第20話:第二形態
「晴斗先輩!」
香音が回復しようとするが、既に観戦部屋に転移させられる。転移させられた近接職全員の頭上に砂時計が浮かぶ。おそらく3分計るためだろう。
「あー油断したぜ。まさか強化されるとはな」
「あ、これって他のギルドの様子か?」
観戦部屋には他のギルドの様子が移ったモニターもある。
「他のところはどうなってるんだ?」
「おっ!一番削っているのは俺たちみたいだ!」
ケンに言われて他のモニターを見ると、2番目に削れているのは『横浜新選組』その後に『ソラマチ倶楽部』、残り2つが続く。
「ん?ねえ、この『横浜新選組』の剣士の何人か空飛んでない?」
「まさか、そんなはずないだろ・・・ってマジじゃねえか!晴斗、これ見ろ!」
スピカとブレイクが凝視するモニターを見る。
「何だこれ!?飛んでろ!?」
「というよりは空中を蹴って歩いているのに近いな!」
ケンの指摘を受け、更によく観察する。よく見ると足に何かモヤが掛かっている。
「足に何かのエフェクトが掛かっている・・・?」
そうしている間に3分経ち、フィールドに戻される。雨は更に激しくなり、時折雷も鳴っているようだ。
「ただいま戻りました!状況は!?」
「防戦一方だ。魔法を全部相殺してきやがる。さっきの重力魔法はもう使えない」
ギルマスの魔力はすでに尽きているらしい。一応ダガーを持っているが、確実に戦いには出られないだろう。
「なあ、さっきの奴って俺が使ってる【サンダーハンド】の応用じゃねえか?あれを風属性で足にやったらどうにかならねえか?」
ブレイクに言われて少し試す。しかし、1部位だけ魔力を体内で貯めるのは難しかった。
「難しいな。【サンダーハンド】みたいな魔力の扱いは苦手だな」
「じゃあ足に【エンチャント】はできねえのか?それだったらいつもの使い方に近い」
「【エンチャント・風】」
「おお!出来たじゃねえか!ちょっと飛んでみろ!」
試しに屋根に上り、そこから足を空気中に踏み出す。
「浮いてる!?行けるぞ!ただ、体力を使うなこれは」
「いいじゃねえか。じゃあ俺が打ち上げてやる。龍まで行って来い」
「先輩!少し待ってください!」
香音に補助魔法を掛けてもらう。単体への強化は成長したらしく、15%ほどのステータス強化が働いている。
「よしいいな、じゃあ飛ばすぜ!跳べ!」
俺が両足で跳躍した瞬間、ブレイクがバトルアックスで俺を力任せに打ち上げる。龍の高度まで飛び、空中歩行で近づいていく。下では他のギルドメンバーが驚いた様子で見上げている。
「うっわ、下を見ると割と怖いな。早く地上に戻ろう」
そう言っていると、龍と目が合った。龍は咆哮を上げ、突進の体制に入る。
「一撃で体力半分は削れない。せめて地上に落としてやる。【エンチャント・闇】」
闇属性のエンチャントを宿された刀は何故か重量を感じる。ギルマスが使ってた重力魔法にも使われていた気がするから多分そういう作用があるのだろう。突撃してくる龍の攻撃にタイミングを合わせ、下に向けて攻撃する。
「【兜裂き】」
龍の風圧だけで体力を8割削られるが、龍は高度を落とす。もう一押しだ。
「追撃だ、堕ちろ!」
龍の上から、背骨を目標に刺突を放つ。
「魔力が切れた!あとは任せた!!!」
俺は力いっぱい叫ぶ。龍と共に地上に落ち、衝撃で力尽きた。
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