第10話

 恥ずかしながら私と坂東は長くそのような行為をいたしておりません。そのせいだとは思いたくないのですが、坂東は風俗遊びを好み、度々そういう店に行っては楽しんでいるようなのです。


 私が坂東の体の異変に気付いたのは、夏場に裸で風呂から上がってきた彼の体を見た時でした。湿疹とも違う、見たことのない発疹が胸元辺りから広範囲に広がっていたのです。私は気味が悪いので皮膚科に行くように促しました。面倒くさそうに嫌々行った坂東はそこで梅毒の可能性があると言われ、さらに大きい病院で検査を受けたところ梅毒だと発覚したのでした。


 坂東はあなたにこの事実を話しているのでしょうか。話せば嫌われると思って言っていないかもしれませんね。今後も妊娠を望んでいるのなら、二人で話し合う場を設けるべきだと思います。あなたはまだ若いのだからしっかり体を守らなければなりませんよ。

 

 長々と語ってしまい申し訳ありませんでした。坂東に託したこの手紙をあなたはどこで読んでいるのでしょうか。行きの新幹線の中、坂東の家、もしかしたら読まずに捨ててしまっているかもしれませんね。その方があなたにとっては幸せなのかもしれませんが・・・。


 私があなたにお伝えしたいことは以上です。どうかこれからのお二人の人生が明るく平穏なものでありますようお祈りしております。

                                     

                                   草々

 

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手紙 千秋静 @chiaki-s

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