第30話
窓際に腰を下ろして俺は真上からあたりを見回す。状況を確認するために必要なことである。
この場所でのボスは、リーダーは誰なのかを探そうかと思ったけど、実のところ判定の難しことはしたくない主義なので、とくに何かを考えることなど勇之助は本当に窓辺に腰を下ろし下の様子を楽しむことにした。
しかし、本当に血まみれだなぁと。思いながら、若干生臭くなっている闘技場の換気をしようと窓に手をかけるが、開かないことに気がついた。
闘技場のドアもエルフたちが守っていて開けさせてはもらえないだとしたら
まずいこれは、罠だ!
言葉よりも先に俺は下に向かっていた。
「カゲロウ!アッシュ!一旦ストップ!!上に回避しろ!」
「「!?えっ?あーでもリーダーの言うことは絶対にだし、ラジャー!!」」
2人とも上の窓辺に回避した。
「カゲロウ、アッシュ急にごめんな?いきなりで悪いがこの戦いは中止にしてくれ」
「なんっで、」
「お前らよく見ろ」
勇之助に下を見ろと言われてみてみる。おかしい所なんてどこにもない。夢応無人に先ほどまで戦っていた者たちが歩いてるだけだった。
対象もないのに、だ。
「成る程、一杯喰わされたと言うわけですね。」
「カゲロウはまだ把握してないか…ほらあそこで歩いてるやつ、怪我を負ってないのに体から血が出てるだろ?」
「本当だ!すごい!」
「ここにいる奴らは全員グルってこと。多分カゲロウにチラシを渡してきた エルフも、闘技場にいる者たちも全部だ」
カツン、床を突く音が聞こえた…
何処からともなく風が入ってきた。とても生温い風が。
「お前たち?どうしたんだい?獲物がいないじゃないかぁ?」
「あれ?先程までここに居たはずなのに??」
「何処へ逃げた??」
「早くしないと私たちがたべられてしまう!」などと下にいたエルフも闘技場内にいる者たちも3人を探し始めた。
「まさかぁ、逃がしたと言うのかな?こんなにも私が出向いたと言うのに??」
俺たち3人は窓際のカーテンの隙間から下の様子を見ていたけど、
どうやら今下にいる貴婦人が黒幕である事に気付けた。
怒っているのかみるみると貴婦人が変化していく、栗色の髪が赤にかわり、
ツノが生えて、目も鋭くなり
歯も尖ってきた。
いやもう、鬼じゃん?鬼だよね?
「んー。あれは鬼だねぇ。」
と、カゲロウが答えた。
しかも、けっこうな強さのだよ。多分気が立ってるから僕らのことも気がつかないけど 落ち着いたら場所判定されて血祭りにあう可能性大だよね、と
下にいる鬼は イライラしているのかそこに居たその場に居た魔物数匹を捕らえ
パクっと頭から食べてしまった…
真っ青になるエルフ、
「美味しくないわね。こっちのエルフは美味しいわよねぇ」
鬼の手がエルフの少女たちを捕らえた瞬間、鬼の手が綺麗に床に落ちた。
いや、勇之助が鬼の手を切り落としたと言った方が良いのだろうか
「俺がいるうちはそうゆうの禁止ね」
その腕から生えていたものは静かに床に落ちた。
呆気なく、脆くその肉の塊は自我を強調し始める。
「…!?なんだ!これは!!誰かいるのか!」
いや、誰だって貴方がたが、捕らえた得物ですけど?
なんて答えるのはあまりにも滑稽だなぁと、勇之助は思った。
「人間か?魔物か?どちらにしろ私の栄養にしてくれるわぁ…ヒヒッ」
喋り方がなんか姿と一致してないような気がする。見た目よりも若くないのか
などと、考えていたら鬼婦人の切ったはずの腕が生えてきていていた。
うん、なんでもありだな。
「わおっ。再生されてら」
とりあえず驚いてみた。
「ふふふ、わたしは不死だからな!」
それ、フラグですよ…普通敵に言わないでしょ
「不死って言ってもいいの?」
その質問に鬼婦人は
「はぁ?なんて愚かな事をきくのだ?どうせ、貴様はここで朽ちるのだ」
と、勇之助を見た。
貴様等ではないことに、まだ他の2人の存在に気がついていないことに勇之助はホッと胸を下ろした
「ねぇ、おねぇさん。不死って言ってもさアレでしょ致命的な傷を負えば死ねるんでしょ?」
目の前のとっても綺麗なお姉さんは
いい笑顔で答えてくれた、疑いもせず、時間をくれた。
どうせこの哀れな少年に少しでも哀れみを
すぐにでも殺せたはずなのにお姉さんは話してくれた。
でもそれはただの時間稼ぎにすぎない
ねぇ、そうでしょ?
さあ今宵も皆で宴をしよう!!
何世紀も前に、毎日のように宴をするお城が存在していた
その主人はその都市で1番美しく気高くとても、とても人から愛されていて、
彼女はこの、宴の時間が大好きであった。
ずっとずっと続けば良いと願い続けていた
彼女が年頃になった時、彼女の両親は相手を探し始めた。
相手は隣の国の貴族であったが
彼女の美しさと気高さに相手は一目惚れだったにもかかわらず、彼女はそれを拒んだ。
彼女は大勢の人から特別に扱われるのを好んだのだ。
相手1人だけなんて…つまらない
いつからだったっけな?両親が亡くなったのは
どうしたんだっけな?使用人達は
いつのまにか1人になっちゃったんだっけ…
最初は普通の女の子だった。
美しいと綺麗だと言われたのが嬉しくてずっと言われたいと強く願いながら生きてきた。
私よりも可愛い子、綺麗な子に負けたくなくて色々手を出したなぁ
あの時代が良かったなぁ
寿命が永遠になったのもこの頃。
悪魔と契約したのもこの頃。
契約した日に両親が、死んだっけ
内容は忘れちゃったけど…私の糧になったって事なんだよね。
しばらくすると無意識にお腹が空くのなんでかな?
気がつくと血の海なのなんでかな?
私1人になっちゃったの…なんでかな?
なんでかわからないけど…
私の周りに人がいればいいか。
私を褒めてくれる人達が居ればいいか、うん、いまは…
一瞬の事で感覚が付いてこなかった
腕が切り落とされたことに
とても久しぶりに痛覚を感じさせてくれたなんて
(痛いなんて、こんなことあったかしら?)
流れる血が、滴る血の一滴が
床に流れていくさまが、こんなにもこんなにも懐かしいなんて
楽しませてくれるんでしょお?
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