第5回 その涙さえ命の色~ALIVE~ / 猫柳蝉丸様
※イベント内容にもあるようにこれは「分析→評価」の結果であり、決して作品を否定している訳ではないのでご了承ください。
「その涙さえ命の色~ALIVE~ 」 猫柳蝉丸 様
https://kakuyomu.jp/works/1177354054893946954
※後半考察に入りますが、結構過激な解釈をするので、不快感を感じてしまったら申し訳ないです……。
※ショートショートなので今回は短めです。
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1、物語の総論
・ターゲットは「純文学や軽いホラーな雰囲気、ミステリー好き。二十代以降」
純文学は人間ドラマから、ホラーと言うのは作風の中絶妙に漂う狂気から。ミステリーと言うのは意味深な終わりから、そう判断しました。
・簡単な要約
「妹を愛していた主人公が、遭難をきっかけに妹を犠牲にしてしまう」
または
「妹を溺愛する主人公が、遭難をきっかけに少女の犠牲を思い知る」
と言う、ちょっと意味深になってしまいますが、こう表現します。一度読んでしまうと意味深色眼鏡が中々取れなくて要約に苦労しました。
・この作品はお手本のような起承転結です。起承転結ってなんですか?と言う人が居たらこの作品を教材に教えたいと断言できます。
起承転結だけではなく、ショートショートとしても優秀。
理由は三つ。(参考文献より)
a、スマートで完璧な掴み。
b、ダークな雰囲気を崩さず物語のゴールに沿って綺麗に展開。
c、最後には不可解な謎と言う形で余韻を残して終わる。(オチ)
ショートショートのオチは分かりやすい、小気味良い、ほっこりする、等のオチみたいなものが必要ですが、こういった変化球の幕引きも全然ありですね(良くあると言えばありますが……)。
個人的には面白いだけではなく読後考えさせられるのも一粒で二度おいしい気分。
・短いので整合性も崩れにくく、間の取り方、会話での空気の吸い方、地の文も含めほとんど違和感はないので、褒める所はあれどわざわざ指摘する所はないと考えます。
(あれ、今回完成されていてあんまり言う事なくない?5回目にして私が恐れていた事が起きたか……?)
・例えばこれを中編くらいにするなら、この後に「僕」の現在に与えた過去みたいなものがあると純文学的に面白いかなとも思いましたが……作品的には贅肉ですね。
主人公の情報が一切ない事によって、この作品の「異質」な感じが保たれている気もするので。
それでも主人公の事が気になって仕方がないのですが……とは言えやはり、例えば芥川「羅生門」の下人の過去とか語られたら台無しですもんね、いらないか……。
・物語は日常から非日常に行く事で起こりますが(文献より)、この短い話でもそれは変わらず存在し、遭難してしまう事がそれにあたります。
本来であれば主人公は最後日常に戻ってきて、色々と変化が起こっている訳ですが、ショートショートなのでそこまで描かれる事はありませんでした。(仮に日常に帰ってきた時の外面的な変化はりのんの死で、内面的な変化はりのんへの気持ち、でしょうか)
この「行って、帰る」の構造は、主人公がそうならない場合別のキャラが補っている事が多いらしいです(文献より)。
例えば
・「鶴の恩返し」の鶴→主人公の所へ来て、姿を見られ帰って行く
・「星の王子様」の王子→自分の居た星から操縦士の「ぼく」の星へ来て、帰って行く
ので、もしかしたらりのんがその役割なのかなと考えました。
すると、りのんは最後死ぬ……ではなく、主人公の血肉となるので、日常自体が主人公の血肉のようなものだったと考察する事が出来ます(これはまた考察部分で語ります)。
・物語はそれを起こす事で急展開する、主人公が「やってはいけない」事をやる場面が一つ必ずあります。つまり禁忌を破るシーンです。(文献より)さっきの鶴の恩返しで言えば、襖を覗いてしまうシーンですね。
この作品の場合は、恐らく「りのんに肉を食べさせたこと」に当たると思います。それがなぜ禁忌なのかは、考察部分で語ります。
・主人公が目的を達成する際には、必ず何が失われる事が物語の定石になります(文献より)この作品でも例外なくその場面が用意されていますね。
失った物は「りのん」で、
得た物は……
この主人公が最終的に「得た物」の部分が、この作品を読む最大の考察要素、答えになって来ると思います。これも最後に書きます。
総論は以上です。
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2、各論&考察
ショートショートなので「各論」って表現はおかしいのですが……言葉の綾は置いておいて、考察を含めて細かく見て行きたいと思います。
●まず主人公の内面を探るために勝手に「これが長編になるなら」……を妄想してみました。
※このショートショートを膨らませたものなので、この作品の中に答えなりヒントがある事を前提とします。
先に、
『根拠1』
参考文献から主人公は外面と内面で欲するものがあり、最終的にこの外面と内面の欲しいものが達成されるかどうかが物語の中で描かれる。
『根拠2』
両方達成されない事は珍しい(物語の始まりと終わりに何の変化もない)ので最悪どちらかは達成される。
これを踏まえて、
『仮説1』
根拠1より主人公の外面的な欠落(欲しいもの)は妹で、内面的な欠落を「X」とします。
『仮説2』
この作品中のラストは妹を失うので、根拠2と仮説1より主人公の内面の目的は達成されなければならない。
『仮説3』
仮説2より、りのんが死ぬ(りのんを食べる)事で内面が変化し、主人公は『X』が満たされたことになる。
もし長編が描かれるなら、この欠落云々について語られる事になると思います。
主人公が真に欲していた「X」がコンプレックスなのか性欲なのか自己防衛なのかは推し量れませんが、この要約されたショートショートにヒントがあると思うのでなんとか見つけてみたいです。
これを頭の隅に置いて本文に入って行きます。
●本文
掴みは大成功、物語の雰囲気や終わりも見事にとらえた、無駄な部分が一切ないアスリートのような文から始まります。
(文献より。冒頭で物語の雰囲気は決まる。始まりは終わりの鏡である)
>悲しくはなかった。驚きもしなかった。
>その時、僕の胸に去来していた感情は、そう、間違いなく……。
妹が死んだのに悲しくもなく驚きもせず、間違いなく〇〇だった。とすれば文面的に普通なら起きない感情が現れた事が想像されます。
読み進めると終盤これが「怒り」と表現されていますが、何故「怒り」なのかまでは明記されていません。これについてはこの文が出て来た時にまた考察します。
そして冒頭にこの文があると言う事は、この文がテーマに関わる重要な部分と言う事です。この時点で不穏な終わりを想像させます。
>遭難から多分、五日経った。
何気ない一文から始まりますが、これが非常に巧い!掴みはばっちりなのですが、この文があるかないかで更に天と地の差が出ると思います。
狙いがない限り冒頭は「何が起きているか」を知らせるのが最優先で(文献、天地人)、何もない場合はあてもなく読者は読み進めますが、既に遭難している語り口で始まるので、読者は「何故遭難したか」を確かめるために読み進める訳です。
読者は最初から地図を渡されて「次はここへ行って下さい」と案内されるので、もう序盤も序盤から読者を逃がす事がありません。掴みを成功させた上に畳みかけるように誘導する、作者様は人の興味をひく事がかなり巧みと見受けられます。
この後は一人称によくある「地の文でほざきすぎる」と言う事もなく、二人が落ちていく描写を書いてしまう、のように物語の蛇足もなく、清々しいくらいに物語のゴールに向かって淡々と進んでいきます。
物語のシーンに目的をしっかり与えている証拠です(文献より)。それこそ読者の次を読みたい心を離さずにいられるのだと考えました。
・何故猪なのか
山道で飛び出して来ると言えば猪と、もう一つ思い浮かぶのは鹿だと思います。ここで作者様は猪を選んだ。
猪で連想するのは「害獣」、「猪突猛進」、「十二支」と色々ありますが、私が気になったのは「ブタ」であると言う事です。猪の家畜化がブタ。のちに主人公はりのんの事を「家畜」と過激な比喩をしますが……本来猪だったものが今は「家畜」として認識していると、ここはそれを伏線的に暗喩しているのかもしれません。
(余談ですが、youtube等で見る限り猪も鹿も出て来た所を反応してハンドルを切るのは難しいように思うので、主人公は反射神経が高い若者、そしてわざと落ちた可能性も考慮に入れておきます)
・その日に帰らないだけで家族(後に家族の存在があると分かる)は不審に思い捜索願が出されるだろうし、車が通るような高原でガードレールが突き破られている場合通報もあると思うので、見つかるまでに5日はかからないかもしれません。(一日歩き回っていますが、病弱な10歳の女の子が歩き回る範囲はそう広くないと思うので)
そうすると「捜索願が出されていない」複雑な家庭、もしくは「本当の妹ではない」可能性を考慮します。(顔見知りの誘拐等)
>そうして、僕とりのんの長い遭難生活が始まったのだ。
ここで綺麗に起承転結の承が始まります。重ね重ね言いますが、超最低限の情報を詰め込んだ最適解の始まりでした。
・お兄茶ちゃま言う呼称。
妹が兄を呼ぶ呼称ですが、とあるサイト(※)によるとお兄ちゃん、名前呼び捨て、にーに、等の納得出来る呼び方が殆どのようです。
※https://www.buzzfeed.com/jp/hikaruyoza/sister-brother
しかしりのんはどれでもない「お兄ちゃま」と主人公を呼びます。10歳にしては幼すぎる言い方に思えますがその理由は定かではありません。喋りもどこか年相応に思えないので、もしかしたら「軽度な精神遅滞」の可能性も考慮します。
それを考慮しない場合、やはり呼び方がちょっと普通ではないので、普通ではない関係か、上記とは別の意味でりのんが少し「おかしい」事を想像するのはそこまで無理な仮説ではないと思います。
更にいくら体が弱いとはいえ、普通の10才の女の子が遭難したらもっと動揺と言うか……泣いて怯えるような描写があると思います。それについてどこか能動的な物が欠如、かなり受動的な性格のように映ります。
りのんは主人公(兄)に対し信頼を寄せる、と言うよりどこか献身的にすら思えるくらい運命を任せる様な様子を向けています。やはりどこか妙な、何か事情のある子供に思えます。
・何故りのんは菜食主義者なのか
これは最初の方に述べた、りのんにとって「日常自体が主人公の血肉のようなものだった」の理由の根拠になります。
理由は、3つ
1、りのんは生物由来の食物だと知って以来、肉や乳製品を摂取していない。
2、「肉を食わせる」と言う表現にどことなく「性的」な印象を受ける。
3、いくらヴィーガンとは言え十歳の女の子が肉を食うくらいで自殺する事への疑問
1について、りのんは恐らく動物に同情して食べたくないと言っていますが、何故同情するかと言うともちろん可哀想だからであるのと、その動物たちを「自分と同じ」と感じていると考察しました。
その理由は上記の2も含めて「物心ついた時から主人公に性的虐待を受けている」と考えました。
それは物心がついてきたら精神的にかなり苦痛なはずで、自分を守るためにもある種のストックホルム症候群に近いような、とうの昔に自分を殺していて、既に洗脳染みた考えで兄を完全に受け入れている、愛していると仮定します。
つまり主人公の性的鬱憤、もしくはトラウマを晴らす為の家畜です。これが日常的に主人公の血肉と言った理由になります。
