第5話
子が生まれてこなければ私の気も晴れますし、坂東のあなたに対する熱が冷めてまた家庭に戻ってくるかもしれないという期待もございました。たとえあなたと坂東との仲が続いたとしても離婚という最悪の事態だけは避けられると思っていたのです。
私はひどい女です。あの時期の私は人ではありませんでした。自分の子を守るために他の子を殺そうとする鬼でした。ですが、私は過去の自分を否定することができないのです。妻なら母親なら仕方のない感情であったと、非人道的な自分を認めて憐れんでしまう今の自分がいるのです。
きっとあなたも子を産み、長く妻という立場に立って生きてみれば私の気持ちがわかる日が来るのではないかと思います。
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