第74話:パーフェクト・シールド

 それは端から見たら、功夫映画でも見ているかのような格闘戦だった。


 シュガーレスは、いつの間にか腕装備を変更していた。

 HPを削る代わりに腕での攻撃力を30%も上げることができ、手甲の周りにシールド効果を得ることができる、短期決戦型のユニーク装備【カース・カイナ】。

 革の篭手のような見た目の全面に、呪文らしきものが読めない文字で記されている。

 まさに彼女の奥の手だ。

 それを使って、ロストのプラチナ・ロングソードを物の見事に捌いていき、ロストに攻撃を当てていく。


 一方で、ロストの動きも素人の域を超えていた。

 ロングソードで間合いをとりながら、接近されれば左腕のスモールシールドと格闘技で対応している。

 雌雄は、シュガーレスとあれほどやりあえるプレイヤーを他に見たことがない。


 そのあまりにも激しい拳と剣の舞に、雌雄どころかレアまでもが少し呆然としたように戦いを見つめてしまっている。


(純粋な技では老師が押している……が、なんなんです、あれは!?)


 戦闘中に数度だが、シュガーレスの攻撃が見えない壁に跳ね返されていた。

 それもまるで加えた力がそのまま跳ね返っているようで、突きを放てば腕を砕き、蹴りを繰りだせば脚を壊す。

 そのせいでシュガーレスは度々、バランスを崩してしまい、激痛に怯み、そこをロストに攻撃されていた。

 すぐに後衛役に回復してもらっているが、被ダメージ的にはシュガーレスの方が多い。

 おかげで後衛役の2人のMP消費が激しい。


(見えない盾……。見えれば、スキルデータベースに掲載されるのですが。そう言えば、最初の戦いでも、ロストさんは空中で見えない何かに手をついていましたね……まさか……)


 雌雄はしばらく動きを観察してから、「まさか」を確認するために風の刃をロストに向かって放とうとする。

 だが、そこに金色の風が割って入る。


「――うぐっ!」


「ハ~イ! そうはいかないわよ! あなたの相手は、わたしがするわ!」


 レアの刃を捌ききれず、雌雄は腹部にダメージを喰らう。

 先ほどまでは、とても一歩では踏み込めない位置にいたというのに、いつの間にか背後に回られていたのだ。


(わたくしとしたことが……目を離した隙に、【ムーブ・ポイント】を使われましたか!)


 すぐさま背後からHP回復の【ヒール・ライフ】が雌雄にかけられる。

 同時に援護の【サンダー・ランス Lv3】が、レアに向かって降りそそぐ。

 だが、それよりも少し前に、レアの上に【シールド・サークル】が展開されていた。

 雷の槍は、丸い光の盾に防がれてしまう。

 それはレアのパーティーの後衛役によるアシストだった。


 後衛役は、前衛役に強化バフをかけたり、回復したり、時には先ほどのように敵に攻撃を行う。

 WSDのゲームシステムとしては、前衛・後衛というシステムは存在しないが、プレイヤーたちがパーティー戦というものを考えた結果、役割分担をする戦い方にいきついたのは自然なことだったのかもしれない。

 しかし、もともとそういう仕組みがあるわけではないので、それに適した装備やスキル、動きを自分たちで考えて工夫する必要があった。

 その為、一言に前衛・後衛といっても、プレイヤーによって個性がでるし、同じレベルでも「強さ」には大きな差がでる。


 そして、中にはそういった役に囚われない者もいる。


「【アース・バインド】!」


 女性の声と共に足下に魔紋が現れ、地面が割れて雌雄の足に噛みついた。

 そしてさらに同じ声が叫ぶ。


「【ブレイク・スタッフ】!」



――――――――――――――――――――――――――レア度:★―――――

【ブレイク・スタッフ Lv.1】/標準取得

 必要SP:20/発動時間:0/使用間隔:0/効果時間:0

 消費MP:0/属性:物理/威力:50

 説明:両手杖用の攻撃技だが、棒状の武器ならば使用可能。縦振りすることで、前方15メートルほどの間に衝撃波を放てる。STR+5%のボーナス補正。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――