そして通常肉食として食べられる動物たちは「家畜」と表現されます。
すると3の自分と同じ可哀想な家畜を食べる事を拒否し続けて(最後の自分の尊厳)、それすらも奪われて絶望する……自殺してしまう。
ちょっとこじつけがましいですが、そう解釈して読んでみました。
ちなみに先ほど物語の構造上の禁忌(鶴の恩返しの襖を覗いてしまうシーン)が「りのんに肉を食べさせたこと」と言った理由がこれです。もうこれで後戻りできなくなります。
>気分転換の高原でのハイキング程度しか
と出てきますが、いくら自然が好きとは言え、冬の近い山に体の弱い女の子をハイキングに行かせる事に少し疑問を覚えます。そうするとハイキングではない別の理由で連れ出したのかもしれない……と言う事も考慮に入れておきます(完全に仮説に踊らされている思考ですが)。
>りのんのために僕は生かされているのだと本気で思っていた。
いくら極限状態とは言え、半ば狂信的にこれと似た雰囲気の気持ちが出てくるので、もしかしたら主人公も両親(片親)に昔何かしらの虐待を受けていて、少し共依存的だったのかもしれません。すると主人公の内的な欠落『X』は「幸せな家庭」や「愛情」と言う可能性が出てきました。
事実、後にりのんを助けようとしていた行動原理は、本当は相手の為ではなく自分が傷つく方が楽だから言う自己本位的な理由に主人公は気が付きます。
>生物の肉を食べてしまった事を悲しんでいるのか、それとも……。
ここは答えが出てこないので、明かに意味深な地の文です。それとも、と続く事により主人公に何かしらの気付きがあると言う事ですが、りのんの何かを知っている、もしくは予想していると言う事を脳裏に浮かべている……?
「それとも」とあるので肉食以外の事を示唆している訳ですが、後に関係する部分があるので、とりあえず先に進みます。
>僕の獲った兎や猫を食べてくれるようになっていた。
兎は「月(英語でルナティックは狂気)」「多産」「性」「献身」等のシンボル的意味があるようです(Wikipediaより)。
私の推測にそった例を意図的に抽出してますが、それでもこれだけ当てはまるのは結構自分で凄いと思いました(自画自賛)。
多産……と言うより「産」の部分なのですが、これは最後に明記します。
猫が何故出てきたかは推し量る事が出来ませんでした。作者様は猫好きと言う事なので、ゲスト的に出したのかなとこじつけます(かなり無理やり)。
そしてこれは完全に余談なんですけど、鳩はまぁ奇跡的に行けるとして、野性のウサギや猫を道具もなしに捕まえる主人公凄くないですか?って言うか無理だと思うのですが……。
と言う訳で鳩やウサギや猫が「本当にその動物をさしているのか」と言う疑問の余地はありますが、一応、ここはそのままだと捕えておきます。
もしくは主人公の体の一部……とかですかね。
・この辺りでりのんが自殺してしまいます。起承転結で言う「転」に当たります。
この短い中で、そして読者に示されているゴールとしての「転」としては正にこれしかないと言う説得力です。
これが例えば最初のりのんが死ぬ所が結末で、その原因が「転」ではなんの面白みもないので、何か不穏な雰囲気が続いた中「それでこれからどうなるんだ?!」と言う期待が半端じゃないです。
四千文字とは言え一瞬たりとも集中力を研ぎらせない展開は中々できない、凄まじい技量を感じます。このPV数は納得できません。
・主人公は何故「復讐」だと思ったのか
>この感情は、そう、怒りだ。
ここでようやく冒頭の続きが出てくるのですが、このあと14行で綴られる事の中に「怒り」に関係する内容が出て来ないのです。自分がりのんを守れなかった事への不甲斐なさからくる怒りかなと思いましたが、どうも違います。
理由は怒りだ、から15行目の「復讐」でした。
>僕はもう一つの事に気付いた。りのんの僕に対する復讐に。
不甲斐なさから復讐とは思い至らないし、嫌がっていた肉を食べさせたことで相手が自分に「死ぬ事で復讐をした」と思うでしょうか、家族なのに……。明らかに過敏な解釈です。
