」

「それは困るわね。でも、心臓がもたないわ」

 少し休憩し、次の教室へ向かう。


「ここは三組の教室だよね?」

「ええ、そうよ」

「さぁ、行きますわよ」

「レッツゴーっス!」

 千尋ちゃんがドアを開け、私たちは中へ入った。

 --ガシャンッ!

「またですのね」

「この階では全部の教室で閉まるのかもね」

「もう椅子は動かないわよね?」

 椅子を確認してみるが、特におかしなところはなさそうだ。

「手がかりは黒板の文字とプロジェクター、かしら?」

「そうっスね。それで、何をしたらいいんスかね?」

 黒板には文字が書かれ、天井にプロジェクターが設置されている。

「プロジェクターは後にするとして、黒板のヒントからだね」

 黒板に書いてある文字を読み上げる。

「『この教室にあって、他の教室にないものを探せ。そして、それを使い、この部屋から出ろ!』だって。この教室だけにあるものって、プロジェクターのことかな?」

「プロジェクターを使うためにはリモコンとパソコンが必要ですわよ?」

「リモコンとパソコンね。リモコンはどこかに隠されているとして、パソコンはすぐに見つかっても良さそうだけれど……」

 もし、パソコンがあるならすぐに見つかりそうだが、教室中を見回した感じではどこにもなさそうだ。

「とりあえず、リモコンを探さないとっスね」

 まずはリモコンを探すことになった。

 私は教室中を周り、おかしな点を探したが特になかった。

 何分経っても見つからなかったため、一度集合して情報を交換する。

「教卓の中にはありませんでしたわ」

「みんなの机の中にもなかったわ」

「ロッカーの中にもなかったっスね」

 ヒントが黒板に書かれている内容だけでは、ある場所が絞れない。わかっているのはこの教室内にあるということだけだ。

「三組の秘密も知らないしなぁ」

「下の階では秘密があったものね」

 みんなもこの教室の秘密は知らないようだった。

「まだ見ていないところといったら、掃除用具入れの中ぐらいね」

「開けてみようか」

 私と空ちゃんで掃除用具入れを探す。千尋ちゃんと霊華ちゃんには他のところを探してもらっている。

「変わっているところはないね」

「ここでもないとなると、わからないわね」

 これでもう、本当に詰みだ。

「ヒントがもう少しあればいいのだけれど……」

 ヒントか。他に手がかりはないのかな。

「もう一度、最初からやり直してみる? 何か見落としているところがあるかもしれないよ」

「そうね。そうしましょうか」

 千尋ちゃんと霊華ちゃんにも声をかけ、探したところををもう一度見てみることにした。

「あっ、もしかして、黒板に秘密があるとかっ!」

「試してみてもいいかもしれないわね」

「そんなところにあるっスかね?」

 黒板の怪しそうなところを探す。

「あれ、ここに何かある?」

 黒板の端を探していると、小さな穴が空いていることに気づいた。

「どれですの?」

 私の声で霊華ちゃんと千尋ちゃんが来る。空ちゃんはまだ丁寧に黒板を探している。

「細いものがあればいいんだけど、何か持ってない?」

「名札の針で良ければありますわ」

「さすが、優等生っスね。名札なんてどこにいったかわからないなぁ」

「小夏さんは二学期からどうするつもりですの?」

 私は霊華ちゃんの名札を受け取り、裏に付いている針を穴へと差し込む。

「何か手応えはあったんだけど、何も起きないね」

「ちょっと貸してくださいまし」

 霊華ちゃんに名札を返すと、霊華ちゃんは同じように穴へと差し込んだ。

「いや、何度やったって同じっスよ? もう点いているっスから。それにしても何を表しているっスかね。私にはサッパリっスよ」

 千尋ちゃんは黒板の方を見ている。

「どうして、プロジェクターの電源が点いているの⁉︎」

 何も知らない空ちゃんは驚いている。

「ここに穴があったから、差し込んでみたら点いたの」

「そうだったのね。それで、この写真は何かしら?」

「この教室のようですわね」

 このクラスの写真のようだが、一番左のロッカーの前あたりに赤い点がある。

「この赤い点のところに何かあるんスかね?」

 写真の赤い点が示しているところに行ってみるが特に何もない。

「下を見て、あの写真と同じように赤い点があるわ」

 さっき見たときは何もなかった気がする。

「ここに何があるっていいますの?」

「下の階の時と同じ仕掛けっスかね?」

 千尋ちゃんは床を触って何かを確認している。そして、タイルを剥がした。

「--やっぱりっ!」

 タイルの下には小さなスイッチがあった。

「押しても大丈夫かしら?」

「椅子が動いたら、全力で逃げますわよっ!」

「準備は大丈夫だよっ!」

「それじゃあ、押すっス!」

 --カチャッ!

