第35話:ロストの議事録

 まどろみの中に沈んだことは覚えていた。


 レイという胡散臭い男と食事後、とりあえず解散して自室に戻ったロストは、ソファにごろんと寝転がった。

 ソファと言っても、ベンチのようなものにクッションを置いただけの簡易的なものだ。

 それでも横になれば、満腹感も手助けして睡魔の誘惑がやってくる。


(寝ている暇は……な……)


 ところが、このときの睡魔は誘惑どころか誘拐してくるかのようだった。

 抗うことさえ許されず、強引に意識を沈めようとしてきたのだ。

 すぐにフォルチュナがやってくるはずだ。

 これから、いろいろと相談しなければならないことがあるのだ。

 そうわかっているのに、ロストは睡魔に勝てなかった。


(あれ?)


 そして寝たはずだったのに、なぜか妙にしっかりとした意識があった。

 視界も開け、目の前にはかなり大きな円卓があった。

 色は漆黒。

 その艶々とした面には、星空が映っている。


(星空……なのか?)


 空を見上げれば、天の川のような星の群れ、靄のように見える星雲、遠くには土星のように輪がついた惑星も観測できる。

 確かに星空のように見えるが、妙に現実感がないし、どこか嘘くさい。


(ですが、夢にも思えませんね、不思議と)


 視線を円卓に戻すと、今度は先ほどまでなかった星空とは違う光が見えた。

 それは多数の紋様。

 すべてが円卓の外周で席に着くように、ふわりと浮かび上がっていたのだ。


 その形はすべて違う。

 動物を象ったものもあれば、剣や弓を図案化したものもある。

 それに意味ありげな図形模様。

 多種多様のそれは、初めて見るものだったが、似たようなをロストは何度も目にしている。


(あれはまさか、クレスト……)


 その時点で、ロストはやっと気がつく。

 自分の体がなくなっていることに。

 その代わりに、背中から現れるドミネーター・クレストだけが浮いていたのだ。

 まるで自分の肉体がクレストになってしまっているかのようだった。


(まさか、円卓の周りのクレストもすべて……)


 数えてみると、全部で13個。

 つまり予想通りならば、ここには自分をいれて14人のクレスト所持者がいることになる。


(全部がドミネーター・クレストと同じスキルだとしたら……)


 ロストがクリアしたようなクエストが別の地域にもあって、同じように取得した者がいた可能性は否定できない。

 だが、もしそうだとすれば、それはロストにとって最悪の展開である。


 ドミネーター・クレストをもつということは、ドミネーター・ゲームに参加するということだ。

 領土戦、つまりは縄張り争いを彼らとしなければならないということになる。


 ロストはレアの手前、領土戦に参加するとは言ったが、あまり進んで領土を広げるつもりはなかった。

 しかし、これだけいれば全員が穏健派とは考えにくい。


(下手すれば新たな戦争が起こりますね……)


 今、魔王軍と連合国との間では争いが続いている。

 しかし、それは小競り合いのような規模であり、プニャイド村にまで火種がくるようなことはなさそうだった。

 だから生活が安定したら、あとはのんびりと冒険を楽しみながら過ごすことを考えていたのだ。

 ところが戦争など起きたら、それどころではなくなってしまう。


――やあ、みなさん。第1回クレスト会議にご参加頂きありがとうございます。


 突然、円卓の中央にブラックホールのような穴が生まれた。

 そこから淡い光の靄が湧きあがってくる。

 はっきりとした形を成さないながら、噴水のような光は流動的な柱に近くなっていく。


――面倒なので簡単に自己紹介すると、私は神様です。


 そして先ほどから頭の中に響く声は、なぜかその光の靄が語っていると感じられた。

 男にも女にも聞こえる不思議な声。


「貴様、何者だ?」


 クレストの1人が訊ねた。

 それは不思議な感覚で、口で話しているわけではないはずなのに、話しているのがどのクレストなのかハッキリとわかる。

 満月を咥えるオオカミを模したクレスト。

 そこから放たれた男の声だった。


――だから、神様です。

――偉い存在です。これで伝わりますか?