 いつの間にか前衛近くまで駆けより、両手杖で唐竹割りでもするかのように攻撃を放ってきたのは、敵の後衛役にいたフォルチュナというエレファ族の女性だった。

 雌雄は慌てて【リジェクト・スキル】を使用して脱出を図る。



――――――――――――――――――――――――――レア度:★―――――

【リジェクト・スキル】/一般取得

 必要SP:5/発動時間:0/使用間隔:10/効果時間:0

 消費MP:30/属性:神聖/威力:0

 説明:対象者に付加されている束縛、状態異常、強化、呪い等の効果がすべて却下される。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――



 足を咬んでいた大地が口を開いたのと同時に、体を横に投げだす。

 その瞬間には、フォルチュナがすでに何かを放っている。


(速い!)


 咄嗟、雌雄は正面に【シールド・スモールサークル】を展開。

 自分の急所を狙ってきた3本の投げナイフが、目の前でブォンッという波打つ音を鳴らして弾け散る。


(まずい!)


 立ちあがる隙を狙われる……かと思ったが、背後から援護攻撃の【ウィンド・カッター】がフォルチュナへ飛ぶ。


 だが、当たらない。

 すでにフォルチュナは、大きく背後に飛んでのヒットアンドウェイ。

 判断が速い。


 さらに見事なタイミングでスイッチした、レアが駆けこんでくる。

 金色の刃を雌雄は細身の剣で受け流そうとするが失敗して、また胴体に切り傷を負う。

 タイミング的にも間にあわなかったが、なにより先ほどの【リジェクト・スキル】で自分にかかっていた多くの強化バフまで解除されてしまい、力も防御力も大きく下がってしまっていた。

 もともとレベル差もあるため、この力では捌ききれない。


(バフ消しが目的? パワーレベリングされたにしては、いい動きをしますね……)


 レアを咄嗟に守った【シールド・サークル】から【ブレイク・スタッフ】までの一連の流れは、フォルチュナがすべて1人で行っていた。

 絶妙なタイミングと、すばやい読みの良さはハイランカーレベルである。


(目から鼻へ抜ける優秀さで中衛的な動きができるとは、なかなか厄介……)


 厄介なのは、フォルチュナだけではない。

 すばやいラキナの回復、デモニオン族の少女が定期的に放つ目くらましの煙幕や、こちらを弱体化させる幻想魔術スキルも邪魔で仕方がない。

 敵の後衛は、後衛役に慣れているのだろう。


 雌雄の仲間である御影とリンスもがんばっているが、得意なのは前衛役、それにスキルも前衛向きのものを中心にそろえていた。

 例えば全体回復ができる【エリアヒール・ライフ】や、その場所にいれば少しずつHPが回復する【ビルド・ヒーリングキューブ】など、豊富な回復方法は使えない。

 結果、レアの剣術スキルの連続技に押されている雌雄に対しては、回復支援が中心となり強化のかけ直しタイミングが難しく、じり貧状態というやつである。


(ですが、いつまでもやられている、わたくしではありませんよ!)


 連続技がきれた時、レアが一歩下がった。

 その位置は予測通り、というより調整した場所だが、あと数秒必要。


「【フレイム・ブレス】!」


 雌雄はすぐさま、レアの正面に向かって精霊魔術スキル【フレイム・ブレス】を発動する。

 しかも、わざわざスキル名を唱える。

 それは威力を上げるためというより、相手にスキルを知らせるためだ。



――――――――――――――――――――――――――レア度:★★★★――

【フレイム・ブレス】/標準取得

 必要SP:80/発動時間:2/使用間隔:600/効果時間:20

 消費MP:50/属性:火/威力:10

 説明:掌を向けた方に向かって火炎が放射される。最大攻撃距離30メートル。連続ヒットごとに威力が増していく。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――



