眼差し
噓から出た真実
第1話 僕と彼
目が覚めた。
僕の本能から今はお昼頃だと伝えられる。
窓の外を見渡す。
さすがは僕の体内時計。今日も絶好調だ。
……。
心臓がバクバクと音を立てながら装備を纏い武器を手に早足で外へ出た。
着いた。
こんにちはギルドさん、会うのは二回目。
昨日ぶりだね。
そんな事を考えて気を紛らわせながら扉の前に立つ。
深呼吸。すぅーはぁー。すぅーはぁー。
…意を決して扉を開く。
丁度同じタイミングで大柄の男性とすれ違う。
すれ違いざまに一瞬見ただけでも、強そうという感想は抱けるような筋肉を持ちながらも―
違う、そんなこと今はどうでもいい。
仲間だ。
気を取り直し掲示板へ向かう。
貼られているパーティメンバー募集の張り紙の中から良さそうな人を見つけよう。
僕を必要としてくれる人はいるはず…はず…
そう信じよう。
トントン
僕の肩がたたかれた。
必然的に原因を探るために振り向く。
そこには一人の人間がいた。
その人は剣を腰に携えている。冒険者なのだろう。
「突然すみません、その耳の形、もしかしてエルフですか?」
低めの姿勢で来たこの人はエルフというものを見た事がないのだろうか。
とりあえず僕は頷いた。
すると物珍しそうに目を輝かせて。
「見たところあなたもパーティメンバーをさがしてるんですよね。もし良かったら一緒にパーティを組んでくれませんか?」
この人は冒険仲間を探している。
そして僕も冒険仲間を探している。
あぁ!神様ありがとう!助かりました。
そんなのokにきまっているじゃないか!
……しかしここで
「いいんですか!?こちらからお願いしたいくらいです!!」
などと言ってしまえば舐められてしまう可能性がある。
僕は右手と右手の親指を上げた。
グッドポーズをすれば舐められまい!
しかしなにも話さないのも感じが悪い…。
ならば。
「これからよろしくお願いします。」
「ありがとうございます!えと、ここで立ち話もなんですしあっちの席で話しませんか?」
導かれるがままに僕は席へと着いた。
「まずは自己紹介でもしましょう。では僕からいかせて頂きます。」
相手のこと何も知らずに仲間になることを決めた僕は馬鹿だなと思いながらいい人でありますようにと願う。
「僕の名前はヤマト、この剣が相棒で特技は指パッチンです。」
そう言いながら指でパチンと音を立てる。
いい音。
うん、良い人そうだ。
流れ的に僕の番だ。
「えっと、僕の名前はトラル、自慢の体内時計を持っています。お気づきのとおり僕はエルフで背中の弓で遠距離攻撃をします。」
特に何もせずに言った。
体内時計は動作で表せないだろう。
「僕ということはトラルさん男の子なのですね?」
僕は頷く。
僕が男か女か迷ったのかヤマトさんは。
何かを察したのか
「いや、トラルさんの整った顔立ちがなんというか中性的というかなんというか…」
ヤマトを困らせてしまった。
どうしよう。
「ヤマト、まだ出会ったばかりだけど呼び捨てでいいよ。僕も呼び捨てで行くから。」
少し上から目線な発言をしてしまった。
これは後悔案件なのでは?
「わかった、改めてよろしくトラル。とりあえずクエストにでもいこうか!」
良かった、大丈夫そうだ。
というかヤマトテンションが上がっているようにも見える。
眼差し 噓から出た真実 @usokaradetamakoto
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