「ふざけるな、貴様! 神と言えば、光の神【スィーティア】様しかおるまい! 貴様のどこがスィーティア様だというのか!」


「スィーティア? ふん。そのクレストは、ソンキャスルの国王か。やはり下級民族は言うことが愚かよな。神と言えば、魔の母神【ズバ・イース】様だろうが!」


 今度は吼える獅子を象ったクレストから男の声がした。

 その声は相手を威圧するような、同時に小馬鹿にするような色に揺れる。

 対して、ソンキャスルの国王と呼ばれたクレストが怒りの色を見せる。


「さすが獣風情は、よく喚く!」


「貴様も獣であろうが、オオカミ風情が!」


 吠える獅子のクレストも色が憤怒に変わる。


 色と言っても、実際にクレストの色が変化するわけではない。

 まるで見えない表情を見ているように、ロストに彼らの感情を感じさせるのだ。

 そんなむき出しの感情を見ながら、ロストは黙考を続ける。


(しかし、ソンキャスル王国の国王に、魔の母神信仰……。なるほど、連合国の代表と魔王たちか)


 連合を組んだ八大国家の代表と、六大魔王の生き残り5人。

 あわせて13人。

 辻褄は合うし、領土の支配者という意味で、クレストをもっていてもおかしくはない。

 つまり、ここにはこの大陸を統べる者たちが全員、揃っているということになる。


「うるさいですよ、獣ども」


 言い合いをする2人に、白と黒の勾玉を合わせた陰陽太極図のようなクレストが揺れる。


「アマティアス女王! 貴様、口が過ぎるぞ!」


「そう思われるなら、国の代表らしく少し落ちつかれよ」


「うぐっ……」


 流れる小川を思わす女性の声だ。

 静かな流れながら、その流れをせき止めるのは難しい。

 ソンキャスルのオオカミは、その冷静沈着ながら強い迫力に口ごもる。


「それでヌシは何者ぞ? 確かに面妖な力を感じるが、とてもスイーティア様とは思えぬ」


――正真正銘、神様ですよ。

――あなたたちの言う、スイーティアもズバ・イースも、それどころかこの世界も私がつくりました。

――いわば、創世神です。


「ふっ。創世神……とな?」


 一部から嘲笑がもれる。

 中には、揶揄する言葉をもらす者たちもいた。


 ロストは神の言葉に鼻で嗤いながらも、その様子を観察する。

 誰が嘲笑し、誰が揶揄したかをチェックする。


――ああ。確かに自分で言っていてなんですが、あなた方の感覚だとずいぶんと胡散臭い話に聞こえますね。

――これは困りましたね。

――では、わからせてみましょうか。


 なにをするつもりだろうと、考える暇もなかった。

 途端、心の中に何か強いイメージが流れこんできた。


 そして、悟る。


 目の前にいるのは、まちがいなくこの世界を創った神であると。

 唐突に、不意に、いきなり理解してしまったのだ。


「な、なんだ、これは……」


 男性の驚愕。


「また催眠術、というか洗脳ですか?」


 女性の喫驚。


「いきなり頭に!?」


 男性の一驚。


「面妖な……」


 女性の愕然。


 クレストから次々とざわめきが上がる。

 ロストも多少は驚くが、目の前に現れた謎の存在が「神様」と自分で「様」をつけて名のった時点で「あの創世神だろう」と確信していた。

 ならば、ここは夢でもなんでもなく、さらにがあっても不思議はない。


 それよりも今は、ほかに気になることがある。

 だから、黙って周囲の反応を観察し続ける。


――さて。納得してもらったところで会議を……と思ったのですが、この姿の私では皆さんも認識しにくいでしょう。

――そこで、みなさんの神のイメージを頂いて、適当に造形をしてみましょう。

――はい。それではみなさん、神様を想像してみてください。


「な~にぃ? 神様ったら、変身できるのぉ~? ステキィ♥」


 甘ったるく艶っぽい声をだしたのは、体を大きく横にそらした女性の裸体を図化したクレストだ。


――ええ、すごいでしょう。

――してもらえば、できますよ。


「じゃあ~、すっんごいの想像しちゃう♥」


 わざとらしいぐらいの甘ったるいしゃべり方だった。

 普通の女性が使ったなら、かわいいとも色っぽいとも思わず、逆に呆れて冷めた目で見てしまうことだろう。

 しかし、なぜかロストは存在しない背筋にゾクゾクという快感を感じてしまう。

 ありえないはずなのに、しまったのだ。


(これは怖い。あれが、淫魔王コリアですかね。ああ。こんな事なら、紋章をすべて調べておけば……)


