第2話 深海魚コーナー発、異世界着
水族館の深海魚コーナーで気を失った鷹山祐介が目を覚ましたのは石畳の上だった。
体を起こした彼は周囲の照明が
右手の先には真奈美が、その先には優香がいたことに安堵のため息を付いた祐介は、
「まな、起きなさい。
優香も大丈夫か?」
二人に呼び掛ける。
しばらくそうしていると、まず優香が目覚め、すぐに真奈美も目を覚ました。
「ここは?」
「分からない。
ひとまず、常識では測れない何かが起きているとしか…」
「きっとローラニアだよ!」
「ローラニア?
小説が元になってるアニメの世界の?」
最近、子供の間で流行っている異世界物アニメの世界だと主張するのはそれにどっぷりハマっている娘。
対して、親の方は懐疑的だった。
「ローラニアは本当にあったの!」
「いや、ここが異世界ってのは百歩譲って認めても良いけど、あんなゲームじみたステータス表示がある異世界なんて…」
「ちょっと祐介!」
「どうした? お前が名前で呼ぶなんて久し振り…。はい?!」
優香の言葉に振り向いた祐介の視界に写ったのは、ゲームでお馴染みの表示物だった。
「ステータスボード?」
「みたいね…」
娘の影響でそれなりにアニメを観ている夫婦の眼前に現れたのは半透明のボードでそこには、
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名前
種族 人間
レベル 1
スキル
技能 鑑定
解析
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「なんか出たな…」
「そうね。…どう見てもあなた戦闘職じゃないわよね」
「ああ」
「私もやってみる! ステータス!」
親達の不安を尻目にウキウキで呪文?を唱える娘の前に現れたのは、
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名前
種族 人間
レベル 1
スキル
才能 炎魔術の才
癒し魔術の才
技能 詠唱加速
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「マジか…」
娘のステータスにガックリと項垂れた父親。
それに何て声を掛ければ良いか分からない優香は自らも「ステータス」と呟き、無言になる。
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名前
種族 人間
レベル 1
スキル
才能 炎魔術の才
高身体能力
器用
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「ええっと…」
「慰めは要らないから。
それにしてもこのスキルは…」
優香に断りを入れた祐介は口に人差し指を持ってきて、考え込み。
おもむろに「鑑定」と唱える。
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名前 鷹山祐介 性別 男
種族 人間
レベル 1
能力
生命力 250/250
魔力 220/230
腕力 54
知力 55
体力 55
志力 68
脚力 58
スキル
技能 鑑定
解析
ユニークスキル
???
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「やっぱり、鑑定はゲームであるのと同じような能力だな」
「強いのかな? これ」
「それよりもユニークスキルって言うのが気になるわね。
鑑定と解析を持っていたわけだし…」
「何とも言えんが、ひとまず、『解析』。
……やっぱり解析は詳細な鑑定能力か?」
解析を行ったことにより、ユニークスキルの?マークが消え、ステータスが更新された。
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名前 鷹山祐介 性別 男
種族 人間
レベル 1
能力
生命力 250/250
魔力 220/230
腕力 54
知力 55
体力 55
志力 68
脚力 58
スキル
技能 鑑定(1)
解析(1)
ユニークスキル
竜へ至る魂(1)
竜属へ転位することを可能とするユニークスキル。
・全ての能力値にスキルレベル×10の補正。
・10レベル毎にアビリティ獲得
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「基準が分からないと能力的に優秀なのか分からないな。まなと優香のも見てみよう」
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名前 鷹山優香 性別 女
種族 人間
レベル 1
能力
生命力 80/80
魔力 110/110
腕力 34
知力 37
体力 43
志力 34
脚力 54
スキル
才能 炎魔術の才(1)
高身体能力(1)
器用
ユニークスキル
炎の魔道戦士(1)
炎属性に適性を持つ戦士を意味するユニークスキル。
・スキルレベル×魔力に20、体力と脚力に10、他の能力値に5の補正。
・炎魔術の才と器用の才能スキルを獲得する。
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名前 鷹山真奈美 性別 女
種族 人間
レベル 1
能力
生命力 28/28
魔力 45/45
腕力 8
知力 16
体力 7
志力 15
脚力 9
スキル
才能 炎魔術の才(1)
癒し魔術の才(1)
技能 詠唱加速(1)
ユニークスキル
浄炎の担い手(1)
破壊と再生の炎を操る才能を意味するユニークスキル。
・スキルレベル×魔力に20、知力と志力に10、他の能力値に5の補正。
・炎魔術の才と癒し魔術の才の才能スキルを獲得する。
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「異世界人ならこれくらいは普通に持ってると言うわけか。
出来れば、他の異世界人や現地人のステータスも確認したいが…」
「ずっと放置状態よね。
どうなっているのかしら?」
改めて見渡しても誰もいない。
普通に考えるなら最低限の監視は必要なはずだが。
「可能性として、1、俺達は巻き込まれた一般人だから放置」
「『武き拳のローラッド』その物ってこと?」
「そうだな。あれの主人公も巻き込まれた一般人だから召喚した国を追放されて、隣国ローラニアで自力で成り上がった訳だし」
「じゃあ私達が主人公!」
「そう言う問題じゃないが…。
可能性2、召喚者に敵対する勢力の妨害で目的でない場所に飛ばされた」
「あり得るけど、可能性は…」
「低いな。
その場合、手を繋いでいた俺とまなはともかく、優香も同じ場所に飛ばされるとは思えない。
逆に全員を同じ場所にってなるなら、中学生達がいない理由が分からない」
「結局、待つしかないのよね」
「そうだな。とはいえ、あまり放置されても困るが」
「出口くらいは探しておくべきよね」
「ああ。出来るだけ離れないように固まって動こ…。
あっちで何か光らなかったか?」
祐介が指差した正面右手の方を向けば、そちらから人影がやってくるのが分かった。
「どうやらずっと放置の危険は回避できたか?」
祐介の言葉に含まれた他の危険を意識しつつ、優香が頷く。
せめて自分達の娘は絶対に守ると心に誓って。
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