第54話 杉田玄白

 その時、不意に玄関が開いた。


『おォ~ーい✨✨😆🎶✨ 源内ィ~ー❗❗

 居るかァ~~ーー❗❗❗』

 若い男性の声だ。さっきの蔦屋の旦那とは別の男性のモノと思われる声が響いた。


「え、な、な、な、何ィ~ーー~ーー❗❗❗

 なんだァァ~~ーー~~ーー……❓❓」

 せっかくこれからだって時に、また邪魔が入った。

 どんだけ人の出入ではいりが多いんだ。この屋敷は……


御免ゴメン❗❗ 邪魔するぜェ……』

 だが、他人の気も知らず若い男は遠慮なしに屋敷へ入り込んで来た。


「うう……😒💦💦💦」誰なんだよ……

 いったい…… 二十一世紀の写楽ボクには、勝手に部屋へ上がり込んでくるような友達はいない。ある意味、羨ましい関係だ。


『良かったなァ~❗❗ 源内ィ~ーー❗❗

 気がついたンだってェ……❗❗❗』

 まるで旧知の友達のような気さくな感じの物言いだ。


『ふン……😠⚡✨』 

 何が『良かったなァ~……』だ。

 全然、タイミングが良くない。


 こっちだって、これからエロティックな【濃厚接触】するはずなのに……


 全く人の気も知らないでイイ気なモノだ。

 いったい誰なんだ。僕には、まったく聞き覚えもない声だ。


「あァ~❗❗ 玄白センセェだァ~😆🎶✨」

 嬉しそうにユウランのオッパイに頬ずりしながら微笑んだ。


「え…… げ、玄白センセェ……❓❓」

 まさかあの蘭学医の杉田玄白の事なのか。

 確かに、杉田玄白は、平賀源内の盟友だと伝えられていた。


 あの杉田玄白が翻訳したとされる『解体新書』、『ターヘル アナトミア』の編纂へんさんにも平賀源内は関わっていた。


 さらに、源内が門人、九五郎をあやめ獄中で餓死(直接の死因は破傷風だと記されている)した際も、源内の遺体を検死したのが杉田玄白とされる。


「ああ……😓💦💦」

 僕が、どうするか考えている間にも廊下を歩く足音は近寄って来た。


『よォ~ー……😆🎶✨ 勝手に入るぞ❗❗』

 返事も待たず、玄白はふすまに手を伸ばした。


「ううゥ~……」

 いったい、どんな人なのだろう。教科書で知っている杉田玄白は、かなり高齢で痩せた老人と言う印象だ。


 日頃、昵懇じっこんの仲なのだろう。

 なんの躊躇ためらいもなく襖が開かれた。

「おお、源内❗ 良かったな❗❗❗」

 思った以上にイケメンの男が会釈した。


「う……❗❗」彼が杉田玄白なのか。





 ( ^-^)ノ∠※。.:*:・'°☆

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