第9話

 この話をあなたがどのように受け取ろうと、階段から落ちた時にできた痣と違い、坂東があなたの子を殺そうとした事実はこれからも消えることはありません。このことを坂東が誤魔化し続けようと、あなたが信じようとしなくても、忌々しい記憶として私の中にずっと残り続けます。そしてこの悲しい記憶とともに娘と二人、生きていきます。


 なんだか怖い話をしてしまいましたね、申し訳ありません。決してあなたを怖がらせようとしているわけではないのです。本当ですよ。あなたの幸せを脅かすためにこのような手紙を書いているのではなく、私はあなたに忠告をしたいのです。


 先ほどから綴っておりますように、坂東という男は一度火が付くと手に負えないというか後先考えない浅はかさが目立つ人です。特に浮気をはじめとする性的なことに関しては欲望のままに突き進んでしまうようなタイプなのです。


 それほどまだ深くあなたは坂東という男を知らないと思うのです。あなたはもうご存知なのでしょうか、坂東が梅毒に感染しているという事実を。

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