 どうやら目の前に見えるクレストは、国の紋章と同じ物になっているようだ。

 もちろん、いくつかの国の紋章は見覚えあるが、さすがにすべてを覚えたりはしていない。

 それに六大魔王の名前は覚えているが、八大国家の代表全員の名前までは覚えていなかった。


 それだけの情報で、今のところ新たにわかったのは――


 吼える獅子のクレストをもつ、獣魔王【メリック】。

 女性の裸体のクレストをもつ、淫魔王【コリア】。


 月を噛むクレストをもつ、ソンキャスル王国国王。

 陰陽太極図のようなクレストをもつ、アマティアス国女王。


 ――の4人分だ。

 そしてロストの知識として、イストリア国王の紋章と、サウザリフ自由同盟の紋章は知っていた。

 残りの連合4国に関しては、予想はつくものの不確かである。


(それから、が誰なのかは、調べておかないといけませんね……)


 この空間から出られれば、各紋章を確認する方法もあるだろう。

 クレストの形と発言の内容は、しっかりと覚えておかなければならない。


――はい。お待たせしました。では、創世神の姿を公開しましょう!


 とたん、光の靄の姿がモーフィングするように人の形になる。

 いや、神の形だ。


 右の背中には白い天使の羽が3枚。

 左の背中には黒い悪魔の羽が3枚。

 雄々しい2本の角はU字型に立ち、その間に天使の輪とネコ耳がついていた。

 そして大きめの胸に、くびれた腰の女体は、服としての白い布に巻かれている。

 服の上に重なるのは、長く三つ編みにされた黒から銀にグラデーションする長髪。


「なるほど、これは混ざりましたね」


 そう言いながら、創世神は腰辺りまで伸びていた髪を手で背後に追いやった。

 そう。創世神の声は、脳に響いていたものではなく、他のクレストと同じように音のように聞こえてきた。

 まるで人間のようにだ。


「本体は女神ですか。まあ、光の神も魔の母神も女神ですからね。そうなりますか。私は姿などどうでもいいのですが、今後は女神としてふるまい、名前は覚えやすく【クリア】とでもしておきましょう」


 そう言っている神様改め、創造の女神【クリア】様は、なぜかロストの方に向かって話している。

 ロストは「なぜ自分に」と思うが、すぐにとわかる。


「ふむ。クリア様とやらは、確かに神のようであるな」


 そう言ったのは、富士山のような山の絵の前に槍が2本クロスしている模様のクレストだ。


「我の方をきちっと向いて話すとは、ここで一番、力があるのが誰だか理解している証拠である」


「……なにを言っているのかね、ホフトフ皇帝」


 それを否定したのは、天使がモチーフとなったクレストだった。


「クリア様は、教皇たるわたくしに向かってお話になっているではありませんか」


「なにぃっ!?」


「え~? クリアたんは、このコリアたんにぃ向かって話してるよぉ~♥」


「馬鹿な。イジコット国王である余に向かって話しておるぞ……」


 大混乱である。

 各々が「自分に向かって話している」と主張し始めたのだ。

 その内、誰が何を言っているのかよくわからなくなる。


「ああ、みなさん。お静かに」


 クリアの言葉で一気に静まる。

 だが。


「みなさん、全員正しいのですよ。私は話しています」


 誰もが驚きの色を見せ、結局またざわめきが始まる。

 無論、ロストも驚いた。

 それはそうだろう。

 すぐには理解しがたいことを言っているのだ。


(つまり、クリアはどこから見ても今、正面に見えるように存在しているということなのか……。さすが神様は非常識だな)


