第34話

一方で洞窟に暇つぶしに行った勇之助は馬鹿でかい岩に大興奮していた。


「見ろよ、この質感只者じゃねぇぜ!」


「ただの岩に見える」と、アッシュは興味なさそうに魔法書をひろげた。


現世で勇之助の趣味は鉱石集めであったので、目の前のどデカイ鉱石は勇之助にとって男の浪漫そのものであった。


「なんだよー、ちっとは、賛同しろよなー」



「人にはそれぞれ向き不向きが、あっ、僕人じゃなかったっけ」


と、アッシュはひろげた魔道書で呪文を唱え始めた。


その横で勇之助はどデカイ鉱石をただ眺めていた。


「はぁー、生きてきて良かったぁ」

手持ちのバックからピッケルを取り出し軽く研いで


カキィィィンンン…

研ぎ澄まされた音が洞窟内を駆け巡る。その音で起こされたこの洞窟の主が目を覚ます




が、勇之助から滲み出る 魔王オーラに


【なぁんだ、魔王様か。二度寝しよ】


挑むまもなく 友好的に無視された。


「勇之助さんさぁ、もう少しオーラ隠してくださいよお。いくら鉱石か目の前にあるからって折角の腕試しが、なくなっちゃったじゃないですか…」


「む、ごめん」


勇之助達の前で二度寝をしようとしたドラゴンが、目を開けて

二人を見据えた。


【で?要件は?】


「いや、特にはないんだよね。洞窟入ったらどデカイ鉱石があったから心奪われちゃって」


【今回の魔王は、おかしいやつだな、欲もないとは】


「欲ねぇー出してもいいの?」


その瞬間ゾワっと空気が震えた


【…いきなり雰囲気が変わったな】


「じゃあー、君が欲しいなぁー」


ゾワゾワッ


【それは、私の力を欲しているのか?要件次第だと戦う事になるが覚悟はいいか】


「あ、違う違う、ドラゴンってさ空とか飛べるじゃない?それに火も吹けるじゃない?この闘技場出たあと 君がいたら結構楽しそうだなーって思っただけ」

適度に召喚とかできたら何かと便利だなぁって思ったけど、そうかー、タダじゃ動かないかぁー


と、勇之助が考えているとアッシュが会話に入ってきた。



「勇之助さんっ!またそんな軽い言葉言ってホイホイついてきたらどうするんですかぁ!!もうこれ以上人が増えるの僕いやですからね!?」



【アレは、お前の女房か?】


「違うよー。友達だよ、友達というか、仲間というかあと二人仲間が外に居るんだけど会う?」


今夜俺とデートしない?みたいなそんな感覚で話しかけてくるこの新米魔王様。


【楽しそうだし付いてってもいい?】


勇之助が嬉しそうに

「えっ!?いいの!ホント!?」


【まあ、そんなに期待には、添えないかもしれないけど!一応火竜だし、空も飛べるし、邪魔なら小さくなれるし】


え?小さくなれるん??


「どのくらいまで?」


【このくらいまで】


ボムッっと、軽快な爆発音が響いた。

煙の中から 芝犬サイズの火竜が姿を現した、はい。とっても可愛い

勇之助は、すでにメロメロなようだ。

「やばい。やばいよ、アッシュ」


「ゆ、勇之助さん、ちょっと落ち着いて」


【どうだ?かっこいいだろ】


「すごいね!やばいね!こんなに愛くるしい姿になれるなんて!!色の艶も最高だし

瞳の色も吸い込まれそうだし、そうだ!名前聞いてなかった」


【名前か?ないぞ?】


【もともと必要なかったからな、まあお前が付けてくれるんならば話は別だが?】


スッゲェ物欲しい目で態度で見てくる火竜である。となりのアッシュが妬ましいっていう目で俺を見ているのは無視する事にしよう。


「フレイムってどう?(流石に炎って意味なんだけど、安直すぎたかな…)」


【フレイム…なんて素晴らしい!!我は今日からフレイムと、名乗ることにする!】


あ、良かった気に入ってくれたようだ。隣のアッシュが死ぬほどウゼェけど。

外にフレイム持って

クロムと、カゲロウの待つ場所に戻ろう。









フレイムが仲間になった。

火竜 サイズが幅広く変更出来る。

基本強い。空も飛べるし、火も吹ける。

数百年の間面白いことが無かったので退屈していた。勇之助達との出会いが少しでも有意義と感じた為仲間になる。

洞窟から、勇之助、アッシュ、勇之助に抱えられたフレイムが出てきた。

それを待ってたクロムと、カゲロウが近づき話をする。そろそろこの巨大植物園でないか?と、


「まあ、ぶっちゃけ、ここの最強モンスターまで手懐けちゃってるからここにいる意味もないし、さっさと次行くよ」

巨大植物園で最強のモンスターとは、火竜=フレイムの事である


クロムが出口までの道順を把握しているらしく、俺たちはクロムについて行ったら20分くらいで出口にたどり着いたし、出口にいたエルフに声をかけられた。鬼婦人の事もあって身構えたけどそのエルフはクロムに用があったようだ。


「おや、ミシェル久しいね」


「あら、クロムシュタインじゃない?ようやく植物園から出て行く決意が出来たのね?」


「ああ、彼らについていこうと思ってね、楽しそうだろ?」


エルフの女性は俺たちをジッと見つめ含み笑いをした後

「ふふっ、そうね、将来が楽しみな子供達だ事…特に真ん中の子はなんか違うようね」



エルフの女性と別れた後

クロムの後について行き 無事巨大植物園を抜け出た。

その時にちらっと横目で見た文字は

25階 植物園で歩いた時は階段なんか気にしなかったけど結構歩いていたんだなあと思う。


「どうしました?勇之助さん」


「いや、結構登ってきたんだなぁって」


「そりゃあそうでしょ。

色々戦ったりしましたもん、一気に50階まで登り詰めますよ?」


休んでる暇が勿体無いですよと、言われ勇之助達は26階エリアに足を踏み入れた







巨大植物園編終了。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る