銀弐

振り向くのと月が彼女を照らすのはほぼ同時であった。


身長はクロより低く、氷のような透き通った青い瞳は彼女の表情を表しているようだった。


さらには、肩の長さに揃えられた髪は夜風と月によってよりいっそう銀に輝いていた。


クロは時が止まったかのようにその少女にくぎ付けとなった。


クロから何の反応もないのを不思議に思ったのか少女はもう一度尋ねた。


「...何かお困りでも?」


その声でクロは我に返った。


「えっ、う、うん。えっと...2000番の部屋を探していて...。」


「...2000番の部屋はそこの階段をあがって右側に進むとあります。」


そう言ってクロが来た方向の角の扉を指差した。確かに言われて見ればそこだけ数字ではなく星のマークが書かれていた。


「あんなところに階段があったなんて...ありがt...」



クロがありがとうと少女に言おうとした時にはもう既に少女の姿は消えていた。







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