 MPの消費が多く、残MPがなくなるが仕方ない。

 というより、このためにMPを温存していたのだ。


 【フレイム・ブレス】は連続ヒットさせれば、1秒ごとに倍々に威力が上がり、耐久値限界がある【シールド・サークル】系で防ぎきることはできない。

 また、効果時間が20秒もあるため、精霊魔術を跳ね返す【リフレクト・エレメント】では持続時間が足らない。

 そのことをわかっているレアが選ぶ手段は3つ。


 まず、もっとも簡単なのが、単純にその場から逃げて避けることだ。

 一見、ノーリスクに見える方法だが、【フレイム・ブレス】は30メートルと射程が長く、さらに20秒間放射し続けることができる。

 しかも、放射方向は自在に動かすことも可能である。

 単純に横に避けるだけでは、避けきることはできない。


 次に彼女がもつ最強クラスの【★5】の大盾【断絶の境界アイソレイティア】で防ぐ方法だ。

 物理に対してほぼ無敵だが、魔術攻撃に対しても高い攻撃力カット能力と防御力を持つ。

 普通に考えれば、これが一番、リスクが少ない。


 そして3つめの選択肢が、【★4】だがWSDで10個しか確認されていないレアスキル【パーフェクト・シールド】で攻撃を跳ね返す方法である。



――――――――――――――――――――――――――レア度:★★★★――

【パーフェクト・シールド】/報酬取得

 必要SP:30/発動時間:0/使用間隔:300/効果時間:30

 消費MP:50/属性:神聖/威力:0

 説明:どんな攻撃も跳ね返す無敵の見えない盾を掌の前に展開できる。使用者が触れても反射せず、使用者の魔術スキルは透過する。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――



 盾役が喉から手が出るほど欲しがる、レアスキルのひとつだが、レアはそれを持っていた。

 一度展開すると【パーフェクト・シールド】の中心位置を変更することはできないが、角度を自由に変え、攻撃を跳ね返すことができる。


 そしてレアは3つの選択肢の内、【パーフェクト・シールド】を使用した。

 否。優秀なプレイヤーであるレアだからこそ、咄嗟にのだ。


 雌雄はレアの正面に立ち、斜め後ろには【鳳凰の翼】の後衛2人もいる。

 ならば少しでも有利に立ち回るために、レアはこちらの強力な攻撃を反射させて後衛2人を狙うだろう。

 もちろん普通のプレイヤーならば、そこまで思考が回らないかもしれない。


(しかし一騎当千のレアさんならば、そう判断するからこそかんにゅうする!)


