第7話:東京駅地下ダンジョン②
しばらくして、止まったエスカレーターを見つけた。もらったマップの範囲外に出てすぐの事だった。
「これって多分次の階の入り口ですよね?」
「そうだな。階層が進むと敵が強くなることもあるから気を付けて行こう」
エスカレーターを降りると風景が変わった。基本的に壁がレンガで床がタイルなことは変わらないが全体的にコケが生えたり、ひびが入ったりしている。天井からは水滴がしたたり、蛍光灯は半分ほど割れているか明滅を繰り返している。
「なんかひんやりしますねー。もう2か月くらいあとだったら丁度良かったんですけどね」
「確かにね。これなら8月になってもエアコン要らずだ」
ひんやりした空間を進んでいくと何か光るものが目の前を高速で横切った。
「何かいる・・・・・・気づいた?」
振り返って後ろをついてくる香音に聞いてみると香音は横に首を振った。
俺たちは十分に警戒しながら、何者かが通った後を追う。何度か角を曲がると袋小路になっていた。
「追い詰めたぞ・・・・・・。ってスライムか?」
そこには水銀のような不思議なスライムがいた。とあるゲームと同じシステムならこのモンスターは防御と素早さが高い代わりに経験値がおいしいはず。
「香音!こいつを何としても倒すぞ!」
「えっ急にどうしたんですか?そんなに必死にならなくてもスライムくらい余裕ですよ」
香音は弓を構えながら悠長に答える。
「これは普通のスライムじゃないんだ。すばしっこくて硬いが経験値がめちゃくちゃおいしい!クリティカルヒットさせないと簡単には倒れてくれない!」
「なるほど、それじゃあ任せてください!スキルのお陰で会心率は10%増しですから!」
そう言いながら香音は矢を
「なんなんですか!?全く当たらないじゃないですか!」
香音はいつもに比べて明らかに気が立ってきている。
「もう!いいです、帰宅中に思いついた技使ってあげますよ!」
香音は矢を一気に3本取り出し、番えた。そのまま矢を放つと矢は横に3本並んでスライムへと迫った。スライムは逃げ場を失い、1本の矢を受けた。
「ふふふ、避けられなければ関係ないですよね。もっと打ちますよ」
香音の攻撃は5分ほど続いた。
------------------------------------------------------------------------------------------------
「ふう、やりましたよ!先輩!」
香音は弓を仕舞いながらこちらを向く。やり切ったというような表情だが恐らくは手首が痛むのだろう。手首を何度も回す動作をしている。
「ナイスだったよ。今のでレベル20だ。ところで手首は大丈夫?」
「それが【
状態異常って言うと毒とか麻痺とかだけだと思っていたがこんなのもあるんだな。把握するのは大変そうだ。
「まあ進もうか。治るまで戦闘は俺がやるよ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます