第5話 淫乱《みだ》らなキス……😆🎶✨💕

 それとも特殊詐欺グループによる『新手の』なのか。 


 このまま、お蝶と激しく抱擁し、合体ジョイントライブを敢行した瞬間ところ見計みはからい、怖いお兄さんが乗り込んできて、僕を絞めあげ、

『おいおい、俺の彼女と何やってンだよ❗』

 と脅して来るのだろうか。


『あんまり舐めてると、す巻きにして東京湾に沈めるぞ❗❗

 嫌なら五百万、耳揃えて用意しな❗❗❗』

 そう言って恐喝されたら、どうしよう。



 いやいや……、そんなバカなはずはない。



 だいたい僕のようなプアーな漫画家のアシスタントをハニートラップに掛けて、何を奪うと言うのだ。

 百万円だって用意出来ない。


 月末の預金残高は、いつだってゼロに近い。

 家賃だって滞納がちだ。

 そんな僕を騙した所で奪う金品モノなんて何もないのだ。


 これだけ大掛かりな【トラップ】を仕掛けるなら、もっとリッチマンにしないと割りに合わない。



 なのに、このエロティックな展開は有り得ないだろう。



 もしかしたら如月アスカ先生と間違えているのか。

 確かに、如月アスカ先生なら億単位の金も用意出来るだろう。


 スタジオの前から尾行し、車で轢いて気を喪った僕を拉致したのだろうか。


 そりゃァ、アスカ先生の顔は世間には公表されていないが、僕よりは遥かにイケメンだ。



 下調べもなしに、僕を【ハニートラップ】にかけたのだろうか。



「センセェ…、ン……👄✨💕💕」

 不意に彼女は甘えたような鼻声で僕を呼び瞼を閉じた。


 えェ……❓❓ な、何…… まさか……

 キスなのか……


「あッわわわわわァ~ー……」

 マジか…… こんな事……

 僕が狼狽うろたえているうちに彼女はキスを迫ってきた。

 一気に心拍数がマックスだ。


 ついに彼女と唇を重ねた。

 柔らかな唇が僕の口に触れてきた。

「ああァ~……」

 まるでハプニングみたいな突然の出来事に僕はビックリし身体が硬直した。


 僕に取って生涯で初めての口づけだ。

 もう少し耽美たんびでロマンチックなキスを期待していたのに残念だ。


 僕のようにブサイクで将来性の薄い漫画家のアシスタントにキスをしてくれるなんて信じられない。


 もう天にものぼる気分だ。このまま時間が止まってくれたら、そう願うしかない。

 なのに…… なのに、だ。

 さらにお蝶は僕の唇を割っていくみたいに舌をし入れてきた。

 

『ええええええェェ~ーー……❓❓❓❓』

 やはり僕は夢を見ているのだろうか。

 これは、なのか。いやいや、悪夢ではない。 


 こんな良い夢なら、このまま一生、目覚めないで欲しい。

「ゥ、ンゥ~……」

 初めての経験に身体を震わせ、彼女の舌を受け入れた。



 ( ^-^)ノ∠※。.:*:・'°☆

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