第9話:ボスネズミの本気
骨のネズミはカタカタと音を立てながら接近戦を仕掛けてくる。素早いとはいえまだ対処できないほどではない。正面から2体同時に飛び掛かってきたところを横に切る。骨のネズミは頭蓋骨が落ち、動かなくなったが、数秒すると頭蓋骨が元の位置に戻り、また動き出す。どうやらボスネズミが復活させているらしい。
「これアンデッドって言うやつか。ほんとに死なないんだな」
「死なないんじゃ本体倒すしかないですかね?」
とはいえ、いると邪魔だ。復活させている間、ボスネズミは動けないようなので、動きを止めてから本体を殴った方がいいだろう。単調な動きで骨のネズミが攻撃を仕掛けてくるのでもう一度同じように倒す。
《レベルが21になりました》
「えっこれ倒すと経験値入るの!?一撃で倒せるのに!?」
「計算したら1体で100経験値ですね」
「これってもしかして滅茶苦茶経験値稼げるのでは?」
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10分経った頃、ボスネズミの様子が変わる。地面を強く踏みしめるとボスネズミの前から古びた木製の杖が出てきた。杖の先には深い紫の宝石が付いている。宝石から溢れた蒼白い光が部屋を包み、思わず目を覆う。光が収まると骨のネズミが9体に増えていた。
「さっき倒したやつらが全部骨になってるのか」
「先輩、さすがにとどめを刺しませんか?この辺りでとどめを刺しておかないと日付が変わる前にさっきの人たちのところに行けないですよ。明日も学校なんですから」
時刻を確認すると夜の10時半。宿題もあるから日付を跨ぐわけにはいかない。
「確かにそうだね。宿題やらないで来ちゃったから終わらせようか」
10分でレベルが3ほど上がっている。その分ステータスも上がる。飛び掛かってくる骨のネズミを叩き、復活に時間がかかるように頭蓋骨を踏みつぶす。ボスネズミは復活に手間取っているらしい。やるなら今しかない。
「香音、力を貸してくれ!」
切れていた補助魔法を掛け直してもらい、木刀を握りなおす。
「とどめだ!」
俺は振り上げた木刀をボスネズミの首に叩きつけた。
ボスネズミはうめき声を上げると、骨のネズミと共に消滅していった。
「先輩、何か落としましたよ?」
香音に言われてネズミがいたところを見ると、ネズミが使っていた杖が落ちていた。
【柴水晶の杖★★★】
魔力+20
魔法回復力+10
召喚術師・黒魔導士の時
魔力+10
「香音、杖使っていいよ。最初の頃は役立つかも」
「ありがとうございます!」
「先に行こうか」
俺たちは部屋を後にし、最終フロアへと向かった。
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