第24話:野良ダンジョン

いつも通りレベル上げのために平原に出ていると地上に洞窟の入り口のようなものがあるのに気づいた。

「なあ香音、こんなところに洞窟なんてあったっけ?」

「んー・・・洞窟を見た覚えは全くないですね」

洞窟は奥深くまで続いているようで奥の方は光が届いていない。

「行ってみる?もしダンジョンだったら地上より経験値効率はいいはず」

「じゃあ行きますか。とは言っても暗いですよここ」

「大丈夫、【エンチャント・火】」

俺は香音から1本貰った矢に火をつけた。

「即席松明~」

「その言い方は明らかに例のロボットですよね。まあ行きましょうか」

俺たちは洞窟に足を踏み入れた。少し進むとアナウンスが流れる。

《ゲリラ発生ダンジョン・中級を開始します》

「やっぱりダンジョンだ。中級って言ってるけどさすがに東京駅ダンジョンよりは軽いでしょ」

ダンジョンは一本道で探索は容易だ。少し進むとコウモリが出てくる。

「東京で出てきたやつだ。香音、やれる?」

「任せてください」

香音は即座に弓やで攻撃する。何発か打ち込んだあたりでコウモリは落下する。

「経験値は確かにおいしい。これって売れるんかな?」

「まあ置いていってもいいんじゃないですかね?荷物になりますし」

「で、問題はここが分岐点なことだよね」

正面に視線をやると二つの道が続いている。両方とも先は見えない。

「じゃあ適当に杖倒しますね」

「あ、そういう原始的な決め方するのね。まあいいけど」

香音が倒した杖は右の道を指し示す。杖を回収して、右の道を進む。

先に進んでいくと宝箱がある。宝箱は鍵がかかってない状態だ。

「先輩、確か前にこういう宝箱はモンスターかもしれないって言ってましたっけ?」

「ああ、ミミックってやつだね。近づいたら出てくるはず」

そう言いながら俺は宝箱に近づく。宝箱は振動し、そこから赤い舌が伸びてくる。伸びる舌を刀で切断し、一度距離を取る。

「香音、攻撃してくれ」

俺が指示すると香音が矢を放つ。瞬時にミミックの蓋が閉じ、矢が刺さる。半藤でミミックは宙を舞い、着地と同時にミミックが不自然な形で床にめり込む。

「あ、これ当たり判定がバグってる。前回実装されてなかったのはこれが理由か」

ミミックは壁に飲み込まれて身動きが取れない。しかし、壁の中にいるため攻撃も通らない。

「なんか久しぶりのバグですね」

「野良ダンジョンってまだバグが多いのかな?とりあえず撤収する?」

「ですね。帰ってお茶飲みましょう」

俺たちはバグを報告してダンジョンを後にすることにした。

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