第17回 彼岸橋 / wagasi 様
※企画内容にもあるようにこれは「分析→評価」の結果であり、決して作品を否定している訳ではないのでご了承ください。
「彼岸橋」 wagasi様
https://kakuyomu.jp/works/1177354054894537968
※今回はキャラクター小説ではないので、普段の書評とは大分異なります(総論の項目が抜けているのと、各論がないです)。参考文献では分析しかねるので、個人的な感想に近いかも。
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1、物語の総論
●ターゲット
「年齢問わず、純文学が好きな方」
だと思います(と言うかターゲットとか考えなくてもよいジャンルかもしれない)。
純文学と言っても広いな……人の性を訴える系です。例を挙げればきりがないですが、芥川の「蜘蛛の糸」とか想像させます。かなり硬派な純文学。意味深な所も多いので、深読みしたら一日終わるやつです。
●簡単な要約
「罪を背負う主人公が、逃げたくも業に直面し、断罪される物語」
と、要約します。かなり深いテーマなので、人によっては(視点の違いよって)要約の仕方が違うと考えます。
●テーマ
前面に出されたわかりやすいものは罪悪感とか、人の汚い所、偽善、裁きとは、等々……よく七千文字にこれだけ詰め込んだものだと感心致します。
従わなければならないルールである「裁定者」も完璧な価値観(絶対的独善的価値観)を持っていないあたりが私は特に考えさせられる所だなと思いました。
個人的には罪は「総意で決めるものか」、それとも「当事者が決めるものか」、またはその両方か否か、と言う問いかけを貰った作品でした。
●物語の構造
・一応プロット面を分析します。
短いので三幕構成で。
一幕……主人公が裁定者と出会い読者が天地人を知る所
二幕……主人公の罪の暴露と葛藤
三幕……裁決
と言う感じですね。
一見無駄がないように映るのですが、この物語のテーマやこのプロットを考慮すると第二幕が些か長く感じます(説明が多すぎる)。
もう少しスマートに主人公の業を説明できるとよりスムーズに伝えたい事だけを訴えられるかと思いました。長編ならまだしも、短編のストレートな話なので若干の中だるみを覚えました。
・物語は「行って、帰ってくる」事が基本となっています。行きっぱなしでは物語が完結しません。
この作品もまた此岸から彼岸へ、そして此岸へ帰って行きます。キャラクター小説ではここで主人公の成長云々が語られなければなりませんが、これはそう言う作品ではないのでそこは気にしなくて良いですね。テーマを読者へ投げる事に成功して終わっています。
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2、各論
キャラ小説ではない&短編の為、今回はありません。
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3、作品の強み(弱み)や個性だと思う所(主観多め)、及び雑談。
・洗練された文章、丁寧な描写、繊細な比喩表現、間の取り方、地の文は一級品です。それなのにPV数が伸びないのは作者様や作品の質の問題ではなく、webでの需要が圧倒的に少ないだけです。然るべき場所で見られれば相応の評価が受けられると断言できます。
・ザ・文学って感じでした。久しぶりに硬派な昔気質の物語を読んだので、新鮮な気持ちになりました。この企画をやったからこそ出会えた作品だと思うので、参加して下さった作者様には感謝しています。
他のジャンルも書いていらっしゃるようですが、こっちの路線も投稿して欲しいですね。刺さる人には刺さるので。
・他の書評に比べて今回は凄く短いのですが、最初に言った理由や、そもそも短編と言うのが理由です!決して手抜きではありませんので、ご了承ください。ちゃんと三回通して読んでます。
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以上です!
最後に再び申し上げますが、気に食わない所があったら「高田はわかってないな……」くらいに思って頂けると助かります。もしくはコメントにてご指摘下さい。
wagasi様、素敵な作品をありがとうございました!
次の第回は、作者 荷葉詩織 様の「異世界ひとくい物語」を拝見させて頂きます。
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