第29話
俺とアッシュとカゲロウは食堂の隅の方で集まり話し合いをはじめた。
手っ取り早く上に行く方法を考えはじめたのだ。
「んー、しらみつぶしに戦ってもポイントは稼げないし、疲れるよな。どうしたら良いかな」
目の前にいるアッシュに問いかける
爽やかな顔立ちには似合わない一言が放たれた
「もう、このフロアにいる人たち全員殺害するというのはどうでしょう?」
「お前、もっと隠せよそのドス黒いなにか!!?怖いわ!」
「カゲロウは、どうすれば良いとおもう?」
話題を振られ嬉しそうに懐から紙切れを出してきた。
「手っ取り早くとはわからないっすけど、このランキング戦勝ち抜いたらいいんじゃないですかね?」
と、紙切れを渡してもらった。
そこには【強者求む!てへっ!血みどろコロシアムはっじまるよー】と、可愛らしいポップ体で描かれていた。
「なにこれ」いや、なんだこれ…
「いや、さっき貰ったんす。お兄さんも腕試しにどうかって、エルフの受付けさんに」
「エルフの?」
「はい。エルフの」
エルフなんていたかな?見渡せば奥の方にエルフの子供達が忙しそうに働いていた。
ああ、あれか。小柄すぎて気付かないレベル
「ありがと、カゲロウ。運動程度にそこ行って戦い方の基本でも習いますか」
「アッシュはどこか行きたい所ある?」
即答で特にないです、勇之助さんのお側に置いていただけば…
アッシュは通常運転のようだ。よし、最後の方は聞かなかったことでいいや。
俺達3人は食堂で英気を養ってから
その紙切れを頼りに コロシアムの扉を開けた。開けた時に漂う臭気。
吐き気を装う床に散らばる肉塊
間違った扉を開けたかもしれないと、勇之助、アッシュ、カゲロウはおもった。
素早く右を向いて帰ろうと脚に力を入れたとき
とても、至近距離にエルフの子供達が居たことに気がついた
「ご来場ありがとうございますー!ここは三人一組で戦うコロシアムってなってますー、おやっ?もう三人じゃないですかー。
仲間割れとかはなさそうですねー。ではそのまま参加しちゃってください!」
「いや、登録とかはしてないけど」
エルフっ子は無邪気に
カゲロウの持ってる紙切れを指差して
「もう、登録してますけどー?」と一言。
「えっ、これ登録証なの?」
やり方が卑怯だと、思ったがもうおそいことに嫌でも気がついた。これは逃げれない、ゆかに散らばる肉塊になるかコロシアムで生き残るか道は一つなのだ。
「まあ、いいじゃないですか!僕血とか好きですよ!」
「勇之助!俺も闘いたいし!基礎も習いたい!!」
「はぁー、拒否権のない無理ゲーとはこの事かよ、アッシュ、カゲロウお願いがある」
なんでしょうかー?と勇之助を覗き込む二人に勇之助は「今日は暴れてもいい。つーか暴れろ」
「それは、ここにいる参加者の生き血を貪ってもいいとゆう事でしょうか、それはとても興奮します…ねっ!」
アッシュの目の色、顔つきが変わってゆく愛らしい少年ではなく父親に似た冷酷な顔立ちに、本人はまだその事には気づいてはいないみたいだ、それを知ってるのは今の所俺のみとなっている。
まあ、50階以降からクリス達と合流する訳だしバレるのも時間の問題だけど。
カゲロウはカゲロウでじゃあ、力加減しなくていいんだな!やったー!などと、嬉しそうにはしゃぐ姿をみてカゲロウはそのままがいいなあと感じたのである。
「えっとお準備整いましたかー?」腑抜けた声でエルフっ子達が話しかけてくる
だから俺も腑抜けた声で
「終わりましたよぉ~参加しますぅ~」と、できるだけ可愛く、出来るだけあざとくそこにいた全ての敵が引くまでにその声をだした。
「で、では中にどうぞっ…」
もちろん目の前のエルフっ子はドン引きだ。当たり前だろう目の前の青年から発せられたとっても可愛らしい声なんて出来ればなかった事にしたいものだ。
「わぁ~血みどろだねぇ~」
中に入ってもなお可愛らしい声を発する勇之助に対しアッシュも僕もやってみます!などということを始め
「わぁ、見てくださいょぉー生首ですっ~」
などと、勇之助に従順について行くのだ。
さすが、右腕さすが信者
「無理!おれにはできない!」
可愛らしい声など発したことのない獣人は崩れ落ちた、無念で堪らなくて
「いや、カゲロウはしなくてもいいよ。その獣耳があれば…モフもフゥ~」先ほどまで可愛らしい声をあげて参加者をビビらせていた勇之助がいつの間にかカゲロウの所まで戻ってきていた。
「そうですよ!獣耳うらやましい…僕にも獣耳があれば勇之助さんに撫でてもらったのにぃ」
「えっとぉ、説明うけますか?」
入る隙をずっと伺っていたエルフが話に入ってきた。
「じゃ、是非」
「基本ここでは三人一組で闘います、もちろんここにいる参加者達とですが、とりあえず最初はこの一階に居る参加者達とバトって貰います。ここにいる人達を全て倒したら一階はクリアです!どうですか、簡単でしょ?」
簡単でしょ?って言われてもけっこうな、内容だけど、いいのかな?
