第8話 感情と告白

 あの夢は一体、、あれも記憶、、なのかな?

「あら、おはよう」

下に降りるといつもの如く朝食を済ませ学校に向かった。



 それから一週間ほど過ぎテスト返しの期間となった。私はギリギリで赤点を回避できてすこし情けなくともうれしい気持ちになった。華憐と雫ちゃんはトップクラスの結果を残し夏南はと言うとなんと私よりも総合点が高かったのだ。いつもは私より低かったのに。

「やったぁー!初めて未来に勝ったかもぉー!」

「おめでとう、悔しいよ夏南」

そして問題は。

「華憐ー!未来ちゃんー!赤点回避したよー!」

「おぉ、ほんとですか?小吹それはよかったですね」

「二教科だけ」

え?今の二教科といったか?ほぼ同じおちてるやないかい!でもなんだか小吹ちゃんは嬉しそうにしている。いつもはこれよりひどいのか、、。

「なぁ未来、ちょっといいか?」

その声は圭くんからだった。なんだろうと思いつつ付いていく。教室を出るときに夏南と目があった。いつもとは違う冷たい目であった。

あの告白を見てしまった踊り場に着くと圭くんは口を開き話し始めた。

「あの日から未来ともあまり話さなく、いや、話せなくなったよな」

なんの話をするのだろうかこんなところで。

「先ずは聞いてほしい。俺は夏南と別れようと思っている」

「え、、?」

何をいっているんだろう。それで私に相談をしに呼んだのかな。

そして圭くんは驚く私を見据え話を続けた。

「本当は夏南の事好きじゃなかったんだ。本当に好きだったのは未来、お前だったんだよ。でも、可愛いくて一緒にいて楽しいし、なにより気持ちを伝えてくれた。それが嬉しくてつい、あの時は二つ返事でオーケーを出してしまった。でも、でも、アイツは俺の事が好きじゃなかった。アイツは俺と未来を離そうとして告白したんだ。」

え?何を言ってるの。本当は私のことが好きで夏南は圭くんと私をつき離そうとして告白した?でもあの時私は夏南の気持ちを面と向かって聞いた。そして思った。私が身を引こうと。今では好きとは何かとかいう哲学的な所で自分を縛っている。それなのに、全く意味がわからない。

「俺を疑う気持ちはわかる。でもアイツから言われたんだ。これから圭くんは未来と絡まないでって。本当に男って単純だよな。好きじゃなくても好きという気持ちを伝えられると好きになっちまうなんて」

「分からないよ。私には」

分からない、なんで夏南がそんなことをする必要があったのか。好きでもないのに告白する意味が。分からない。

「だから、これから別れようって夏南に行ってくる。だから!その時は俺と付き合ってくれないか?本当に好きなのは未来、お前なんだよ」

なんで?本当に分からない。なんで今私は告白されているの。

私は圭くんの前から何も言わずに走りさった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る