第13話 感情とズレ



今日は土曜日。そう休みの日だ。いつも通りの時間に間違えてかけたであろうともう一度寝ようと布団を深くかぶるとまたアラームが鳴り始めた。またかと思いつつ時計を押すもアラームは止まらない。あれれと思いつつ気づく。これは着メロであった。私は急いで電話に出る。

「おそぉぉい!未来ちゃん!寝てたでしょ!」

それは小吹ちゃんからであった。そこで私は思い出す。

(そう言えば、昨日帰り際に約束してたなぁ)

「今。家の前だから!!」

それを聞いて急いで私は窓を開けると私の家の前には眉間にシワをよせた小吹ちゃんと少し困りながら笑顔をみせた華憐がいた。急いで窓を閉める私。

「ごめん、ちょーとだけまってて」

「いや、窓から言ってよ」という小吹ちゃんのツッコミは聞かなかったことにして電話を切った。



数分後私は家の扉を開け外へと出た。そこにはより一層眉間にシワを寄せた小吹ちゃんが待っていた。

「そ、そんなにシワ寄せてるとおばあちゃんになっちゃうよー」

私は最大限におどけてみせた。

「小吹ちゃんはいつまでも可愛いから問題ないんですぅ!」

結果はより眉間にシワを寄せた。

「さぁいきましょう」という華憐の言葉により小吹ちゃんは笑顔になり、私は少しホッとしながら目的地へと向かう。

今日はなんでも小吹ちゃんがいきたい所があるらしく私はまだ目的地を知らない。「ここだよ!」という言葉と共に指を指したのは和菓子の店であった。どうやら最近オープンしたお店らしくドアには『オープン記念』とデカデカとポスターが貼られていた。何やら小吹ちゃんはとても楽しそうに中へと入って行く。

「ふふ、小吹はねお菓子が好きなんですよ。特に和菓子がね」

華憐は微笑ましそうに見つめていた。

私たちも急いで中へ入り席に着く。そこは和菓子というには少し派手目な店内であった。(和菓子を食べるには少し落ち着かないかなぁ)と思いつつ小吹ちゃんは有無を言わさずに沢山の注文を済ませる。息をつく間もないほどに気づいたらテーブルは和菓子で埋め尽くされた。

「小吹ちゃん、やっぱりすごい食べるね」

「そりゃあもうこの時のために昨日の朝から抜いてますから!小吹ちゃんに抜かりはないのです!」

(いや、それは食べようよ)という言葉は胸に秘めておくことにした。

それにしても美味しそうだ。

(普段はあまり和菓子を食べないけどたまに食べるとやはりいいものだなぁ)

「んーおいしいぃ!」

小吹ちゃんは思わず感嘆の声を上げる。その顔は天国にも登る気持ちだと言いたげであった。

「これは本当に美味しいですね!未来さん」 

華憐もとても笑顔で喜んでいる。なんだか2人の笑顔を見るだけでもお腹がいっぱいになりそうだ。その後全てを食べ切った3人は店を後にした。

「丁度街まで出ましたし服とかアクセサリー見にいきませんか?」

華憐がそういうので2人は了解しショッピングモールへ行くことにした。



「この服似合うよ絶対!未来ちゃん!」

「そ、そうかなー」

ちょっと恥ずかしい気がするけど確かに可愛らしいワンピースだった。ふと気づけば華憐が見当たらなくなっていた。少し歩き回り探すことにした。どこに行ったのかなぁと見ていると私を呼ぶ声が聞こえた。

「あれ?未来?こんなところでなにしてるのぉー?」

声がする方に目をやると夏南がそこにはいた。大きく手を挙げてこちらを呼んでいる。返事を返すと元気に近寄ってきた。

「ひとりできてるのー?珍しい」

夏南は不思議そうに首を傾げる。

「いいや、華憐と小吹ちゃんと来てるよ」と答えると夏南は「そうなんだ」と短く答えた。

「じゃあまたね」

その言葉をいう夏南いつも通りの笑顔だったので何故か私はホッとした。また少し歩くと華憐を見つけた。

「なーにみてるの?」

声をかけた私に華憐は少し恥ずかしそうに後ずさりする。そこは下着売り場であった。

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