減っていく時間
あれから、学校に来ても健翔に会えない。
LINEでは、部活が忙しいとだけ。
でも知ってるの。何回かは部活が休みだった。
ホントにカノジョなら、何で幼馴染のわたしに言ってくれないのかな。
応援もさせてくれないの、淋しいな。
「呼び出して悪かったわね。
「いえ……」
ある日突然わたしは、高木さんに呼び出された。
「あなたにお願いがあるの。言わなくてすむならよかったんだけど、佐伯くんの周りちょろちょろしてるからハッキリ言ってあげようと思って」
芳しくない物言いだ。
「迷惑だから今のうちにストーカーなんてやめてくれる? 」
「ストーカー? 」
「やだ、自覚なかったの? 頭大丈夫? カノジョいるのに幼馴染だからってちょっと図々しくない? 」
正直、こんな言い方する人は健翔のカノジョであってほしくない。
「ごめんなさい。わたしが来れる日はいつも一緒にいてくれていて、カノジョが出来たってことも聞けてなくて。知ってたら行動出来たんだけど」
「は? 親切な忠告してあげたのに何? ただの幼馴染が人のカレシと一緒にいないで。馴れ馴れしく名前呼んでんじゃないわよ。知らなかったからじゃ理由にならないのよ。金輪際関わらないでいいわね! 」
親切が聞いて呆れる。
ああいう人、絶滅危惧種って言うのかな。
健翔は、ああいうワガママな女の子が好きなのかな。
わたしとは正反対。だから変わらないままなのかな。
それから、健翔を見掛けることはあっても、何だか話し掛けにくくなってしまった。
何だか浮かない顔してるけど、喧嘩でもしたのかな。
恋愛は喧嘩もしてお互いを知っていくものだって聞いたことがある。
喧嘩をしないカップルはお互いを立て続けているから、見たい部分だけを見て、見せあっているだけの上辺の付き合いになりがちだって。
……頑張って、私の分まで。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます