第3話 歓迎会にあたって
その数日後、学校の許可をもらわずに、転校生を含む四人はその廃屋にやってきた。もう高校生なのだから、いちいち先生の許可など不要だと部長は言うが、おれはビクビクしていた。不法侵入になるのだ。警察に捕まったら、なんと言われることやら。
「わたしの親は、不動産屋なの。ここの物件の安全性をチェックするわってパパに言ったら、それならいいだろうって許可くれたわ」
増山は、得意そうに鼻の穴を広げた。
「それじゃ、合法的ってことだね……」
子どもも子どもだが、親も親だ。なんとも思わないのだろうか。増山は、かなり甘やかされているのだろう。
すでに歓迎会の準備がはじまり、ジュースやポテトチップスなどが床に転がっている。(お花見用のビニールシートが敷いてあった)。
「そろそろ夜になるね。じゃあ、はじめようか」
部長の高田が、火の付いたロウソクを手に立ち上がった。
「え、なに」
おれがポカンとすると、高田は重々しく、言った。
「これより、三田村秀二くんの歓迎会をおこなう。さて、その際、みなさんにノルマがある。この歓迎会では、各自の経験したり、友だちから聞いた怪談をひとつ披露し、ロウソクの火を順番に消していくことになっている。つまり、百物語をやろう、というわけだ」
「聞いてねえよそんなの……」
おれは、歓迎会に百物語なんて場違いだと思ったが、みなは大真面目である。この高校の演劇部は、変人ぞろいだなとおれは思った。
転校生の三田村は、壁にもたれかけた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます