第5話

 有安キャンプの一週間後、ヒューマノロジーの開祖である義元儀徳は少なくとも1年以上前にすでに死亡していたことが明らかになった。義元の内蔵が腐って直腸から滑り落ちるのを信者たちは「便をしている。まだ生きている証拠だ」と捉え、甲斐甲斐しく世話をしていた。

 この事件の報道はヒューマノロジーという組織の異様さを再び世間に認知させることとなった。一時期は休止されていたヒューマノロジーの立ち退きを求めるデモが、ヒューマノロジーの宿舎の前で再開された。

 世間のイメージは二分された、いい案山子と悪い案山子に。

 都市の風景を勝手に占拠する悪い案山子と、農村と調和するいい案山子。チンパンジーは悪い案山子を作り続けている。

 チンパンジーはある時期からヒューマノロジーの案山子を撤去して、同じ場所に自分の案山子をドロップすることが多くなる。


チンパンジー「ヒューマノロジーの作る案山子はださかったけど、いい場所はみんなヒューマノロジーにとられちゃってた。別にヒューマノロジーにはなんのうらみもないけど、床が欲しかったから、ヒューマノロジーの案山子を倒してた」


逆に言うと、ヒューマノロジーの床選びのセンスはチンパンジー君とかぶってたってこと?


チンパンジー「そうかもしれない」


 ところで、義元の死体は防腐処理をされて土葬された。

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