第18話:イベント告知

数日特訓して、レベルが30を超えたころ、江戸城に召集された。天守閣のちゃぶ台円卓の前回座った座布団に座る。全員が揃ったところでギルマスが話し始める。

「久しぶりだ。前回話したイベントまで3日を切ったところだが皆、強くなっているようだな。戦い方も安定し始めたころだろう。今回のイベントはギルドごとの『討伐レイド』だ。討伐対象は横浜の街の龍だ」

横浜の龍。思い当たるのはつしかない。あれとは戦いたくなかったんだけどなぁ。

「β版である今現在、ギルドは5つ、許可制はうちだけ。つまり、他に人が集まっている。人数では不利だ。龍は1ギルドにつき1匹。それをどれだけ早く討伐できるかの勝負だ。開始は明後日の正午。日曜日だから来れる人は多いとは思うが無理な人は申し出てくれ。私からは以上だ」

ギルマスが話し終えると茶髪のライオンの獣人であるケンが質問をする。

「俺みたいな近接攻撃しかできないようなプレイヤーはどうするんだ?」

「タイミングを見て攻撃してもらうかサポートになる」

「了解した!」

「場所はどうなるんですか?」

銀髪猫耳のスピカが質問する。

「場所は横浜の街の再現マップだ。こことは別の空間と捉えてもらえればいい。他に何かあるか?無いようなら解散だ。あ、最後に、江戸城の部屋を一部屋ずつ拠点として使ってもらって構わない。どこでも構わないぞ」

そう言ってギルマスはアインと共に退出していった。

「あの龍だってな、今回倒すやつ。見てきたか?」

会議が終わってブレイクが話しかけに来る。

「ああ、見てきたぞ。あれは10人居てどうにかなるかどうかって感じだったな」

「そうですね、あれはすごい強そうでした」

「まあ頑張るしかねえな、お互いに」

そう言って彼は天守閣を後にした。

「そう言えば拠点として部屋を使っていんでしたっけ?城内を回って良さそうなところを探しましょう!」

「そうだな。ちょっと広めの部屋を調達しようか」

城内は中央が吹き抜けになっていて、そこに大きな柱が立っている。その周囲を囲むように何層にも通路があり、そこからさらに分かれて他の部屋につながっている。部屋数の合計は100を軽く超えている。城内は入り組んではいないが、自分が何階のどこに居るのか分からなくなりそうである。

「これは慣れないと迷いそうですね」

「あえて迷いそうなところに拠点を構えるのも面白そうだね」

そう言いながら何部屋か回っていくと景色のいい広い角部屋を見つけた。階層は上から3層目くらい。

「なんか和風の高級タワーマンションみたいだな」

「まあ実際に将軍とか住んでたわけですし最高級ではありますね。でも江戸城のよさそうな部屋からスカイツリーと富士山が見えるってすごく不思議な気分ですね」

確かに言われてみればそうだ。徳川家の将軍が見たことのない景色をみていると思うと何かロマンを感じる。

「ここにしようか。家具とかは後でそろえよう。お金ないし」

《活動拠点を手に入れました。アイテム所持枠が増えます》

「アイテムの所持限界はさすがにあるんだね」

「じゃあイベントまで準備を進めましょうか」




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