第13話:1日目終了
江戸城から出る頃には既に12時過ぎだった。1日やっただけで多くのバグに会った。この調子では正式版はいつになるのだろうか。多少気になるところだが気にしたら負けだと思ったのでこの問題は忘れることにした。
「晴斗先輩。今日はありがとうございました」
若干眠そうな香音が声を掛けてくる。
「何が?」
「この世界に誘ってくれたことです。ゲームをやるのってあまりないんですけど、やってみてすごく楽しめました」
「ああ、そう言う事か。それだったらこちらこそ、急に誘ったのについてきてくれてありがとう」
そう伝えると香音は少し照れたように笑う。そして、意を決して次の言葉を紡ぐ。
「あの、先輩が良かったでいいんですけど、明日からも一緒に冒険しませんか?」
予想外だった。今日のやり取りで大変なイメージを持ったかなと思ったのにまさか香音の方から続けたいと言ってくれるのは想定外だった。
「もちろん。明日からも一緒に冒険しようか。明日は武器を買い替えてもっと強い敵と戦って、そしてイベントまでにもっとレベルを上げよう」
「そうですね。あとは他のところにも行ってみたいですね。南の方とか海とかはまだ行ってないのでそっちもいいかもしれませんね」
「そうだね。それじゃあまた明日」
「はい、おやすみなさい!」
俺たちは最後に言葉を交わしてログアウトした。
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さて、今日はどうするかな・・・。家に帰ってログインしてから南にでも行ってみようかな。ネットでは全く情報が出回ってないから自分たちで集めていくしかないな。
「じゃあ17番鈴木、この式を証明してくれ」
授業中の俺の想像は数学教師の指名で中断された。はぁ、この人の授業つまらないんだよな。
「はい、まず関数を微分してからグラフが書けるようにして、そして・・・・」
適当に説明を済ませると授業が終わった。
「晴斗、お前やっぱり頭良いな。俺なんてさっきの問題分からなかったぞ」
大声で話しかけてきたのは同級生の遠藤だ。数年間一緒で割と仲がいい方だ。
「いや、さすがに数Ⅱの微分積分できないと留年だぞ・・・。お前との同級生の関係も今年までか・・・。強く生きてな」
「いや冷たくない!?俺とお前の仲だろ?放課後数学教えてくれよー」
遠藤がほっぺたをつつきながら言ってくる。
「はぁ、放課後は用事あるから昼休みな」
俺は遠藤を軽くあしらう。
「もしかして後輩ちゃんとイチャイチャ部活か?うらやましいぜ」
「そんなんじゃないぞ。てかいい加減それはやめろ」
「えー、だってよぉ・・・」
遠藤が気持ち悪い笑みを浮かべながら話し続ける。
「それだから彼女できないんだぞ。性格良ければ文句なしなのにもったいないな」
「あっ!それは禁句だぞ!てかお前も居ないじゃん!」
はぁ、さっさと帰って『アースクエスト』やりたい。
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