そしていきなり復讐と思ってしまうあたり、何か後ろめたい事をしていたように取れます。そうすると、
>生物の肉を食べてしまった事を悲しんでいるのか、それとも……。
序盤のここの「それとも」に繋がる様な気がしないでもないのです。腕の中で泣く妹に対して、自分のした「何か背徳的」な行為に怯えていた、と推測します。
>この何かを犠牲にしなければ生きられない世界には不適な人間だったのだ。それは僕もある意味ではそうだった。
少し前に書いた、主人公も虐待されていた説。そして自分を守る捌け口に同じ行為を妹にも行っていたのかもしれない、と考えます。
すると主人公は妹が苦痛であった事を認識していて、それによりりのんに「逃げられてしまった」事への怒りと考えると、復讐とも捕えられます。
りのんは可哀想な兄を献身的に愛しつつ絶望し、どこか「終わらせたい」と思っていても不思議ではありません。
そこでちょっと前の台詞になりますが、
>生物はね、何かを犠牲にして生きていくものなんだ。
と 言う台詞を踏まえ、
>もしもりのんが死んじゃったら、その時はお兄ちゃまの事を大切にしてほしいの。りのんを犠牲にして生きてほしいの。
これに対し主人公は「約束」してしまいます。つまりこれでりのんは「献身的に死ねる」免罪符を手に入れる訳です。
主人公にとっては後ろめたさがあったので、これを「復讐」ととらえました。りのんは解放されたいだけでそんなつもりはなかったでしょうが、ある意味間違ってないですね。
>りのんは分からなかったのだろう。動物を犠牲にして生きる事と人間を犠牲にして生きる事の差異に。
わからなくしたのは主人公と言う皮肉、かもしれないと思いました。
>まるでまさしく社会不適合な妹だったとしか言えない。
ここで畳みかける様に妹をけなしますが……死んだばかりなのに、本当に愛していたのであればこんな風にはならないので、やはり愛情ではない別の何かで繋がっていたことが強く示唆されます。
>いい天気だった
………………………………。
本当に大事だった妹かどうかはさておき、この多大なる喪失したダメージと、もうどうしようもない未来と、ふっきれた自分と、真に絶望しか残っていないこの状態で、それを突きつける目の前の死体を見て、
「いい天気だった」
は……。
私も一応物書きの端くれなんですが、一生こういう表現は出来ないかもしれないと、嫉妬を超えた何かが苦笑いにて体に現れました。
このドライな表現。
かつ、完璧に主人公の心情を想像させる台詞。
文句なしに「先生」と呼ばれるレベルだと思います。
初見の時、リアルに一分くらいここで浸っていました。プロじゃないんですよね?ほんとに……。
>けれど、僕の腹は無責任に鳴り続けていた。この五日間、ろくに食べていないのだ。腹が鳴るのは当然だった。生きているのだから。
生理的欲求に絡めて、妹をこうしてしまったのは自分ではどうしようもなかったと言い聞かせ、言い訳までしています。
冷静ながらもかなり動揺している事が伺え、非常に面白い文です。
>りのんの肉を食べれば、少なくとも二週間近くは生き延びられるだろう。それなら、僕は……。
食べるべきだと考えた、みたいに続くと思いきや、何故そう断言しないのかが意味深に映ります。食べる事への躊躇いとも思えますが、そのあと何の迷いもなく服を脱がし始めるのでその線は微妙です。
なのにわざわざ濁すと言う事は、その意味がある気がします。
二週間あるなら、どうするつもりなんでしょうか。
そして、
>ともあれ、りのんの服を脱がせてから考えようとして、
そもそも今ここで服を脱がせようとするのは、かなり不自然に映ります。服を脱がす理由がないからです。食べるとして、人を捌く為の道具なりを探しに行くとか、火を用意するとかある気がします(極限状態なのでわかりませんが……)。