 反射された【フレイム・ブレス】が、後衛の2人に向かう……が、あらかじめ伝えてあるので2人は慌てず回避する。

 次の瞬間、雌雄が攻撃を回避しながらも仕掛けた【アース・バインド】が、遅延して計算通りにレアの足下で発動する。

 雌雄の意趣返しで、レアの動きが止まる。


「まずっ!」


 レアは【パーフェクト・シールド】を使用中のため、【リジェクト・スキル】を使うことはできない。

 遅延スキルを持っている者以外、魔術スキルを同時に複数使うことはできないのだ。

 これが【パーフェクト・シールド】を使わせた、雌雄の狙いの1つ。


 そしてほぼ同時に発動するように仕掛けた、雌雄が所持する最強の幻想魔術スキル【ギガンティック・ジェット】が頭上で発動している。

 計算通りと、雌雄は拳を握る。


「好機逸すべからず!」


 レアの頭上に魔紋が展開、そこにまるでブラックホールを思わすような暗黒が広がる。

 その暗黒から現れたのは、大量の真っ白な雲。

 白雲は渦巻きながら、まるでこねられた粘土のように形を作りだす。

 雪だるまのような体の輪郭、ネコのような耳、そして平べったく広がり翼のようになった肉球付きの腕。

 幻想魔術により召喚された聖霊魔獣、天空に棲まうという【ウィングキャット】の巨体が暗黒空間に浮かんでいる。

 その指先から長い爪が伸びる。

 右手の爪を掲げると、そこに向かって暗黒から青い雷が降りそそぐ。

 左手の爪を掲げると、そこに向かって暗黒から赤い雷が降りそそぐ。

 そして両の爪が重ねられると、巨大な紫の霹靂となってレアの頭上を狙う。



――――――――――――――――――――――――――レア度:★★★★★―

【ギガンティック・ジェット】/報酬取得

 必要SP:100/発動時間:5/使用間隔:600/効果時間:―

 消費MP:200/属性:幻影/威力:400

 説明:幻界より聖霊魔獣【ウィングキャット】を召喚し、その力を借りて、紫の巨大な雷を大雨と共に敵の頭上に放つ。同時に降る大雨は通電しやすい性質をもつ。攻撃属性は雷属性で、麻痺効果あり。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――