 半分呆れかえりながら、ロストはこの神様を理解するのはやめようと考える。

 否。たぶん、理解することはできないだろう。


「さて。それではやっと会議を始めさせていただきたいのですが」


「待たれよ、クリア様」


 片方に金の延べ棒、片方に羊が載った天秤を図化したクレスト。

 それはロストが知っている紋章のひとつ、商業国家であるサウザリフ自由同盟のものだ。


「まだなにかありますか?」


「ありまするぞ!」


 サウザリフのクレストから、見えないはずの視線をロストは受ける。


「手前どもが肉体ではなく、背負うクレスト――たとえば、手前ならばサウザリフ・クレストを自身として、ここにいることは理解申した。そしてあなた様が創世の女神である事も納得いたした。されど、まだ説明されていないことがございますな。あそこにいる見慣れぬクレスト殿は、いったい何者でございましょうか?」


 やはり、訊ねてきたかとロストは覚悟を決める。

 どちらかというと、やっとと言うべきか。

 たぶん、ずっと気にはなっていたのだろうが、それよりも確認しなければならないことがここには多すぎたのだろう。


「あのクレストの持ち主も、あなた方と同じ支配者です。しかし、私はこの場では公平であるため、あなたたち個々の情報を公開するつもりはありません」


 クリアの返事に、サウザリフの総代表が不満の色を見せる。


「それでは正体を教えぬと仰るのか?」


「はい」


「それは公平と言えなくはありませんかな? 我らの情報ばかり流れてしまうではありませぬか」


「あなた方の情報で流れているのは、あなた方自身が語ったことのみ。そして、あのクレストの主は、ここで語る意味を承知しているからこそ、先ほどから黙したままあなたたちをずっと観察しているのでしょう」


「なんと!」


 多くのクレストから敵意の含まれる視線を受けて、ロストは内心で舌打ちする。

 先ほど「公平」と口にしたくせに、平気な顔でロストの内心をバラしてしまっている。

 これではまったく公平とは言えないではないか。


「なるほど、食えぬ奴のようであるな。だが、せめて名ぐらいは名のるが良い。名のることを我が許すのである」


 ホフトフ皇帝と呼ばれていたクレストが訊ねてくる。

 この皇帝の名は知っている。

 マウントペア帝国の支配者だ。


「…………」


 ロストは、ちらりとクリアを睨む。

 しかし、クリアは女神としての微笑を浮かべたまま何も語らない。

 たぶん、好きにしろということなのだろう。

 そして同時に助けるつもりもないらしい。


 全支配者の注目を集め、仕方なくロストは覚悟を決める。


「我らは、ドミネート。以後、お見知りおきを」


 それだけ名のる。

 ロストとしても、別に各国と敵対したいわけではない。

 しかし、あまり詳細に知られてもリスクがある。

 図らずも、同じ支配者という席に着いてしまったわけだが、領土としては村1つ。

 勢力としては弱小もいいところだ。

 好戦的な国から、早めに潰しておこうなどと思われたらお終いである。


「ドミネートとな。聞いたこともないが、いったいどんな辺境の領土なのだ?」


「訪ねる者もいないような土地でございます」


 ごまかすように、しかし事実を含んでロストは答えた。

 ホフトフは一言、「ふむ」とだけ返してくる。


「ドミネートの者よ、少し訊ねたい」


 逆三角形の下に横棒がある図形のクレストが、初めて発言してきた。

 ロストの予想では、魔王の1人である。


「貴様は、どうやってそのドミネーター・クレストを手にいれたのか?」


「……それは、お答えできません」


「ならば、貴様は連合に加わり、魔族と戦う意志があるのか?」


「ドミネートは、他国と戦うような力のある国ではありません。国というのもおこがましい領地しかございません。弱小すぎて連合に加わっても力にはなれませんので、静かにひっそりと暮らせればと存じます」


