起の章弐

「な、なんだよ、これ...」


己の左腕が変貌してるのを見て少年は震え上がった。


「無理矢理力を引き出しただけあって身に付けるのが早いな。」


ホールはそういいながらその少年に近づき手に持っていた本を見始めた。


「ふむ...白く長い体毛に長く湾曲した鉤爪...なるほどイエティか...」


そう言うと本から目を離し全員に聞こえるように話し始めた。


「安心しろ。これが我々の言っていた力の正体、魔物の力を宿す力だ。そしてこの本にはいままで異世界人を連れてきた時に収集した情報が入っている。」


ホールは少年に何か鍵のようなものを渡した。


「発現した者は近くの我々騎士団に報告しろ。できた者から今こいつに渡したように部屋の番号が書かれた鍵を渡す。そこに入り明日まで待機しろ。以上だ。」


そういいながら体育館から出ようとしたところで一度止まる。


「ここから逃げ出そうとするバカはいないと思うが...もし逃げ出すものなら命はないと思え。」


ガチャンっと扉を閉めた。


「さっさと再開しろ。」


騎士の誰かがそう言うと思い出したかのように生徒と先生らは力発現のために集中しだした。














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