減っていく時間

あれから、学校に来ても健翔に会えない。

LINEでは、部活が忙しいとだけ。

でも知ってるの。何回かは部活が休みだった。

ホントにカノジョなら、何で幼馴染のわたしに言ってくれないのかな。

応援もさせてくれないの、淋しいな。




「呼び出して悪かったわね。香納かのうさん」

「いえ……」


ある日突然わたしは、高木さんに呼び出された。


「あなたにお願いがあるの。言わなくてすむならよかったんだけど、佐伯くんの周りちょろちょろしてるからハッキリ言ってあげようと思って」


芳しくない物言いだ。


「迷惑だから今のうちになんてやめてくれる? 」

「ストーカー? 」

「やだ、自覚なかったの? 頭大丈夫? カノジョいるのに幼馴染だからってちょっと図々しくない? 」


正直、こんな言い方する人は健翔のカノジョであってほしくない。


「ごめんなさい。わたしが来れる日はいつも一緒にいてくれていて、カノジョが出来たってことも聞けてなくて。知ってたら行動出来たんだけど」

「は? 親切な忠告してあげたのに何? ただの幼馴染が人のカレシと一緒にいないで。馴れ馴れしく名前呼んでんじゃないわよ。知らなかったからじゃ理由にならないのよ。金輪際関わらないでいいわね! 」


親切が聞いて呆れる。

ああいう人、絶滅危惧種って言うのかな。

健翔は、ああいうワガママな女の子が好きなのかな。

わたしとは正反対。だから変わらないままなのかな。


それから、健翔を見掛けることはあっても、何だか話し掛けにくくなってしまった。

何だか浮かない顔してるけど、喧嘩でもしたのかな。

恋愛は喧嘩もしてお互いを知っていくものだって聞いたことがある。

喧嘩をしないカップルはお互いを立て続けているから、見たい部分だけを見て、見せあっているだけの上辺の付き合いになりがちだって。

……頑張って、私の分まで。

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