第6話 感情と少女

 朝日を浴びて私は目が覚めた。

あー、身体が痛い。どうやら机に向かったまま寝てしまったみたいだ。

もう学校行かないとなー。

私は支度をし、階段を降りた。

「あら、おはよう。」

「おはようお母さん」

私は挨拶を軽く済ませると用意してくれた朝ごはんを今にも瞑りそうな目を擦りながらゆっくりと食べる。食べ終わると私は学校に向かった。

「おっはよー未来ちゃん!」

門を通ろうとしたときに声をかけられた。誰だ?と思い後ろを振り向く、そこには小吹ちゃんがいた。

「あーおはよう小吹ちゃん。あれ?かみ、、華憐は?」

「あー、華憐ねー先に行ったよー!」

と言いながら何やら小吹ちゃんはニヤニヤしている。

「はいはい、さ、行きましょ!」

私たちは今にも鳴りそうなチャイムに怯えながら教室に向かった。

 教室に着くと黒板には大きな文字で『自習』と書いてあった。

「そっかー明日からテストだもんね」

「未来さん、おはようございます。どうですか?勉強の方は」 

教室に入るなり声が聞こえた。この声はまさしく。華憐であった。

「うーん、ぼちぼちでんなぁ」

「ふふっそうでしたか。昨日は遅くまですみませんでした。よかったら今日私たちと勉強会開きませんか?」

『私たち』とは小吹ちゃんと華憐のことだろうか?範囲もあやふやであるし悪い話ではないな。

「いいよー。教えてほしいところあったんだー」

「分かりました。誠心誠意頑張ります」

教えてほしいところとはまず範囲からなのだが、、

「え?なに?勉強?私も混ぜてよぉー!」

「勉強会ですか!ぜひ私もご一緒に、、」

その声は夏南と、雫ちゃんからであった。

夏南はともかく雫ちゃんは勉強会なんて必要とは思えないけどどうしたんだろう。

「えぇ、、是非お願いします」

華憐は快くこたえる。ま、いっか!

その日は昼まで自習で、午後の授業は無くなった。それによりすこし早いが勉強会の始まりである。教室を出ると隣の教室に向かい小吹ちゃんに声をかける。やはりあの性格だ、小吹ちゃんの周りには友達の姿が多く見られるそしてその中心は小吹ちゃんなのだ。

「小吹ちゃん!これからみんなと勉強会しない?」

「勉強会かぁ」

なんとも煮えくり返らない返事である。

「ちょっと同クラの人に頼み事されちゃったから遅れて参加するよ!」

「そうなのですね、、分かりました。ではまた追って連絡をします」

少し寂しいそうに華憐は言う。まぁそういうことなら仕方ないかな。

私たちは先に学校を出て場所をどうするかという話になった。

「私の家はどうですか?ちょっと今知り合いが来てるけど邪魔しないように言っておきますよ?」

雫ちゃんが提案してきた。雫ちゃんの家かぁ行ったことないなぁ。

「よろしいのですか?とても助かります!」

「全然!問題無いですよ。家も近いですし」

いつも静かな静かちゃんが少し興奮しながら答える。

「雫の家かぁちょっとだけ気になるかもぉ!」

「おい、夏南私たちは遊びに行くんじゃないんだぞ?」

「勉強でしょー?わかってるよー未来」

ということで場所は決まった。華憐が小吹ちゃんに連絡入れておくと言ってるしこれで後は向かうだけだ。でも少し気になる事が。夏南は何故私たちと勉強するんだ?圭くぅん~とか言ってデートに行きそうなものだが。それに雫ちゃんも学校外でいままで会った事がないし、頭もいい。よく自分から勉強会に混ざったものだ。まぁ考え過ぎかなぁ。

「ちょっと!置いてかないで華憐ー!」

「うふふ、ぼけっとしてるからですよ」

私たちは更に雫ちゃんの家へと歩調を早めた。

 10分くらい歩いただろうか私たちの前には大きな一軒家が立っていた。

「ここが雫の家なんだぁ。おっきぃね」

夏南が驚くのも無理はない。立派な門と家、門から玄関の扉までは綺麗に石が並べられていて脇には花壇が施されている。お父さんはいったいどんな人なんだろうか、、

家に入るとそこにはメイドがいた。

「おかえりなさいませ。ご友人の方ですね。お部屋にお茶をお持ちしますのでお部屋にてお待ち下さい」

「ありがとう」

す、すごいこれがメイドってやつか!生で初めてホンモノをみた。

私が呆気にとられていると奥から一人の女性が現れた。綺麗な白髪の長い髪をととのえた同じくらいの歳の子だ。どことなくハーフっぽい顔立ちをしている。お人形さんみたいで可愛い割にしっかりと主張された胸だ。少し分けて頂きたい。

「あー、おかえりなさい雫ー!」

「友達を連れてきたから」

「そーなんだ!それなら邪魔しないね!」

と言うと奥に消えていってしまった。でも今の人あの夢の少女に似ている気がするでもあの少女はショートであったし、なにより浴衣を着ていた。顔までははっきりとしないが何か感じが少し変わっているそんな気がする。

私たちが部屋について道具を広げている頃、メイドさんがお茶持ってきてくれた。青く綺麗なコップに注がれたそのお茶はなんだか美味しく感じた。そのとき家のインターフォンが鳴った。小吹ちゃんがきたようだ。メイドさんに案内されながら部屋に小吹ちゃんが入ってくる。

「すごいなぁ、こんなに大きな家の入ったの初めてだよぉ」

なんだか目をキラキラさせながら小吹ちゃんが床に座る。

さてみんな揃ったし勉強を始めるか。

「まずは範囲を教えて!」

小吹ちゃんが自信満々に問う。そしてみんなの顔から同情の表情が現れた。私を除いて。

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