 レアは当然、大盾を頭上に構えているが、それでは防ぎきれない。

 たとえ紫電の直撃をレアの強力な盾で避けたとしても、大雨が足下に水たまりを一瞬で作る。

 そして、レアの足へ紫電を運んでいく。

 さらに質が悪いのは、雷属性の攻撃だが、あくまで幻想魔術スキルであって、精霊魔術スキルではない。

 そのため【リフレクト・エレメント】では反射することができない。

 これを避けるには、【パーフェクト・シールド】を使うしかないのだが、それは目の前で展開してしまっている。

 これぞ雌雄の一石二鳥の計略。


 つまりレアは、この攻撃を避けることができない。

 大ダメージを受けた上に、麻痺状態となり動けなくなる。

 この状態なら、敵の後衛が回復を唱える前に追い打ちをかけることも可能である。


「――なっ!?」


 しかし、そこから予想外なことが起こった。

 レアの頭上に落下したはずの紫電が頭上で唐突に角度を変えて、【フレイム・ブレス】を撃ち続けていた雌雄の方に向かって進んできたのだ。


「――ぐっ!」


 直撃はしなかった。

 しかし紫電は、雌雄とレアの間の地面に突き刺さり、石畳を粉砕した。

 雌雄はその石つぶてを喰らい、背後に倒れてしまう。


「せいっ!」


 そこに駆けよってきていたロストが、剣を振りかざして飛びかかってくる。

 しかし、その斜め後ろの空中には、シュガーレスが食いさがっている。

 シュガーレスの回し蹴りが、ロストの右脇腹を狙う。

 しかし、その蹴りの軌道は遅い。

 無理な体勢からだったのかと思いきや、その回し蹴りはロストに当たる瞬間に勢いよく反対向きに回転する。

 そして加速した蹴りはロストの左脇腹を激しく叩きつけた。

 この戦いで初めて見せた、シュガーレスのクリーンヒット。

 ロストが呻きながら横に弾け飛ぶ。


「……やれやれ。やっと読み勝ったようじゃのぉ」


 横に着地したシュガーレスが、大きなため息と共に構えて正面を威嚇する。

 そこにいるのは、やはりこちらに剣を向けるレアの姿。

 シュガーレスが来なければ、ロストとレアによって雌雄はとどめを刺されていたことだろう。


 雌雄はシュガーレスと共に、一度後方に下がって体勢を立てなおす。


「雌雄坊よ、やっと正体がわかったぞ」


 距離をとっても身構えを崩さず、シュガーレスが自分の前に表示したウィンドウを投げるように情報共有してくる。

 そこに表示されていたのは、とあるスキル情報だった。


「わしはスキルを持っていないからのぉ。ついさっき、やっとスキルデータベースが更新されたわい」


 視認できるスキルの場合は、システムが「見た」と判断したとき、必ず20秒ほどでスキルデータベースを更新してくれる。

 逆に視認できないスキルの場合は、その攻撃を受けたり、触れたりすることでスキルデータベースが更新される。

 しかし、その場合は必ずではない。

 基本は50%ほどで、関連スキルを持っていると最高で30%上がるとも言われているが、正確なところはわからない。

 ともかく謎の確率でしか、スキルデータベースが更新されないのだ。


「これがロスト坊が使っていた見えない壁の正体じゃ」



――――――――――――――――――――――――――レア度:★★★★★―

【パーフェクト・シールド・トライ】/報酬取得

 必要SP:5/発動時間:0/使用間隔:30/効果時間:10

 消費MP:15/属性:神聖/威力:0

 説明:使用者の周囲のどこかに、どんな攻撃も跳ね返す無敵の見えない盾を3枚だけ展開できる。使用者が触れても反射せず、使用者の魔術スキルは透過する。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――



「や、やはりパーフェクト・シールド……しかもトライですって!?」


 【パーフェクト・シールド】には、上位版の【パーフェクト・シールド・ツヴァイ】という【★5】のスキルが存在する。

 両肩にパーフェクト・シールドを展開できるという【VSDEバーサード】1位がもつスキルだ。

 そしてそれ以上の【パーフェクト・シールド】は見つかってはいないはずだった。


「こんな凄いスキル……」


「馬鹿者。よく見んか」


「えっ? ……ええっ!?」


 シュガーレスに言われて、雌雄は改めてスキルの詳細を見る。

 そしてそれが優れたスキルどころか、見事なまでのハズレスキルである事を知る。


「『どこかに』とは、まさかランダム? 見えない盾は使用者にも見えないのに、こんなもの使えるわけが……」


「ところがのぉ、ロスト坊はそれをどう見ても使いこなしておる。さっき、お主の紫電を跳ね返したのも、そのスキルじゃろうて」


「ま、まさか……」


「説明通り、好きなところにだせるわけではないようじゃ。ただ、わしの攻撃を見事に見えない盾がでてくる場所へ誘ってきよったわ。しかも、フェイクを混ぜながら隙を見せよるから質が悪い。まあ、何度も反動を喰らったおかげで、反射の勢いは掴めたからのぉ。さっきは読み勝って、わざと威力を抑えた回し蹴りを当てて、反射の威力を使って蹴り飛ばしてやったわい」


 シュガーレスが最後にかるく笑うが、笑って「そうなんですか」とすませるような技術の高さではなかった。

 こんな事、彼女にしかできないことだろう。

 それは感嘆に値するが、彼女を雌雄より先に褒めたのは、蹴られたロストの方だった。


「いやはや、驚きですよ。本当にすごい」


 ロストの手の中でHP回復の【命溜石めいりゅうせき】が割れたあとのエフェクトが見えた。

 雌雄たちとは違い、彼らにはまだまだアイテムが豊富にあるのだろう。

 ロストは体力がすっかり戻ったのか、平気な顔をして立っていた。


「正体を見破った者はいても、逆に利用してきたのはあなたが初めてですよ。おかげでクリティカルダメージになってしまいました。本当に驚嘆に値します。畏れいりました」


「なーに。7回の内1回しか当たっておらぬからな。まぐれ、まぐれ」


「ずいぶんと恐ろしいまぐれですね」


「ふぉふぉふぉ。恐ろしいのはお主じゃて。わしをこんなに楽しませるとは。この気分はひさびさよ……」


「それはそれは。楽しんでもらえたのでしたら幸いです。……しかし残念ながら、そろそろ終わりにさせていただきます」


「なに?」


 ロストの言葉を聞いた瞬間、雌雄はデモニオン族の少女の手元にいくつもの魔紋が重なっていることに気がつく。

 それは大規模な魔術スキルを使っている証。


「あれは……まずいです! みんな、飛んで!」


 雌雄が号令を響かせた途端、【鳳凰の翼】のメンバーの足下に巨大な闇の穴が広がっていったのである。

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