第22話

キャラバンの中で アッシュ、アオヤギ、カゲロウは試験疲れていたのか もう夢の中だ。


しかし、起きてる者たちも中にはいる。


勇之助、アイシャ、リリナだ。


「君たちは寝ないの?」


「そうゆう、貴方こそ」


「リリナは、もう少し起きてたいの」



勇之助はふっと一息 キャラバンの窓を少し開けた。

そして、小さな火を魔法で付けて


やんわりと暖かい光をアッシュ達に注ぐ。


その、穏やかな 目は 勇之助という人物がどれだけ仲間思いなのかを表していた。


「貴方、魔力なんかつかえますの?」


「一応ねー」


「勇之助、魔王だもんね」

リリナの予想外の言葉に、アイシャが固まる。勇之助は落ち着いてる


「リリナ、良く見破るね。おかしいなぁ。ちゃんと クリスに魔力の抑え方教わったんだけど」


「サキュバスは、そうゆうのは敏感なんですー。少しでも滲み出たらそれをすぐ解析して、その人に取り込む隙を探すのですよ?」



「リリナは敵には回したくないな」



「ちょっ!?こんな人間が!?魔王?」


「アイシャちゃん、魔王っていうのは たとえ人間みたいでも、なった者が魔王なのよ?」


リリナは 落ち着いた表情のまま、アイシャに語りかけた。


それを ぼーっと勇之助は眺める。


リリナ こちら側に欲しいなぁ。

見た目はめっちゃくちゃ タイプ。

性格も落ち着いてて、たまに何言ってるかわからなくなるけど、いいなぁ。うん。

口説くか。


そう決断した勇之助は なかなか行動が早くなる。



「リリナ」


「なにー?勇之助」


「ちょっと寒くなっちゃった暖撮らせて」


リリナに手を伸ばす


「ちょっ!?貴方!ぐっ、」過剰反応したアイシャが立ち上がるが、急すぎる睡魔によってその場に倒れこんだ。


ドサッ



アイシャには悪いけど 昼まで寝てもらう


「えっっとぉ?勇之助 寝ぼけてる?」


さらにぎゅっと強く抱き寄せられる リリナ


「寝ぼけてないよ。夜だからね元気な方かな。

俺ね、子供が好きなんだ。

でさ、リリナは見た目がまんま子供じゃない?

でもさ年齢は170これってさ俺にとってはさ好都合なんだよね」


「ロリコンって事で?」


「ロリコン関係ないから。てゆーかそうだったとしても

リリナが欲しいなぁーって思ったわけですよ」



「ずいぶんとー強引。アイシャ眠らせたのも 勇之助でしょー?」



「こんな話しアイシャが居たら出来ないし、邪魔だろう?」



リリナは勇之助の目をじっと見て


「まったくー。勇之助は魔王なのに子供みたいですねぇ」


「魔王に見えるだけで中身は子供ですから、リリナ もっと近くに来て」



リリナは、少し俯いて


「勇之助、そうなるとかなり密着するが」


「だから?」



何か問題でも?という目である。


「俺のわがまま答えてよ」


リリナは観念したのか


勇之助にピタッとくっついた。


直に伝わる 温かみが2人を温めていった。



「なぁ、あったかいだろ」


「うん。けどなんか恥ずかしいかもー」



と、リリナは 言いながら


勇之助の腕の中で 静かな寝息を立てて眠り始めてしまった。



「うん、俺も恥ずかしいよ」


と、リリナの後頭部に キスを落とし

勇之助もそのまま寝た。




あさ起きたアッシュが

何故か勇之助の膝の上にリリナが座って居て


それを普通に受け流す勇之助にもビックリして発狂したのは言うまでもない。アッシュは隠れ勇之助信者なのだから。




アイシャはアイシャで魔王の存在を感知できなかったのが余程ショックだったようで、誰とも目を合わせようとしなかった。

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