9 思い出深いキャンプ 男性用

あらすじ>

飲み会で、みんなの経験した不思議な経験という話題になった。不思議な経験…そういえば、大学時代にこんなことがあったなと話し始めた。


_____________________________________


そうだなあ、じゃあ俺から一つ。


これは、俺が大学…3年だったかな。多分その夏の出来事。

いつもつるんでる友人3人とキャンプに出掛けようって話になったんだ。

もともと俺ら4人でキャンプとかはたまに行ってたし、全然道具とかも問題なかったんだが、今回はいつもと違うキャンプ場でキャンプしようってことになったんだ。


新鮮だし、いいじゃん!ってことになって早速計画を立てた。

んで、キャンプ当日、キャンプ場まであともう少しで着くぞってなったとき、急に一人がこういったんだ。


「何か嫌な予感がする、今からでもいつものところに行かないか?」


ってね。

びっくりしたよ。だってそいつ、普段は割と流されるまま…ていうか、意見とかはめったに言わないやつだったから、なおさら。


なんで?って聞いたら


「この先、何かがある。絶対に…だから、戻ろう」


ていうんだ。

確かに山奥で、渋滞してたから着くの遅くなってもうあたりは暗くなり始めていたし、不気味な雰囲気はあった。けど、道は舗装されてるし、対向車線から車も来る。

大丈夫じゃないか?って俺は言った。

だけれどそいつは「戻ろう」って聞かなかったんだ。


最初はみんな「構わず行こうぜ」って雰囲気だったが、そいつの必死さにだんだんと飲み込まれて「本当にやばいんじゃないか?」ってなってた。


それで、結局今日のところはもう戻ろうってなって道を引き返した。

それから10分くらいかな?ふもとの町に戻ってきたころにガソリンスタンドに寄ったんだ。

そしたらガソリン入れてくれてる店員さんと、ちょっとした雑談をしてたんだけど


「ちなみに、どこに行かれるつもりだったんですか?」って聞かれたんだ。


「この先のキャンプ場に行こうとしてたんですけど、ちょっと事情があって戻ってきたんです」って返したな。


そしたらその店員さん、驚いたような顔で


「この辺にキャンプ場はありませんよ」


って言ったんだ。


みんな顔を見合わせて、なんというか、恐ろしくなって体の力が抜けちゃったよね。

それでそのキャンプ場に予約入れてるの気づいて、電話したらつながらなくて、インターネットで見たサイトを探してもなんもなかった。




んまあ、この話はこれでおしまい。

この後は何事もなく帰ってきて、怖くてみんなで俺の家に泊まったりしたなぁ。

まあ、不思議な話ってことで。





…ああ、そうそう。いっこだけ補足。

その、戻ろうって言いだした友人って、実は由緒正ゆいしょただしき神職しんしょくさんとこの家系らしくてさ。

だから、あのままそこ行ってたら今頃どうなってたのかねって、今でもたまーに思うんだよね。


ま、これでホントのお話の終わり。

聞いてくれてありがとね。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る