第2話

運送業者の車は不動産屋に案内されるままに郊外へと誘導される


道は一本道ただひたすら真っ直ぐ走るだけ


走り続け道幅が狭くなりやがて

林道から山道へそして森道へ


運送屋主任はだんだん不安に成る

町に住む者はソノ町を出る事が無く


他の町に行くのも全て地下鉄

動く景色の移り変わりを見るのも初めての出来事だったからだ


今は町から出て一般道を使う者等イナイ


車も地下道を使い他の町へ行く

普通に一般道を使う者は余程の事情が有るか違反者ぐらいのモノだ


等と考えていると

車は森の奥深くへと景色が変わる


見渡す限りの樹木や草が覆い付くし

まだ昼間なのに周囲は薄暗く

夕方の様に思えてくる


随分走ったはずだが周囲の景色は森の奥へと進むだけ


こんな場所に家が有るのか?

考える事すら怖く成る


今一緒に居る者達はこの現状を変だと感じないのか?


その時不動産が遠く指さし

「あそこです・・・・」

そう言われ真っ直ぐ前を見る


運送業者主任は・・・?

「えッ?!、あそこって?ドコですか、私には何も・・・?!!」

その直後主任の言葉を遮る様に


業者Bが

「見えましたね、あの白い洋館ですか、中々良い場所じゃないですか」


不動産屋は黙っままうなづいた


主任はもう一度遠く前方を見た

すると確かに古風な洋館が建っているのが見えた

「後もう少しですね・・・」

の言葉と同時にもう一度前を見たが!!??


既に到着して車のエンジンも

止まっている状態だった

コレら全ての出来事に変だと思う者は誰もイナイ・・・・?!!


不動産屋が

「お疲れ様です、少し休憩してから、荷物運びいれましょうか」ッと一言


主任は・・・時間が・・・感じた


それはまるで映像の様に

余計な時間をカットしているようだった


だが誰もコノおかしな現象に気付いてイナイ・・・・・・


あるいはカットされた時間が

頭の中でビデオの早送りの様に流されているのか?


なぜ誰も何の違和感もなく普通で居られるのだろうか?


運送屋主任には・・・不安の二文字だけが頭の中で交差する


それでも業者主任は何も分からない中で皆に言葉を合わせていた

「天気も良い、程よく風も流れてる、絶好の引っ越し日和ですね」


その時だった後ろに付いていた車が到着した


車から青年が降りて来て

「本当に最高の場所ですね、ここから僕等の第二の人生が、始まるんですね、 高くそびえ立つ山々や森に囲まれた自然の中、目の前には綺麗な湖、これ程素晴らしい場所はどこにも有りませんよ!」

青年はそう言いながら大きくの伸びをする


業者A・Bも共に

「 本当に、こんなに素晴らしい場所で、我々の第二の人生が過ごせるなんて、自分達は最高に幸せ者ですね」と話ている・・・!!


業者主任はその時

頭の中に何かの引っ掛かりが有る事 に気付いた!?


でも自分は一体何に引っ掛かっているのか思い出せ無い・・・・?


自分は一体何を?

思いがコノ先へ進めない


その時・他の皆は湖の方を目指し歩いてた


湖?有ったのか・・・?

たしかココに着いた時は・・・何だったのか・・・?


不動産屋は業者主任の後方に居た

主任は違和感を感じ振り向く


不動産屋は何も言わず無表情のまま主任の真後ろにいた!!?

[彼は・・・たった今・・・]


そして不動産屋は小声で何かを呟く

「これこそが現実」・・・・


業者主任には聞こえなかったが

口元の動きが見えた・・・[この人は何を?!]

気付けぬままに

思考が停止した・・・・



たどり着いた場所は地図に無い

森の中に有るこじんまりとした古い洋館


山に囲まれたその場所には

家の敷地内から見える大きな湖が存在する


その場所は青々とした緑の木々に囲まれ自然がいっぱい


道案内をした不動産屋以外は皆

それらの光景を見て感動したはず


だが後ひとり運送屋の主任だけはこの場所を受け入れられずにいた


湖は太陽の光を浴び光輝く

水は透明で湖のずっと底まで見える

と誰かの話し声が聞こえてくる


確かに全てに非は無いこの場所だが・・・・・[心の何処かで違和感]


【消えろ!!】


主任は大切な何かが欠けているような気がしたが思い出せない


それが余計気になり・・・

自分達の本来の目的からズレている様な


【ふふふッ・消えろ・消えろ!!】


自分達は荷物を運ぶ引っ越し業者で

青年はココへ引っ越しを望み

自分と2名の部下は荷物を運んで来たはずだ・・・が?


青年と部下2名話しが・・・変?!

【変じゃないよ、それが普通だ!】


引っ越し業者の2名の部下は

何故か此処に住み付くような話しの受け答えを繰り返している


話は主任を無視して

明日からの毎日の過ごし方に変わっている


主任が何かを考えると時が・・・

【消えろ!消えろ!!】


時の中に有る記憶も・・・

だが主任もまだソノ事に気付いていない!!

【普通の日常なんかいらないんだよ!、全部消えろ!!】



湖のほとり三人の若者達が立ち並び

綺麗な湖を見て

今日はこの後何から始めるか相談中


少し離れた所でその様子を見ていた

主任は?


・・・・この後?

引っ越し荷物を運び入れる

【違うだろ】


後?・何がある・何をする?

我々の目的って確か・・・?


何かが頭の中で弾いた・・・?


頭の中で訳の解らない違和感を感じながらも・・・・

少しづつ確実に何かが消える


主任は・はッと思い振り向く

直ぐ後ろに居る不動産屋を見る


あれ!?

この人さっきはもっと後ろ

そう確か車の側に!?・・・車?


?何の車だ?何が無い?


いいや・・・ちがッ・ウソだろ

だって自分たちは・・・?


頭の中の言葉//何かが遮る//停止


主任は湖の側に居る

部下に話をする為に駆け出した


主任「おいッ!、お前達いつまでも何をしている!、早くしご・と?」

【消去!】


部下のAが

「どうかしましたか?、部屋割りも終わった事ですし、今日の食事、この湖で魚でも釣るって、どうですかねッ?」


全てが・・・・部屋・割り・・?


主任「何を・・言って、我々はココへ・・・(何)を?」


部下B「本当にいい所ですね、家の直ぐ前が湖って、最高ですよ」


(主任)・・家ッ・・・もっと後・・に・・?

振り向くと・・・家がソコに在る


解らない・・・なぜ?!

皆・・・何・・・違ッ・・・

「そうだな?、湖の魚・良いな」


【ふふッ・・・またひとつ・またひとつ消えた】


いつの間にか

家のウッドデッキに繋がる

小さな階段に腰を掛けていた


不動産屋は

ただこちらをじっと見ている


主任が首をかしげて

何かを思いだそうとしていたが


不動産屋は小声で

【まだだよ、まだまだ】


主任は

不動産屋の口元が動く様を見て


彼が呟いている様子に

見覚えが有る事を思いだしたが


確かあの時も・あの時・あの時・いつだ?・・・いつ?!


何が消える・・・メモ・・に・・

[忘れる・時が・える!]・・・違ッ


ーーーーーーーーー続く~~

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