第3話 歓迎会にあたって



 その数日後、学校の許可をもらわずに、転校生を含む四人はその廃屋にやってきた。もう高校生なのだから、いちいち先生の許可など不要だと部長は言うが、おれはビクビクしていた。不法侵入になるのだ。警察に捕まったら、なんと言われることやら。

「わたしの親は、不動産屋なの。ここの物件の安全性をチェックするわってパパに言ったら、それならいいだろうって許可くれたわ」

 増山は、得意そうに鼻の穴を広げた。

「それじゃ、合法的ってことだね……」

 子どもも子どもだが、親も親だ。なんとも思わないのだろうか。増山は、かなり甘やかされているのだろう。

 すでに歓迎会の準備がはじまり、ジュースやポテトチップスなどが床に転がっている。(お花見用のビニールシートが敷いてあった)。

「そろそろ夜になるね。じゃあ、はじめようか」

  部長の高田が、火の付いたロウソクを手に立ち上がった。

「え、なに」

 おれがポカンとすると、高田は重々しく、言った。

「これより、三田村秀二くんの歓迎会をおこなう。さて、その際、みなさんにノルマがある。この歓迎会では、各自の経験したり、友だちから聞いた怪談をひとつ披露し、ロウソクの火を順番に消していくことになっている。つまり、百物語をやろう、というわけだ」

「聞いてねえよそんなの……」

 おれは、歓迎会に百物語なんて場違いだと思ったが、みなは大真面目である。この高校の演劇部は、変人ぞろいだなとおれは思った。

 転校生の三田村は、壁にもたれかけた。

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