 ドアのロックが解除されたようだ。

「椅子は……動きませんわね」

「良かった〰〰」

 今度は千尋ちゃんも一緒に脱出する。

 無事に二部屋をクリアできた。残るはあと半分だ。

「少し休憩してから行きましょう」

 空ちゃんに賛成し、少し休憩する。

「ここって本当にウチらの学校なんだよね?」

「どうっスかねぇ? ウチらの学校ぽいっスけど、実は裏の世界に迷い込んでいるのかもしれないっスよ?」

「そうですわね。階段がなかったり鍵がなくてもロックが解除されたり、謎なことが多いですわよね」

 どこか違う世界に迷い込んでしまったのだろうか。

 ふと隣を見ると、空ちゃんが震えていた。

「空ちゃん、大丈夫?」

 千尋ちゃんに気付かれないように小声で訊く。

「だ、大丈夫よ」

 空ちゃんの声は消えてしまいそうなほど小さかった。

「休むこともできたし、そろそろ行きませんこと? ここにいると不気味な雰囲気でおかしくなりそうですわ」

「賛成!」

「いつでも大丈夫っス」

「私も大丈夫よ」

 空ちゃんは蚊の鳴くような震えた声で言った。

 私たちは次の教室へと向かう。


「二年二組だね」

「階段を挟むからあまりこっちに来ることがないし、よく知らないのよね」

「私もですわ。他クラスには用もないのに入ってはいけない決まりがありますものね」

「とにかく、中に入ってみようよ!」

 二年二組の教室に入ると、ドアが閉まり、鍵がかかった。

「あの箱は何ですの?」

 霊華ちゃんが指差した方を見ると、教卓の上に箱などが置いてあった。

 教卓の近くに集まり道具を確認すると、箱には赤、青、黄、緑の枠が描かれていた。箱の横には枠の色と同じ四色のペンと、ホワイトボード消しのようなものが置いてあった。

「きっと、枠と同じ色のペンを使って何か描くんだね」

「それしか考えられないですわね」

「それと、黒板に書かれていることがヒントね」

 黒板にはこの教室の地図が描かれていた。前のドアに近い机の床と窓側の一番後ろの机の床に何かあるらしい。他の二つのヒントも書かれている。

「ドアの方には赤色で『四』って書いてあるよ」

 私はドアに近い机の床を見に行き、報告する。

「窓際の方は緑色で『一』と書かれていますわ」

「赤が『四』で、緑が『一』ね」

 私が教卓へ戻ると、空ちゃんが赤と緑の枠にそれぞれの色ペンで数字を書いていた。

「あと二つっスね」

「そうね。あとはヒントを使えばわかるんじゃないかしら?」

「ヒントの謎を説くところからですわね」

 ヒントを読んでみる。

「『一つ目は下の階でやったことを再び行う。二つ目はいらなくなったものを集めておく容器の中にある』だって。一つ目はタイルだとして、二つ目はどこかな?」

「一つ目からやってみましょう」

 二階の時と同じ配置にある机の下のタイルを剥がそうとする。

「あれ、おかしいなぁ。確かにここだと思ったんスけどね」

「タイルを剥がすことはあっているけど、場所は違うようね」

「どうやって探しますの?」

「一個一個剥がしてみるとか?」

「そんなことをしていたら、日が明けてしまいますわよ!」

「黒板以外にもヒントがあるのかもしれないわ。探してみましょう?」

「そうっスね」

 ヒントが少なすぎるため、ヒントを探す。

「こっちにはありませんわね」

 教卓や前の方の机を見ていた霊華ちゃんが言った。

「こっちにもなかったわよ」

 後ろの方の机を探していた空ちゃんが言った。

「あっ、これがそうかな?」

「そうっスかね」

 私と千尋ちゃんは掃除用具入れに貼ってある一枚の紙を見つけた。

 始めは掃除当番の表だと思ったが、これは確実にヒントだ。

「『下の階と同じところに仕掛けるのはキツかったから、一つ前の机に仕掛けた』だって!」

「これはヒドイっスね」

「もう何なのよ!」

「……拍子抜けしますわ」

 一番近くにいた霊華ちゃんに床のタイルを剥がしてもらう。

「あっ、取れましたわ! この紙が暗号ですわね」

 霊華ちゃんは綺麗に折りたたまれた紙を開いている。私がその紙を懐中電灯で照らした。

