第12話:江戸城
マップに表示されたポイントへ着くとそこは江戸城だった。
「最初から気になってたけどまさかここに呼ばれるとは・・・」
門の前から見上げると天高く天守閣がそびえたっている。なぜここに呼ばれたのかは分からないが、香音と共に城内に入った。城内の大広間に着くと大きなちゃぶ台のような円卓が置かれている。周りに敷かれている座布団は10枚。ダンジョンであった人達と自分たちを除いてあと6人招待されているようだ。
「私たち以外はまだ来ていないみたいですね」
その後10分ほど、ダンジョンで回収した換金アイテムを整理していると、一瞬、浮遊感に包まれた後、気づくと天守閣の中の同じような円卓に着席していた。さっきとは打って変わって、円卓には10人のプレイヤーが着席している。そして、ダンジョンで会った2人以外は皆同じように戸惑っている。
「急に転移してしまい申し訳ない」
ダンジョンで会った男性が口を開く。全員が静まり、男性の言葉に耳を傾ける。
「皆の実力を見込んで8人集めさせてもらった。単刀直入に言う。うちのギルドに参加してくれないか?」
ギルドと男性は言った。ネットゲームでよくあるプレイヤーの集まりだ。この集団でイベントをこなしたり情報交換したりして活動する集団。
「それは良いが何故俺らが選ばれた?」
金髪のヤンキーっぽさが滲み出ている男が言う。
「確かに気になるところだろう。簡潔に言えば直感だ。今後できる他のギルドに取られてしまうと不利になってしまいそうな人材を直感で選んで声を掛けた」
直感という言葉に若干の不安はあるが力量は向こうから見て文句なしという事か。
「来週からギルドイベントのテスト配信がされる。参加人数は10人から。それが終わったら抜けてもらっても構わない。参加してくれるか?」
見回すと反対する人は居ないようだった。
「じゃあ自己紹介をしようか。私はこのギルド『極彩色』のリーダーだ。ギルマスとでも呼んでくれ。職業はメインが魔導士、サブが暗殺者。種族はエルフだ」
ギルマスの次は桃色のロングヘア―の人だ。服装的にダンジョンで会った人だろう。
「初めまして、アインと申します。職業は魔導士と錬金術師、種族はエルフです。よろしくお願いします」
透き通るような声の人だ。なんとなく感情の変化に乏しいような印象を受けた。
次は茶髪のライオンの獣人らしい人だ。
「こんばんは!私はケンという!種族は武闘家と錬金術師、種族はライオンの獣人だ!よろしく頼む!」
元気で熱血系の人だ。悪い人ではないだろう。
次は青髪ロングの大人っぽい印象の女性だ。
「こんばんは。エルフのメノウと申します。職業は魔導士と軽装戦士。投げナイフとか使うわ。よろしく」
投げナイフか。なんとなくスパイみたいなイメージを抱いた。
次は黒髪を肩くらいの長さでそろえた女性の番だ。
「あ、私スミレって言います。職業は弓兵と魔導士でエルフでやってます。あの、よろしくお願いします!」
人前は苦手なタイプなのだろう。身振り手振りが大きいのが印象的だ。
次は眼帯を付けた明らかに厨二病患者の男子だ。
「我が名はレオ。黒魔導士と召喚術師をしている。人間の中でも神に選ばれし我は汝らと共に戦えることを喜ぼう」
すごい。キャラ作りと意識へのインストールが完璧だ。このレベルまで行くと呆れを通り越して感心できる。眼帯の上から右目を抑えているのは疼くからだろう。
次はさっき発言した金髪ヤンキーだ。
「俺はブレイク。重装戦士と魔導士をしている。種族はドワーフだ。こういう集まりは慣れねえが・・・よろしく・・・」
あ、このヤンキー根はやさしいしっかり者タイプだ。そんな気がする。
次に銀髪で猫耳の生えた・・・中性的な子だ。
「こんにちわ!僕、スピカって言います!猫の獣人で、職業は軽装戦士と槍兵です!よろしくね!」
陽気な子だ。学校に居たら間違いなく人気者だ。結局性別は分からなかったが。
最後は俺達だ。
「初めまして。晴斗といいます。職業は剣士がメインで魔導士をサブにしています。種族は人間です」
「同じく、種族人間、職業は白魔導士と弓兵の香音です。よろしくお願いします」
全員の自己紹介が終わった。名前は知り合いだと頭上に表示されるようなので問題ないだろう。個性的すぎる気もするが気にしないでおこう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます