第14話 カミヨムショップ予告

 



「次はまだイベント発生には早いかな。もう少し二人の関係を深めてから、格上のボスと戦うイベントに突入がいいよね。そこで主人公が先輩にいいとこを見せてっと……実際は夢の世界では逆だけどね。小説のようにはいかないもんだなぁ……」


 僕は学校から戻ってすぐに小説の続きを書いていた。


 ドリームタブレットを机にの上に固定して、外部ツールのキーボードを無線接続できたのでそれを使って書いているところだ。


 パソコンにはいつでも調べ物ができるように検索サイトを立ち上げ、集中力が途切れないように携帯はマナーモードにしている。別に誰からもNine来ないけどね。


 それにしても小説内の進行と、実際の夢の世界での進行の乖離度といったら凄いな。やっぱり神ショップのコストが倍というのが大きいよね。魔法武器とか強力なのがあるんだよね。作中では魔法武器を手に入れてから先輩が無双状態だ。


 でも夢の世界ではマイペースでいいや。小説みたいに先輩と簡単に親密になれたりしないしね。


「よしっ! 見直し……確か推敲すいこうって言うんだっけ? まあそれもしたし投稿しようかな。またポイント増えるといいな」


 僕は書いた最新話の投稿をして、カミヨムサイトのメニュー画面へと戻った。すると運営からのお知らせがあり、開いてみるとそこには『ランキングとカミヨムショップ実装のお知らせ』と書かれていた。


「とうとう来週実装されるのか。僕はどれくらいのランキングなんだろ? あっ! ショップのラインナップ予定の商品が見れるみたいだ。一部だけみたいだけど予告ってことかな? どれどれ……ゲーム機とかあるかな……え? は? 」


 お知らせに予告なのだろうか? 一部の商品が記載されているようなので僕は画面を下へスクロールした。しかしそこに書かれていた内容は僕の想像とはまったく違う物だった。




【カミヨムショップ販売予定商品(一部)】


 ○【ドリームタイム2倍チケット】……ドリームタイムが2倍になる。

 ○【健康体】……体質が改善し健康になれる。あらゆる持病が治る。

 ○【成長1】……身長が10cmアップする。

 ○【成長2】……バストが1カップアップする。

 ○【魅力】……魅力がアップして第一印象で好感を得られやすくなる。

 ○【記憶力】……記憶力がアップする。

 ○【筋肉体質】……筋肉がつきやすくなる。

 ○【減量体質】……痩せやすくなる。

 ○【因果応報】……悪意を向けてきた相手が相応の不運に見舞われる。

 ○【ラッキースケベ体質】……1日一度ラッキースケベが起こる。


 ※価格は2000G以内になる予定です。

 ※商品の内容は予告なく変更される場合があります。



 このほか目玉商品もご用意しておりますので、ショップの実装を楽しみにしていてください。




「なにこれ……パソコンとかゲーム機とかじゃなくて? 神様の力? 」


 甘かった。夢の中で異世界に行けるほどの力があるサイトなんだ。普通の電化製品を商品にするはずがないよ。でもまさか本当に神様の力を商品にするなんて……


 僕にはこの商品がネタやジョークには思えなかった。このカミヨムサイトならやりそうだと思ったからだ。


 でもさすがに現実世界に大きな影響を与えるような物はないね。その辺はちゃんと考えてるみたいだ。


 健康体か……これを手に入れば、僕のこの虚弱体質が改善するかもしれない。それに身長……僕は165cmで先輩は170cmもある。是非伸ばしたい。


 魅力がどれくらい効果があるのかわからないけど、先輩に好印象を持ってもらえるかもしれない。告白した時の確率が上がるなら是非欲しい。


 記憶力も上がれば勉強についていくのも楽になるし、筋肉体質になれば憧れの細マッチョにもなれるかも。


 ラッキースケベはあの覗き魔事件の時みたいな出来事が毎日起こるってことか……欲しいかも。


 これはほかの作者さんたちもテンション上がってるだろうな。このほかにも目玉商品があるみたいだし。


 でも2000Gか……1ptが1Gだからそのまま2000ptを獲得しなきゃいけないんだよね。遠いなぁ。


 僕は323ptという自分の総合ポイントを見て、せめて健康体は安く販売してくれないかなと思っていた。


 高いけど目標ができたのはいいことだよね。長く続けていればいつかは手に入ると思うし。


 とりあえずは今夜は先輩と6時間も一緒にいれる。たくさん戦っていれば、きっとまたポイントをくれるはず。そう考えると長い時間夢の世界にいた方が、ポイントを稼ぎやすいってことなのかも。それだけ色々な冒険ができるし。


 結局はたくさんのポイントを稼ぐには、面白い小説を書いて更新して読者さんを増やしていくのが近道なんだろうけどね。そうすればドリームポイントも入りやすいしね。


 僕はベッドに入ってからも、しばらく商品を思い浮かべてこれがあればああしてこうしてと夢を膨らませていた。


 そして終わりなきラッキースケベ体質の想像をしながら夢の中へと旅立つのだった。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る