「黄色で『七』と書かれていますわ」

「黄色が『七』ね」

 あとは青だけだ。

「いらなくなったものを集めておく容器だよね?」

「そうですわね、そんなものこの教室にないですわ」

「ゴミ箱とかはどうかしら? いらなくなったものをゴミ箱に集めていると考えたら当てはまるわよ」

 ゴミ箱を開け、懐中電灯で中を照らしてみるが、何も入っていなかった。

「ここじゃないとしたらどこだろう?」

 ゴミ以外に学校でいらなくなったものを集めておく容器があるだろうか。

「学校でいらなくなるものって何ですの?」

「消しゴムのカスとか紙屑かみくずとかっスか?」

「紙屑……もしかして、この教室では紙を再利用している、とか?」

「それはあるかもしれないわね。古紙入れを探してみましょう」

 見た感じではケースらしきものはない。

「あったっス!」

「どこにあったの?」

「ロッカーの中っス」

 千尋ちゃんのところに集合する。

「中に何かあった?」

「一枚の紙が入っていたっス」

「何が書かれているんですの?」

 千尋ちゃんは紙を取り出して内容を読んだ。

「青で『七』っス」

「青で『七』ね」

 空ちゃんが青色のペンで数字を書いている。

 できた数字は『四七七一』だ。

「……なんか不気味な数字っスね」

「どうして?」

「だって『四七七一』ということは『死なない』っスよ?」

「偶然かな?」

「偶然だといいっスけど」

 --カチャッ!

 千尋ちゃんと話していると、箱のロックが解除された音が聞こえた。

「えっと……最後はやっぱりボタンなのね」

「逃げる準備はできていますわ」

 霊華ちゃんはドアの前にいる。

「押すよ?」

「いいっスよ」

 私はボタンを押した。

 --カチャッ!

 ドアのロックが解除された音がして、急いで教室を飛び出す。

「今回も何もなかったようね」

「良かったっス」

「別に動くのを見てからじゃないと出られないわけでもないから、すぐに走れば良かったんだよね」

 三つ目の謎を解き終え、廊下で一息つく。

「あと一部屋だね」

「気を抜かず、頑張りましょう!」

「上にもう一つエリアあるんですわよね……」

「それは言っちゃダメっス」

 体力を使ったのは追いかけられた一度きりだが、謎を解く思考力と緊迫した空気感で精神的なダメージは大きい。

「今って何時なのかしら?」

「もう九時は過ぎたかな?」

「教室の時計は壊れているのか、どこも違う時間でしたし、わかりませんわね」

 早く出たくて次の部屋に進みたいという気持ちと、次の部屋で何が起きるかわからない恐怖心がぶつかり合う。

「ここにいても仕方がないし、先に行くっスよ」

「そうだね、行こうか」

「弱音を吐いていても仕方ないですわよね。今はここを出ることを考えましょう」


 最後の教室、二年一組に行く。

「開けるよっ」

 ドアを開けて、中へ入る。

 --ガチャッ!

 鍵がかかる音がした。

「これが最後ですわよ」

「何があるかわからないから、気をつけましょう」

「黒板にまた何か書いてあるっスね」

 黒板にはチョークで文字だけが書かれている。

「『四つのボタンを探して、ここから出よ!』だって。一つは机の上にあるね」

 中央の机の上にボタンが置いてある。

「先に押すっスか?」

「どうしたの、千尋ちゃん? さっきまですぐに押していたのに」

「このボタンは何かあるっス」

「そうね。まだやめておきましょう。また動く仕掛けがあったら、探すどころではなくなるわ」

「他のボタンを先に探した方が良さそうですわね」

 中央の机のボタンはひとまず置いておいて、他の三つのボタンを探すことになった。

「他のボタンのヒントはないかしら? 手がかりがあれば簡単なのだけど」

「黒板の下の方に矢印が書いてあるよ?」

 黒板の中央下に、チョーク入れに向かって矢印が描かれていた。

「二つ目はチョーク入れの中というわけですわね」

「出してみるね」

 私はチョーク入れに手をかけた。

 --ガチャンッ!

