第60話 カラクリ屋敷

「ところで…… 源内❗❗」

 改まって、玄白が耳元へ顔を寄せた。

「ン……❓❓」いったいなんだろう。

 真剣な様子だが……


 インテリの玄白は辺りを伺いながら、

『お前が、意識不明の間に……

 かなりヤバい事になったんだ……』

 声をひそめ訴えるように囁いた。


「えェ……❓」ヤバい事ッて…… 

 なんだ……。玄白がこれほど真剣なのだ。

 よほど切迫した事態なのだろう。


『ほら、あの『カラクリ屋敷』の事だ……』

 そっと耳打ちをした。


「ン……❓❓」

 くだんのカラクリ屋敷か……

 さっきも蔦屋の旦那が説明していたが、その話しには全く心当たりがない。 


 ぼんやり聞いている僕に玄白は腹をたてたのか、眉をひそめた。


「おい、そんな事も覚えてないのか……❓」

 玄白は、少しイラ立った口調だ。


「あ……、いや、悪いな……」  

 素直に頭を下げた。

「頭を殴られたショックで……」包帯をさすった。

 この場は、頭部を強打されたことによる記憶障害と言うことで誤魔化す以外ない。


「ン……、ショックッて、何……❓❓ 

 センセェ……😄✨✨」

 和菓子を食べているユウが話に割り込んだ。

 美少女はニコニコして、まるで緊迫感がない。よほど甘いお菓子には目がないのだろう。


「ああ、そうか…… ン…、衝撃だよ。

 頭を殴られた衝撃で記憶が飛んでいるみたいなンだ……❗❗」

 また包帯を巻かれた頭を押さえた。

 実際、本当に『カラクリ屋敷』の事は解らない。


 とぼけているのではなく僕には、平賀源内としての記憶が全くないのだ。


「ン……、そうだな。そいつは済まなかった。まだ怪我もえていないのに……」

 玄白も頷いて解かってくれたようだ。


「うん……😔💦💦💦」僕も残っていたお茶を飲み干した。

 ヤケに苦いお茶だ。





 ( ^-^)ノ∠※。.:*:・'°☆

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