第5話 感情と前進
「え?神本さんもやってないの?意外だなぁ」
落ち込んでいるとそんな声が聞こえてきた。意外。その言葉には共感する提出物には完璧にこなして出すくらいの感覚だと私も思う。すると神本さんは私の方を見てニコッと笑った。え?なんの笑顔だそれは、、
すると始業のチャイムが学校にこだまする。
とりあえず気を取り直して真面目に授業受けないと。
それから光のごとく時間は過ぎ放課後になった。居残り授業は特別教室で行われる。
私も急いで向かわないと、そうだ神本さんを誘って一緒に行こう!と思い席を見るが彼女の姿はない。仕方がなく一人で行くことにした。教室から出るとそこには小吹ちゃんがいた。
「やっほー、もしかして未来ちゃんもほしゅー?」
「うん、そうだよ!」
「あれまー、珍しいね実は小吹もなのだよ未来君」
だと思ったという言葉は胸にひめ小吹ちゃんに歩調を合わせた。
「でも、神本さんも宿題やってないなんてびっくりしたよー小吹ちゃんはともかく」
「ともかくってなによー!」
ごめんごめんと軽くあやまり急いで階段を降りる。
「でも、おかしいなー華憐は宿題やってたよ昨日」
やってたってどーゆーことだ。確かに忘れましたってまっすぐ雫ちゃんに答えてたぞ。もしかして本当に家に忘れたとか?そんな風に考えていると特別教室のドアの前に着いた開けると一足早く神本さんは席についていた。
「華憐ー!となりいい?」
成り行きでわたしは神本さんの後ろの席に座った。時間になり先生が課題を配る。すこし経ち小吹ちゃんが分からないーと言いながら神本さんに助けを求めていた。なんだかそれが微笑ましくてつい笑ってしまった。それから2時間程度補修は続いた。チラホラ帰っていく生徒が目立っていて私もとっくに終わったのだが分からないとうなっている小吹ちゃんがまだ終わっていないのでそれを待つことにした。
「あー!終わったー!小吹ちゃん完璧ー!」
だいぶ時間が経ち数人しか残っていない教室に小吹ちゃんの喜びの声がこだまする。やれやれというように3人は課題を提出し、帰ることにした。教室を出てすぐ神本さんがすこし洋服をみませんかというのでお母さんに少し遅くなると連絡を入れて店に行くことにした。なんだか悩んでいた自分が馬鹿らしく思えるほど神本さんはいつも通りの気品のある笑顔で私に答えてくれていた。
あと少し神本さんの私服が、ほんの少しだけ気になる。
帰り道から外れ店の並ぶ方へと三人は足を向けた。少し歩くとここにしましょうかと一つの店の前で神本さんは足を止めた。見るとそこはとても可愛らしい服がたくさん並ぶ店だった。
こーゆー服を着るのかこれまた意外だなぁ
店に入ると神本さんは小吹にはこれが似合う。あれも似合うと店内を物色していた。
そうか、服って小吹ちゃん用だったのかー少し残念。
「まぁ私には似合っちゃうかもねー」
小吹ちゃんが得意げになるしかし本当によく似合っている可愛いなぁと思っていると。
「じゃあ次は華憐の番ねー!」とすこぶる悪そうな顔をしながら言い放った。
「え?いや、私はこーゆー服は、、」
「いいからいいから。ほら未来ちゃんも!私が選んであげるから」
って私もかい!少し恥ずかしいけど少し嬉しい。なにより小吹ちゃんナイスプレイ。と心の中でグッドサインを出す。
小吹ちゃんが選んでくれた服はとても可愛いかった。試着を終えカーテンを開けると小吹ちゃんが取って食おうかというほど熱い視線を私に送る。
「可愛いー!流石小吹ねー!才能有り余るわ」
悔しいけどセンスは本当にいいと思う。神本さんはまだかなー。
「き、着れましたわ」と言うと神本さんのカーテンがひらく。恥ずかしそうにどうかしらと服を見せてくる。うん、素晴らしい。
「お!華憐もなかなか可愛いじゃん!ね!未来ちゃん!」
「うん!華憐本当に素敵」
神本さんは驚いた顔をして静かに笑った。
「そうかしら、、」
なんだかすごい嬉しそうに見えた。
そーいえば自然となまえで呼んでしまった。一歩華憐に近づけた。そんな気がした。私は恥ずかしくなり目を背けた。小吹ちゃんに目をやると私の顔見るなりニヤケが止まらないという様子であった。バツが悪くなり意味もなくスマホの電源をつけた。そこでお母さんから「了解」と簡単な返事が来ていたことに気づく。時計の針はもう19時を回ろうとしていた。
「そろそろ帰りますか?」
華憐が言った。
「もう帰っちゃうのか~」
「また明日!」
小吹ちゃんと私が続いた。三人は家に向かい歩き出した。とても楽しい時間であっという間に過ぎていった。
あれ?でもなんか忘れてる気がする、、ま、いっか!家に着くとお母さんがテレビを見ていた。
「未来おかえりー。青春を謳歌するのもいいけどテスト大丈夫なの?」
「あ、、」
「あっじゃないわよしっかりしなさいよねー!」
忘れてたぁぁ大丈夫かな私。とりあえず机に向かうか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます