シロのマスター

シロはクロとあったあとホール達の住む兵舎へと通じる道を歩いていた。


兵舎はクロ達の住む建物をさらに囲むように東西南と「コの字型」に建ててあり、兵舎へと通じる道は1階の階段の後ろにある。


道は一本道で途中に無人の門が2つたっている。


門が無人なのは空港の金属探知機のように許可のない者が入ると警報がなり、2つの

門で閉じ込めるようになっている。


シロが立ち止まると兵舎から男が歩いてきてシロの前で止まった。


「あいつに会うことはできたか。」


「イエス。マスター。」


「ならばいい。あとそのマスターってのをやめろ。」


「わかりました。マスター。」


「わかってねぇじゃねぇか...まぁ...気にする奴はもういねぇか。ご苦労様。」


「しかしながらマスターの意図が不明です。なぜあのようなことを?」


「クロが通るのを待ち伏せして部屋の場所を聞き出したことか?飯を届けたことか?それとも、あいつが名乗ってもないあいつの名を呼ぶように指示したことか?」


「1つ目と2つ目はわからずとも理解できます。必要なことであったと。しかし、彼の名を呼ぶのと私の本名教えるのは彼に不信感を与えるだけでは?」


「単なる気まぐれだ。気まぐれ。そんな深い意味はねーよ。」


「ですが...マスターのような人が気まぐれであのようなことを命令するなんて考えられないのですが。」


「誰にだってそういう時はあるもんだ。」


そう言うとシロの横を通りすぎ学校のほうへと歩いていく。


「そちらに何か用でも?」


「一服しに行くだけだ。向こうで吸うとうるせぇからな。」


「了解です。私は先に戻ってます。」


「ああ...と、そういえば忘れるところだった。」


「?」


「あいつ、クロのことをできるだけでいいから見張っとけ。」


「何故?...と聞いても教えてくれないのでしょう。了解しました。」


「ああ。頼んだぞ。じゃあな。」



メイドは男の背中が見えなくなるまで見つめていた。男の姿が見えなくなるとメイドも兵舎のほうへと消えていった。


星1つ見えない真っ暗の中、学校を徘徊する男がいた。


電気も点いておらず光といったらたばこの火だけであった。


「;蛹鈴匣縺ョ譁ケ;高校ねぇ...多いなぁ...」


たばこを一息吸った。


「白なくして黒はなし。緑なくして黒はない。緑消えるとき虹生まれる。...か...やっぱ俺にはわかんねぇよ...なぁ」


男の言葉に返事するものはなく、たばこの灰が落ちるだけであった。








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