「--何してるんスかっ⁉︎」

「えっ⁉︎ まだ触れただけなのにっ!」

「どういうこと、ですの?」

 手を触れた瞬間、勝手にチョーク入れが床へと落下した。チョーク入れの中にチョークはなく、ボタンだけが入っていた。もしも、チョークが入っていたら、粉々になっていただろう。

「ボタンは中にありますし、あっていた、ということですわね」

「これもまだ押さない方がいいよね?」

「いや、仕掛けが先にあったから大丈夫じゃないっスか?」

「仕掛けが一つしかないとは限らないわよ? だから、絶対に押しちゃダメよ」

「その可能性はあるっスね」

「やっぱり、他のボタンを探して最後に押そうか」

 これも押すのは後にして、他のボタンを探すことにした。

「手がかり、ヒント、ないかな?」

「これってボタンよね?」

 ロッカーを探していた空ちゃんが言った。

「本当だ、ボタンだね」

「見えるところにもあるのですわね」

 見つかっていないボタンはあと一つだ。

 掃除用具入れにあることが多いから、見てみることにする。

「掃除用具入れを見てみるっスね」

 千尋ちゃんが先に掃除用具入れを開けていた。

「何もないっスかね。ちょっと空に来てもらいたいっス」

「どうしたのよ?」

 空ちゃんは千尋ちゃんに呼ばれて、一緒に確認している。

「普通にあるじゃない」

「ドンッ!」

「キャァァァ〰〰ッ!」

 千尋ちゃんが空ちゃんを掃除用具入れに閉じ込めた。

「どうなっているのっ⁉︎ 誰か開けて〰〰っ!」

「アハハハハ、ハハハッハハハ」

 千尋ちゃんは悪役のように大爆笑している。

「もうやめてあげなよ」

 私は掃除用具入れを開けた。

「いい加減にしてほしいわぁ」

「ボタンはありましたの?」

「ええ、あったわ」

 空ちゃんはボタンを持っていた。

「これで四つ揃ったね」

 ボタンが見つかり、胸をなでおろす私たち。千尋ちゃんはまだ笑っている。

「気を取り直して、どれから押すっスか? このボタンには番号が書いてあるっスけど」

「真面目にやっていないのはあなただけよ」

「いいじゃないっスか。こういうのは楽しまないと損っスよ。こんな体験は二度とできないかもしれないっスから」

 掃除用具入れのボタンを確認すると『二』と書かれていた。

「他のボタンにも書かれているようですわね」

 他のボタンを見ると、全てのボタンに番号が書かれていた。

「気がつかなかったわ」

「この番号の順に押していけばいいんスね?」

「それで大丈夫だと思うよ」

 ボタンに書かれた番号の順で押すことになった。一番はチョーク入れのボタン、二番は掃除用具入れのボタン、三番は机のボタン、四番はロッカーのボタンだ。

「チョーク入れのボタンを押すっスよ」

「逃げる準備はできておりますわ」

 霊華ちゃんは走る用意をしている。

「まだ大丈夫だと思うわよ、一つ目だし。これで、追いかけられたら、番号をつけた人を恨むわ」

「それじゃあ、押すっスよ」

 千尋ちゃんはボタンを押した。

 ドアの方からベルの音がする。

 どうやら、一つ目のロックが解除されたようだ。

「つまらないっスね」

「何も起きなくてよかった」

「二番目は私が押すわ」

 空ちゃんが掃除用具入れに行く。空ちゃんはいつになくやる気だ。

「いつでも大丈夫ですわ」

「押すわよ!」

 空ちゃんがボタンを押した。

 --パチッ、パチパチッ!

「うわーっ!」

「キャァァァ〰〰〰〰っ!」

「何事ですのー⁉︎」

「ビックリしたぁ!」

 ボタンを押した瞬間に教室内の電気が明滅し、みんなで叫んだ。

「これで終わりかな?」

「びっくりしたわぁ」

「死ぬかと思いましたわ!」

「楽しい仕掛けをありがとう」

 一人だけ感謝をしている。

「つ、次にいきましょう」

「次も楽しませてよね」

 気を取り直して次のボタンへ。

「次は私が押しますわ」

 霊華ちゃんが中央の机に向かう。

「何も起きないでくださいまし」

 霊華ちゃんはボタンを押した。

 --ガシャーンッ!

 窓ガラスの割れる高い音がした。

「「「キャァ〰〰ッ!」」」

 千尋ちゃん以外の三人の悲鳴が教室に響いた。

「今度は窓ですの。もう、やめてほしいですわ」

「ほんと、心臓に悪いわね」

「楽しい!」

「あと一つだよ」

 空ちゃんと霊華ちゃんは叫んで疲れているようだ。もちろん、私も疲れた。

「最後は私が押すね。だから、みんなはドアの近くにいていいよ」

「わかりましたわ」

「ありがとう、ふうちゃん。あとは任せたわ」

「よろしくっス」

 三人は前のドアに行く。

「それじゃあ、押すよ」

 私はロッカーの中にあるボタンを押した。

 --ガタンッ!

