第71話 脳内をハッキングされ……

 ※。.:*:・'°☆


「う、うッううゥ……❗❗❗」

 唸るように必死の思いで、僕はランから身体を離した。


 このまま彼女とキスをしていたら、脳内がオーバーヒートしてしまいそうだ。


 けれどもセクシードール おランは何ごともなかったように布団の上に寝たまま、静かに目を閉じていた。


「はぁ~…… はぁ~……」

 僕は肩で大きく息をついた。恐怖で身体じゅうに戦慄が走った。


 百メートルを全力で駆け抜けたみたいな脱力感だ。



 あと数秒でも彼女とキスをしていたら、僕の脳はオーバーワークで焼き切れてしまったかもしれない。




 僕の脳内のメモリーを無数の触手で、全て掻き出されたような気分だ。

 脳内をハッキングされデータを全て盗み取られた感じだ。



 ワケも解らず僕は恐れ戦慄おののいた。

 


 今、脳裡に映った光景は、おそらく源内の脳内の記憶だったのだろう。




 どうやら橋の上で別れた美少女が、あの時、盟友 杉田玄白の言っていたのようだ。




 真剣な眼差しで玄白に、

『お里の事も忘れたのかァ~❗❗』

 と怒鳴られたが、ようやく今、了解した。




 おおかた、お里は源内の大事な許嫁いいなずけだったのだろう。


 その事は玄白も承知していた。だから、あれほど激怒したのだ。




 あの橋での涙の別れの後、お里は親の借金の肩代わりをしてくれた井筒屋の旦那の元へ嫁いでいったのか。



 倍以上、歳の離れた井筒屋の旦那の元へ……




「ッたく……」

 何て、事だ…… 



 源内はお里と長崎へ駆け落ちしようとしたが結局、それは叶わなかった。




 いや、杉田玄白の話しによれば、それだけではないはずだ。

 お里は、『既に亡くなっている』と話していた。

 

 不意に、ブルッと震えが起きた。

「あ、そうだ。オシッコ……」今にも膀胱が破裂しそうだ。


 僕は寝床から飛び起きて、御手洗へ駆け出した。





 だが、この時、僕は知らなかった。




 突然、眠っていたセクシードールおランの目が開き金色に光り輝いた事を……

 

 



 ( ^-^)ノ∠※。.:*:・'°☆

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