カラス[現実逃避]

神楽

第1話

昔カラスは普通に他の動物達と仲良しだった


多分皆さんが知ってるお話はこんな感じ

内容も神様に逆らい黒くなった・だよね~


ではお話し始めるよ~


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー[からす]


都会に住んでいた青年が

次から次へと真新しい物が

目の前を通り過ぎて行く様を見て

いい加減な事に

それらの贅沢に飽きてしまった


何もかもが目の前にある

もう必要な物は無い


青年は日常の暮らしにも飽きて

何か刺激が欲しいと思う様になる


ある日テレビを見ていると

昔の田舎の風景が映像として流れていた


それを見た青年は都会には無い

自然な風景に刺激を受けて


何のためらいも無く

田舎に引っ越す事を決めた


どこに引っ越すか?

不動産屋に行きとにかくドコでも良いからすごく田舎で密集地じゃ無く

のんびり暮らせる一軒家


不真面目な決め方だが不動産屋は迷うこと無く

本人が望む田舎の一軒家を紹介した


青年は何も考えずに

「じゃ、それ下さい」そう言った


不動産屋は呆れた

田舎の一軒家をまるでオモチャでも買う様に何も考える事なく

[それ下さい!]!!


確かにこの物件は自然の中にある田舎だが!ソレ以外何も無い・・・でも・・・・・・


【好都合!!】

ッと小さな声で呟いた


青年は何のこだわりも無く

家を買った


不動産屋は

「お客様の、第2の人生の門出にふさわしい物件ですねッ」


さて

家を買った青年マンションに戻り

早速引っ越し業者に連絡して

引っ越し日を決めた・・・・・・


引っ越しの日になり

業者が来て荷物を積み込み

青年は自分の車で

業者はトラックで移動


業者の責任者が青年に話す

「自分達はお客様の車の後に付いて行きます」


青年は・・・えッ?な感じで

「僕は住所以外、正確な場所を知らないんです、だからトラックに付いて行きます」と言った


ところが

業者も同様の答えを返して来た

「何度も探しましたが、地図にもカーナビにも、住所の正確な場所が、乗っていないので解りません?!」そう返した


青年は全て業者まかせのつもりで

正確な場所は調べなかった


仕方なく不動産屋に電話した


不動産屋は

「解りました一緒に付いて行きます」と快く引き受けてくれたが

「今から行くなら、着くのは真夜中を過ぎますよ」と付け足した


今は朝の10時半自分が合流出来る時間は昼の12時になると話す


運送屋主任は

「現地に夜中、それは困ります」と言う


結局その日の引っ越しは諦め

荷物はそのまま会社に持ち帰り

明日朝6時の出発になった


青年はその日はホテルに滞在

業者は会社へ

不動産屋は・・・・?


次の日の朝6時全員がホテルに集合

不動産屋は業者のトラックに

3人の業者のひとりは

青年の車に乗る事になった


でも帰りは?

3人乗りのトラックに4人は無理


不動産屋は一番近い駅まで荷台に乗ると言う

業者は荷台に人・・・仕方なく渋々受け入れた


出発・・・・

都会の真ん中から2台の車が走りだした


都会から少しづつ遠退いているのが分かる


規則正しい街並みが崩れていく

ビルや大きな建物が少なくなり

人の足並みも揃わない


青年はその様な町の様子を見て

[やっと解放される]ッと小声で呟く


助手席に座る業者は

その言葉が気になり聞いてみた

「何から解放されるのですか?」


青年は質問に・・・・反応はしたが質問の意味が解らなかった

「えっ、何か言いました?、僕は何も言ってませんけど・・・?」


業者Aは首をかしげ

「すみません、ただの空耳です」

そう答えた


長い時間を走り途中でコンビニを見つけ昼食をとる事に成った


コンビニ弁当食べながら

トラックの3人が話しをする


主任が不動産屋に話しかけた

「あの~不動産屋さん、地図やカーナビにも載ってない場所って、まだ沢山有るんですか?、引っ越しの仕事してて、この様なケース初めてで、今後の為に対応策考えないと・・・」


不動産屋は

「はい、多くは無いですが、有ります」と答えた


業者主任は

「付き添い頂いて、本当に助かります」と一言


不動産屋は何故か?

力無い小さな声で「ついでですから」と呟き又一言本当に小さな声で

「まさかあなたがねッ!」と呟く


主任は聞き返そうとしたが

なぜか不動産屋は心此処に有らず

そんな風に思えたので

何を言ったのかと聞くのを止めた


少しの昼食休憩後一行は目的地を目指し車を走らせた


そこから長い時間車を走らせ林道へと差し掛かる


主任は不動産屋に

本当にこの道で良いのかと問うが


不動産屋は何のためらいも無く

真っ直ぐ林道を進む様にと話す



ここまで来てカーナビも携帯も反応しなくなっていた


欲しいモノは何でも手に入る御時世で電波も届かない・・・事に初めて経験だ


彼らはソレだけ便利な世の中に住んでいる事を改めて実感した


何かに導かれなければ道を見失いパニクル


今は不動産屋と言う道しるべが居るその事が主任の唯一の救いだ


道しるべが無い以上運送屋は不動産屋の言葉に従うしか術が無く


主任は不動産屋の言葉に従う

【無知な〇〇達だろうか】


山道を進みあっという間に周りが薄暗くなる大きな木々が日差しをさえぎる


主任は益々不安になる

だが不動産屋は顔色を変えない


主任は不動産屋が何も言わないから

ただ前に進む事しか出来なかった


主任[そう言えば後ろの車は?]

ミラーで覗くとピッタリ後ろを走っていた


道は山道に差し掛かり林から森へと変わる


そのころ後続車の中でも会話があった


業者Aが彼に

「全ての電波が途絶えた様です、携帯も圏外になりました」


彼は言葉より先に笑って・・・少しの沈黙の後

「後少しで帰る、あの場所へ」

又しても青年は小声で呟く


業者Aは小声で呟く彼の言葉を聞き

大丈夫なのかこの人と思った


だからもう何も言わず口を閉ざした



道はどんどん深い山森へと続く


ーーーーーーー続く~~~

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