 ロストはへりくだる。

 今は、下手したてにでておくしかない。


「さて。そろそろ本題のバージョンアップ会議を始めましょうか」


 クリアがわってはいる。

 この女神は、脱線ばかりしている議題を早く進めたくて仕方ないのだろう。

 しかし、なかなか女神の思い通りにはならない。

 また邪魔がはいる。


「先ほどからバージョンアップと言っているが、それはあなたがやるつもりなのですか?」


 訊ねたのは、2本の剣の間に王座があるクレストだ。

 ロストはこれも知っていた。

 イストリア王国の紋様である。

 だが、声が違う。

 若い女性の声なのだ。


「む。やはり貴殿は、もしやシャルロット王女。イストリア・クレストを引き継いだということは……なるほど、そういうことか。冥福を祈ろう」


「ああ。イストリア王はずっと床に伏せておいでだったが……残念よのぉ。お悔やみを申し上げる」


「お心遣い、感謝いたします……」


「あのぉ~。いいかげん会議を始めさせてくださいよぉ~」


 クリアがうんざり気味に愚痴る。

 その後、会議がやっと始まったのだが、提案から結論が出るまではたった3分で終了したのである。




   §




 はたと目が覚めたロストは、ソファから起きあがるとあわててフローティング・コンソールを開いた。

 そしてブログ機能を使っておぼえていることを次々と記録していく。


(登場人物がいきなり多すぎるんですよ! しかも顔が見えないときているから……覚えきれません。えーっと決議内容は……)


 途中でフォルチュナが訪れたので部屋に招き入れたが、そのまま待機させてロストは記録を続けた。

 覚えていることは、すべて記録しておかなければならない。

 このドミネートが生きのびるためには、情報が最大の武器になるはずだからだ。

 大量の情報でも、なんとか整理しなければならない。


「フォルチュナさんって、確かWSDの設定とか詳しいですよね」


 記録が一段落した後、そう尋ねるとフォルチュナがコクリと頷く。


「はい。私、物語の設定とか好きなんで、資料集とかよく買うんですよ。でも、レイさんの先ほどの話は全然知りませんでした……」


「でしょうね……」


「え?」


「いえ。ところで、各国や魔王の紋章って覚えていますか?」


「ええ。だいたいでしたら……」


 ロストは覚えているクレストを簡単に紙に書いていき、フォルチュナに確認していった。

 おかげで、クレストと勢力のつながりが判明する。



●八大国連合


・イストリア王国……最大の勢力を有し、支配者は2本の剣に挟まれた王座のクレストをもつ。今は、シャルロット女王が支配者。


・アマティアス国……古代日本風の文化が特徴。支配者は陰陽太極図のクレストをもつ。


・サウザリフ自由同盟……商業国家で北方に獣人が多い。支配者は延べ棒と羊を載せた天秤のクレストをもつ。


・ソンキャスル王国……閉鎖的なワルフ族が住む。支配者は月を噛むクレストをもつ。


・アムナグ共和国……自然豊かな国土。支配者は盾のクレストをもつ。


・イジコット王国……はぐれ魔族とデモニオン族が多い。支配者は六芒星のようなクレストをもつ。


・ゴッドナリバ神聖国……アンジェン族が多い。支配者は天使をモチーフにしたクレストをもつ。


・マウンペア帝国……ホフトフ13世皇帝が納める軍事国家。支配者は山の前に槍が2本クロスしたクレストをもつ。



●六大魔王


・最強魔王ガリック……ストーリークエストにより討伐されたことになっていて死亡。


・獣魔王メリック……吼える獅子のクレストをもつ。ライオンタイプの魔族。連合と戦争を積極的に行う。


・淫魔王コリア……女性の裸体のクレストをもつ。妖艶なる淫魔。連合と戦争を積極的に行う。


・空の魔王カルダ……無限マークのようなクレストをもつ。鳥の羽をもつ魔族。連合と戦争を積極的に行う。


・勇者魔王ソルト……星の紋章のクレストをもつ。中立の立場を守る魔族。


・影の魔王ベツバ……逆三角形の下に横棒のクレストをもつ。謎の多い魔族。



「あれ? 紋章と書かずクレストって……。まさか、この人たちもクレストをもっているんですか?」


 神のメモを見ながら目を丸くするフォルチュナに、今度はロストがコクリと頷く。


「はい。そうです。そしてこのクレストもちの中に、少なくとも2人……元運営がいます」


「へぇ~。元運営……元……運営っ!?」


 さらに驚くフォルチュナをよそに、ロストは思考を巡らす。


(誰と繋がるか……選択肢をまちがえるとゲームオーバーですね……)

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