第81話

 ※。.:*:・'°☆


 神田橋本町にある平賀源内の邸内で、彼は盟友の杉田玄白と将棋を指していた。



 庭から、『カッコーン』と鹿威ししおどしの音が響いた。


 源内は、矢倉を組んでいたが、かなり攻め込まれているようだ。


『うゥ……ン……』源内は腕を組んで唸った。

 かなり分が悪いと見えて長考が続いた。



 玄白は、チラッと中庭を眺めた。


『ン…、早いモノだな…… あれから……

 もう半年か』

 訥々とつとつと玄白が庭石を見つめ呟いた。


『ン……😔💦💦 ああァ~……』

 源内は、小さくため息をついた。


『お里が…… 井筒屋の旦那の後妻になって…… もう半年か』


『うむ……』辛そうに源内は顔を歪めた。

 考えた挙げ句、駒へ手を伸ばしかけた。


 そこへ、突然、岡っ引きのヒデが屋敷の玄関から駆け込んできた。



『セ、センセェ~❗ 源内センセェ~ーーーー……❗ 居ますかァ~~ーー❗❗

 た、大変だァ~~ー❗❗❗』

 騒がしく屋敷へ転がり込んだ。


『おいおい、ヒデェ…… かくれんぼなら外でやりな❗❗』

 呆れた顔で源内が応じた。手で追い払うような仕草をした。


『そ、そんな遊びじゃないッすよォ……

 源内センセェ……❗❗❗ 

 大変なんでさァ~~ーー❗❗』

 

『どうしたァ❓❓ 猿山で好物のミカンでも盗られたか❓❓』


『あのねェ…、オレは猿じゃないッて…… そんな事よりセンセェ…… 大変なんですッてェ』


『だから、さっきからどうした❓ 大変大変ッて』


『テ、天狗テングでさァ~~❗

 天狗が出たンでさァ~~ーー❗❗』


「ン…、何ィ…… 天狗だってェ……」


『そうなんでさァ~❗❗ その天狗にお里が殺されたンでさァ~~……❗❗』


「な、なにィ~ーー…… 天狗に❓❓

 お里が殺されたァ~~ーー……❗❗❗」

 思わず、源内は大声で叫んだ。




 ( ^-^)ノ∠※。.:*:・'°☆

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