第36話

「おランの事は僕に任せて下さい❗❗」

 僕は、かしこまって蔦屋の旦那に頭を下げた。


「うむ…… 頼むぞ❗❗」

 蔦屋の旦那は頷いておもむろに立ち上がった。


「あ……、ちょっと待って下さい❗❗」

 僕には、もうひとつ蔦屋の旦那に、どうしても聞かなければならないがあった。


「ン……❓❓ ああ、そうか。

 ケッケケェ…… 済まなかったな……」

 だが、旦那は思い出したようにふところを探った。


「ン……❓」何かと思ったら、蔦屋の旦那は巾着袋を取り出した。

「ン…、これは前金だ……」

 小判を十枚ほど手渡してきた。


「あ、いや、お金の事では……」

 一旦、受けとるのをこばもうとした。


「いいから…… 取っておけ❗❗

 おユウの事とかで、かなりの借金を作ったンだろォ~ー……❗❗」

「え……❓ おユウの……」

 すぐに、おユウの顔を伺った。


「……😔💦💦」

 おユウも少しバツの悪い顔をして視線を逸らせた。


「ン……」なるほど、そうか。

 彼女を女衒ぜげんから買い取った時に、纏まった金が必要だったのだろう。

 いずれ源内は金に困り、借金が元で九五郎をあやめたとも考えられる。


「では、遠慮なく受け取っておきます」

 金の事もそうだが、僕には是非、旦那に聴きたい事があった。

「あの…… それはそうと…… 旦那、今の年号はなんでしょう……」


「え、なんだ…… 源内、頭を殴られて、そんな事まで忘れたのか❓❓」

 気の毒そうに眉をひそめた。


「え、まァ~、ちょっと……

 殴られたショックで……」

 ついショックと言う言葉を使ってしまった。

「ン……、なんだ…… ショックッて❓❓」


「あ、いや……、そうですね。衝撃とでも言いますか……」

 なるほど…… 外来語は通じないのか。

 まさか、二十一世紀からタイムスリップして来ましたと言った所で信じやしない。

 それこそ頭を殴られて、おかしくなったと思われるのが関の山だ。


「今は…… 寛政だが、全く世知せち辛い世の中さ……」

「ま、まさか…… 寛政何年です❓」




 ( ^-^)ノ∠※。.:*:・'°☆


 

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