第8話
ボノボは好んでマネキンを用いた案山子を作るようになった。小学校のプールサイドや、公園の噴水、すぐに撤去されてしまう放置自転車のサドルに腰掛けた案山子は、自分の足で立つことをしない。
1. 交通事故があった。フラフラと信号を無視して走り続けていた自動車が、道路標識にぶつかって止まった。ドライバーは不在で、運転席には案山子が座っていた。
2. ビルの4階からまだ5歳の少年が飛び降りた。少年は飛び降りた理由について聞かれ
「飛び降りないと殺すって案山子が言った」
と答えた。ビルの手すりには案山子が座っていた。
3. 満員電車の乗客たちが、いっせいに隣の車両に移動しようとしたために横倒しになり、4人がけがをした。優先席には案山子が座っていた。
これら三つの事件は案山子の映像とともに報道された。都市の住民にとって、案山子は恐怖の対象になっていった。
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