準備運動も、儘ならないままおれ達3人は放り込まれた
晴れて俺達3人は血みどろパーティに参加することになった。
あたらしい風というのはこうゆうことなのだろうか。
俺達が入ってきたことにより騒いでいた猛獣や、魔神の動きが止まった。
品定めされてると思うほどの痛い視線。突き刺さる事はないけれど
耐えきれるか心配になった時
「これは、負けたら死ですよ。勇之助さん」
と、いつものようにアッシュは話しかけて来てくれる。流石右腕頼りにしてんよ。
「はぁー、こんな危険なところ一ヶ月も走れるかなー心配だわ」
と、言えば後ろで目をキラキラとさせているカゲロウと目が合う。
「じゃあさ、おれにも責任はあるし、一番目は任せてよ!」
一応責任って思ってんのね。
「カゲロウ、責任って言葉知ってたんだー意外」
俺にししと、笑いながら言う
「うん、じやあまかせるけどーやばそうだったらアッシュ加勢してあげてー」
「わかりました!さあ!カゲロウ!行って来てください!」
「わかったー!見ててよ勇之助!新鮮な生肉もってくるから!」
生肉はいらねぇー
そんな気軽なやり取り。
まあ、魔人、魔獣、猛獣には癪に障ったようで
色んな場所から発せられた殺気はなかなかの物。
一気に攻められたら負けてしまうかもしれない…けれど一つの固体ならばカゲロウ1人で大丈夫だろう。
それに、そんな頭を使うような連中には見えないし。
「アッシュ、お前さビニールシート持ってる?」
勇之助は、次に来る災難の為の準備をし出した。
「ここに」
アッシュの懐から綺麗に折り畳んだビニールシートが出て来た。青いやつである。
「多分この後血みどろ合戦始まるだろうから被っとくか上に避難するかって思って、ってアッシュなにその目。あ、血みどろって言ったから参加したいとかいいださないでよ?」
「カゲロウがやばそうだったら加勢していいと言ったじゃないですか。それまでは上で見てますよ。」
ぶぅと頬をハムスターのように膨らませる
これがリリナだったらとてつもなく愛らしいだろう
「じゃ、俺は上で見物してっから参加したいなら参加してこい。くれぐれも味方を殺すなよ」
少し低い声で注意をする。
「だっ!カゲロウは殺しませんよ!」
「本当にか?ちゃんと、目を見て答えろ」
アッシュは狂気を纏うと手が付けられなくなる。カゲロウまで巻き込まれるのは困るだから、ちゃんと命令をする。
「はい、私アッシュは味方には攻撃は致しません」
今日は大丈夫そうだと、確認をしてから送り出す。
「はい、じゃ。頑張ってこい」
その言葉に反応してアッシュがウサギのようにピョンと飛び跳ねる。お前さんそんな脚力の持ち主だったっけ?
「新鮮な生肉もってきますねー」
だから、生肉いらねぇから!
2人は意気揚々と向かって行く。俺はブルーシートを被り二階の窓辺に腰を下ろした。
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