 --カチャッ!

 掃除用具入れとドアから音がした。

 空ちゃんと霊華ちゃん、千尋ちゃんは教室から脱出する。

「……どうやって出たらいいのかな?」

 教室に一人取り残された私は、掃除用具入れから出てきたほうき対峙たいじしていた。

 箒はゆっくりと私に近づいてくる。

「椅子の時と同じだね」

 私もゆっくりと前のドアへ向かう。箒から目を離さないようにして。

 黒板の前に行った時、急に箒の動きが速くなった。

「--嘘っ⁉︎ 間に合って⁉︎」

 ゆっくりと歩いていたら、箒が飛んでくる。ここは走って切り抜けるしかない。

「--急ぐっス!」

 千尋ちゃんがドアから覗いている。

 黒板の端から一気に廊下へ飛び込む。

 --箒が足に掠った。

 勢いに任せて教室の外に転がり込む。

「--閉めてっ‼︎」

 私は叫んだ。千尋ちゃんが急いでドアを閉めてくれるだろう。

 --ドンッ、カタカタ、カタカタッ!

 ドアは箒が挟まって完全には閉まっていないのか、小刻みに動く音がしている。

「こ、れ、どうしたら、いいっスか〰〰〰〰っ⁉︎」

「私に訊かれても困るわよっ!」

「箒をどうにかすればいいのですわねっ!」

 霊華ちゃんが勢いよく箒に体当たりをする。

 --ガンッ!

「箒って意外と固いですわね」

 箒に霊華ちゃんが体当たりしたことによって、ドアは完全に閉まったようだ。

「これで大丈夫ですわね」

「どうなることかと思ったわ」

「--っ」

「ふうちゃん、大丈夫?」

「だ、い、じょ、う、ぶ〰〰」

 教室の外に飛び込み、着地に失敗したため、壁の方まで転がってしまったようだ。まだ、頭がクラクラしている。空ちゃんに支えてもらい、起き上がった。

「これで上の階に行けるよね?」

「ええ、おそらくは」

 始めに見た赤い花の絵のところに行く。

「な、なにこの絵⁉︎」

 絵の花やつるは燃えていた。

「どうすればいいのかしら?」

 --ガタンッ!

「--あっ、絵が落ちたっス!」

「またボタンですのっ!」

 絵が落ちたことによって、裏にあった赤いボタンが姿を現した。

「始めから取ることはできなかったのかしら?」

「四つの部屋をクリアしないと取れないようになってたんだと思うよ?」

「今までのことを無駄にしたくありませんわっ! クリアしないと取れなかったことにしておきましょう」

「楽しかったからいいっス」

 始めから取れたとは思いたくない。

「このボタンは押しても大丈夫よね?」

「これを押せば、階段が出てくるんだよね?」

「きっと、そうですわ!」

「いや、楽しいことが起こるかもよ?」

 千尋ちゃんは楽しんでいる。一体、何が起こったら怖がるのだろう。

「それじゃあ、行くわよ。せーのっ!」

 ボタンを四人で押す。

 --ゴンッ!

 音とともに壁が開き、階段が現れた。

「うわぁ、すごい!」

「やっと、上に行けるわね」

「この調子で四階も行きますわよ!」

「楽しいことが私を呼んでいるっス!」


「何これっ⁉︎」

「どうなっていますの!」

「楽しいとは違うかなぁ?」

「いつの間にか雨が降って遠くの方で雷が鳴っているわね」

 空ちゃんはあまりの異質さに信じられないのか、外を見ている。

 四階は雨が降っているからか暗く、異質な空気が漂っていた。

「ここって学校だよね?」

「不穏な気配が漂っていますわね」

「何か気味が悪いっス!」

「何からすればいいのかしら?」

 空ちゃんは受け入れたようだ。

「そうですわね。私も気を取り直していきますわ。まずは情報収集ですわね」

「そうだね。屋上に行く手がかりを見つけないと」

「なんで夜に学校なんて来ちゃったんだろう? これじゃあ、全然楽しくないよぉー」

 今までとは違う禍々まがまがしい雰囲気の廊下で手がかりを探す。

「これは何かしら?」

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