第63話 【ラビリンス】

 途方もない話しだ。

 こっちがタイムスリップなら、向こうは【隠し財宝】と来た。

 しかも謎の埋蔵金が隠されていると言う話しだ。



 蔦屋の旦那の話では、幕府転覆を狙う【くれない夜叉】と言われる盗賊が関わっているらしい。


 幕府転覆なんて、【慶安の乱】をくわだてた由井正雪でもあるまいし、荒唐無稽にもほどがある。



「フフ……、井筒屋の旦那は、【隠し財宝】のために源内おまえさんの知恵を借りたんだ」

 玄白が目を閉じて微笑んだ。


「え……❓」平賀源内の知恵を……

 当然、僕が転生する以前の話だろう。


『ああ、そして屋敷の地下に【迷宮】を創ったらしい……』

 声をひそめて耳打ちした。


「うう……」地下に【迷宮】だって……

 源内が……

 僕が、転生する前に……


 そう言えば、江戸城の地下には『将軍 徳川 家康』が、極秘に逃亡できるよう地下に網の目みたいに抜け道を作って用意していたと言う都市伝説を聴いた事があった。


 もしかしたら、その抜け道を利用し【地下迷宮ラビリンス】に見立てたのだろうか。


「その代わり、おユウに掛かった借金を肩代わりしてくれたンだろう……」

 玄白が説明した。


「え…、ンゥ……😔💦💦」なるほど……

 カラクリ屋敷の秘密と引き換えに、ギブ アンド テイクッてワケか。


 チラッとユウの顔を窺った。


「……😓💦💦」

 さすがにこの話になると、はしゃいでいたおユウも無口になり神妙な面持ちだ。

 お菓子だけは、しっかりキープしていた。



 話は解ったが二十一世紀の写楽の僕には、カラクリ屋敷の事など、まったく関知していない。


 そのカラクリ屋敷とお里とか言う美少女の死と どういった関係があるのだろうか。


 ザワザワといやな胸騒ぎがした。


 ナゼか、身体じゅうが震えてきた。


「ま、いずれにしても元気そうで何よりだ…

 源内おまえさんの顔が拝めたんで、今日のところは、このあたりで失敬するよ……」

 おもむろに玄白は立ち上がった。


「ああ、悪かったな……」僕も見送ろうとしたが、玄白は手で制した。


「良いッて……、源内おまえさんは、まだ安静にしていろ❗❗」

「ああ、じゃ、僕はここで……」

 寝床で軽く頭を下げた。


「良いか❓ ここも狙われているぞ。

 くれぐれも用心しろよ❗❗」

 玄白は忠告し部屋を後にした。


「ああ、ありがとう…… おい、おユウ❗❗

 玄白を見送りなさい❗❗」


「えェ…… はァ~い」

 ユウは、あまり乗り気ではないが、言いつけ通り玄白を見送りに玄関へ向かった。

 元気よく駆け出すと可愛らしい桃尻が丸見えだ。つい下から覗いて見てしまった。


「ゴックン……😳💦💦」ナゼか、意識してしまう。


「ン……」ようやく一人になり、セクシードールの横にゴロンと寝転がった。

 甘くて良い匂いが鼻孔に漂ってきた。


 けれども、まだ本調子してはないみたいだ。



 目を瞑ると、すぐに微睡まどろんだ。




 ( ^-^)ノ∠※。.:*:・'°☆

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