第4話

消えてゆく記憶

そんな中にまだ理性を失わず

あらがう主任


頭をかかえながら湖を眺めていた

そこへ他の人達が集まって来た


青年は

「釣りにいきますよ、行かないと夕飯は残念な物になりそうですから、今日も大漁になるように、頑張りましょう」


業者B

「そう言えば主任は昨日釣りに行かなかったですよね、勿体ない、この湖には沢山獲物がいるから、釣ってて楽しいですよ」


業者A

「本当に凄いですよね、小者から大者、やっぱり美味しいのはメスですね、昨日の夕飯絶品でしたしね」


主任?

[彼らは一体何を言っているのか?]


とりあえず用意された小舟に乗り込む

小舟は湖の真ん中辺りへ到着


湖の水は本当に綺麗で

湖のずーっと奥深くまで見える


皆は釣りの用意をしているが

主任は湖のずーっと深い場所を見ていた


何故か解らない

悲しみと恐怖が胸をヨギル・・・?


主任

[この湖の底に微かに見える風景は、どの様に見方を変えても、普通の町だ、しかも人が普通に生活している様に見える、なぜ一般人が暮らす町並みが見えるのか?、他の者達は何も気に止める様子も無く、釣り糸を湖深く垂らし話を始めた]


青年

「やっぱりメスが良いですね、実(身)もやわらかく、程好く脂ものってるし」


業者A

「そうだな、特に幼子が旨いな」


業者B

「オスは実(身)より、筋が多いから美味しくないしね、何か他の料理レシピは無いのかな?」


青年

「でも毎日湖の人にも飽きるし、野山をウロツク野生人肉でも狩りに行きますか?」


業者B

「それ、いい考えだな、じゃあ明日早速やるか?」



主任??

[狂ってる・コイツらは・嫌!!、

今居るこの世界が狂ってる!?、早く抜け出さなければ・・・ドコ・か・ら・・・だァ~!!]


心の中にある思いは

少しずつ確実に消滅して行く

今の自分に出来る事も限られる


まるで記憶の限界を指し示す

タイムリミットをあらわす時計は・ドコへ・・向かう・・・の・か?



ふたたび朝が訪れた

朝日が窓から射し込む


運送業社主任は

まぶしい日射しで目覚めた

[・ま・た・・日づけが変わった・のか・・・?、アノ声の主は・・俺以外の者達には、自分が見えると言って・いたが、他の者達は・本当にアイツを見ている・のか、他の者達は一体どのような形で、アイツを見ている・・・?]


主任が考えている最中も時間は流れていた


・・・・ここは?!

森の中・・・なのか?


樹木や木の葉の間から光が射し込む

少し離れた場所には彼等も居た


主任は少し前(昨日)の話し・・・


[もし本当に野生の人間らしき者達が居たら、彼等は狩りをするのか、まさか人間を食べる・・・?]


???

【あんた本物のバカだな、湖の底には何が居た?、もうとっくに食べてるだろ!】


主任

[・・・ッ!、アレラハ・・・!]


その時だった


主任の居る場所から左方向で何かが動いた


主任はびっくりして顔を向ける

・・・・・?

・・・・人・・・かッ?!

野生人間?


そこに身を潜めて居たのは

まさしく裸の人間

だがシッポの様な物が見える


主任がボーっと見ていると

他の者達が気付き静かに主任の側へ集まりだした


青年

「見つけたなら、教えて下さいよ、逃したら今夜夕食無しですよ!」


業者B

「やっと獲物にありつけましたね、これで夕食確保ですね」


主任

[・・・コイツら本気・なのか?、アレはどう見てもシッポ以外は、普通の人間ろ!]


主任

「ちょっと待て!、皆冷静になって見てみろ!」


主任の言葉は届かずすでに彼等は

野生人間を囲んでいた


主任が大声をだしたその時

時間が止まった!


又だアイツか?

[でてコイ!、お前は一体俺達に何をさせたい、全てが間違っている、

隠れていないで出てコイ!]


すると主任の目の前に影が現れた

影はゆっくりと人型へと変わる


そこに姿を表した人は・・・!!!


[なぜ・だッァ~!!?!]


森の中

主任が声を出し呼んだモノは

一瞬で時を止めた!


ソノ者は主任の影が伸び人の形と成った


主任は今目の前で何が起こった事に驚き声が出なかった


???

【おい!、お前が呼んだんだろ、何か言ったらどうだ!】


主任

「お前・・・今・・・何をした!」


???

【何って?、俺は何もしていない、ただずっとお前と一緒に居ただけだ!、お前が気付かないのが悪いんじゃねえの!】


主任

「いつから俺の・・・か・げに!」


???

【何時って、産まれた時からに決まってんだろ、俺はお前なんだから!!、時間が消えたやら飛んだって笑えた、こんな事に成る前に早く消えれば良かったのに、あ~アッもう限界だな!、でッおっさんはどうしたいの、早く記憶消して俺に身体よこす、それとも今まで通り俺とおっさんが交互に時間共有する!、どっちが良い、早く決めてくれないかな~、こっちにも都合があるんだよね!】


主任

「記憶が飛ぶ・・・・」


???

【・だ・か・ら・おっさん面倒くさいっての、記憶は飛んだりしてないから、おっさん寝てるからソノ間は俺が動いてた、ただそれだけの事!、まだ解らない!、あんた1日の大半を眠り続けてるの、だから人格の違う俺が動いてた、それだけの事、解ったかな?】


主任

「俺が・・・眠ってる?!、違う!!、現に今俺はこうして・・・・・」


???

【眠りの中に居る、だから時間が止まったと感じてる、これら全部あんたの夢の中だっての、おっさんはもう何ヵ月も眠ってるんだよ、だからずっと夢の中に居るの!!、解んないかな~、おっさんマジ頭悪いんだな、いい加減気付けよな!、夢と現実の狭間!】


主任

「いやッ違う!!、これは現実だ!!、夢なんかじゃない!!、全て現実だ!!」


???

【ふ~ん、あんたはそう思うのか、じゃあ現実だと言える何かを早く思い出せよ!!、あんたが本当に思いださなきゃいけない真実を!!】


主任

「真実だと言える何か?・・・思いださなきゃいけない事?!」


その瞬間主任は皆と一緒に家の中のリビングに居た・・・・


ーーーーー次回ラスト真実へ

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