第6話
私は何度も離婚したくなかったと記しておりますが、坂東に対して愛情が溢れていたからではありません。あくまでも娘のためです。坂東は私にとっては家族を見捨てた酷い男なのですが、娘には家を出るその時まで優しい父親であり続けてくれました。だからこそ私は娘から父親という存在を不本意な形で取り上げられたくはなかったのです。夫婦関係が破綻しても親子関係だけは続いてほしいと切に願っておりました。
私は愛しい娘のために鬼になろうと決めました。娘の幸せを脅かす者がいれば、赤子であろうと誰であろうと迷わず葬ってやろうと誓いました。
娘がいなければ、私は坂東との関係をもっとスムーズに清算して、酷いこの男をあなたに熨斗をつけてお渡しできていたことでしょう。
若く経験の少ないあなたは知らなかったのでしょうね。女でも妻でもない母親という存在の怖さを。
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