第3話別格
私にはこれと言った趣味がなかった。専門学校も親の勧めで何となく行っている感じで、太っている私は、同級生の軽いからかいの対象でしかなかった。
それがあこがれの人から
「良かったら、二人で食事でも」
と言われたのだが、私は丁寧に断った。それは以前の私を「蔑視」していたような人だったからではない。好青年のなのだが、
私はもう「私」に熱中してしまっていた。
体重も測ってはいたが、そうしなくても、自然に食べ物などを気を付けるようになりカロリーの高い外食は避けていた。
「より美しくなりたい」
今まで化粧などしなかった私が、スキンケアの方法を色々試し、爪も、ネイルではなく爪そのものを美しく整えるようになった。化粧品も良いもの揃え、町を歩くと振り返ってみる人も出てきた。そんな日がしばらく続き、とうとう「スカウト」から声をかけられた。
「君きれいだね、映画に出て見ない? 」
だがいかにもAVのためのスカウトで、私は全く相手にしなかった。すると、そういう人までが日に日に増え、面倒になって来たので、友人から聞いたある場所に行くことにした。
そこには「しっかりとした会社」の人達がいて、そこでスカウトを受けるということは「使い捨てにはならない女性」である証拠なのだという。
「此処で勝負してみたい」
一年前に履いていたスカートのような、大きな自分がいた。
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