齧ろうとするにも、服を脱がすより腕とか捲った方が早い気もしますし……。
ですが、主人公は死体の服をさも当然のように脱がそうとします。
と言う訳で、書くのも憚られるくらいですが、今までの推察から「死姦」に至ろうとしているような感じがしました。主人公は「復讐」を受けて苛々していた訳ですし……。
>りのんのまぶたの中に水滴のようなものが溜まっている事に。
>りのんの命の味を感じたような気がした。
瞼、水滴、命の味、が非常に難解で、ついにはこじつけすら思い浮かびませんでした……。
ただ「命」「水」と連想するとどうしても生命を予感させる気がしたので、仮説から行くと、もしかしたら懐妊していたのかな……と思ったりもしてみます(調べたら一応十歳で初潮は来る子もいるらしいので……でも発育が遅れていたから、やっぱりこの線は薄い)
最後に明記すると言った兎のシンボル「産」もこの懐妊と結びつけています。
でもやはり瞼がどうもしっくりこないので、違いますね。一日くらいの考察では到達できない辺りも、奥の深さが伺えました。
ここで冒頭に書いた失ったものと、得たものについてですが失った物は勿論りのんで、得た物『X』は……命の味を感じた、とあるので、それに関係すると思います。
肝心な一番最後が一番難しいので、はっきりと主人公の『X』の部分がわからないのはむず痒い所です。
妹と一つになれた、とか……?いや、安っぽいな。わからない……ちょっと数日考えます(かなり悔しい)。
さらに、この作品は同題異話との事ですが……サブタイトルのALIVEは使いようによっては「存続する」と言う意味になるので、物語の外面上でのサバイバル的意味、そして死んでしまった妹は主人公の血肉となって「生き続ける」と言う意味かと思いました。
・結末は雰囲気を裏切らない、かつ抽象的で印象に残る終わり方です。これが絶対の正解……と言い切れる終わり方ではないかもしれませんが、納得のいかない読者はほとんど現れないでしょう。
題名の「色」と言う部分だけが、最後まで完全に疑問として残りました。
各論は以上になります。
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3、作品の強み(弱み)や個性だと思う所(主観多め)
・いやいや何が恐ろしいって、この普通に売っている書籍レベルの物が埋もれていると言う事実ですよ……WEBあるあるですけど、それにしても勿体ない。
WEB小説業界は本気でこういう埋もれるべきではない作品が定期的に浮上する様なシステム考案した方が良いですね。AIもどんどん発達している訳ですし……。
そうでなければ、言いすぎですけど、文学界の損害が生まれる危険性は孕んでいると思います。
・私の考察の中だけで言えば、凄く良い意味で問題作。
近親相姦、死体愛好、幼女愛好、幼児虐待、アントロポファジー、ネクロフィリアを同じ鍋で煮詰めた江戸川乱歩顔負けの作品(本当に勝手な解釈です)。ヤバすぎです。
・プロが編集まで終わったけどボツになった作品を暇つぶしに投稿して素人を遊んでいるのかと思うレベルでした。一般書籍並みに何も言う事がありませんでした……参りました!って感じです。
・本当に良く出来すぎていたので、参考文献に使わせていただくことがあるやもしれません(ほんとに)
―――――――――――――――――――
以上です!
かなり深読みさせる純文学のせいか、なんだか国語の授業をしている気分になりました。楽しかったです。
そういえば作者様は猫がお好きなようで。ちなみに高田も家族に猫がおります。雑種の黒猫です。
途中猫のくだりがあったので猫を調べていたのですが、可愛い画像や動画が目に飛び込んできて資料を探すどころではなかったです(どうでもいい)
何度も申し上げますが、素人の分析や評価なので……気に食わない所があったら「高田はわかってないな……」くらいに思って頂けると助かります。
猫柳蝉丸様、素敵な作品をありがとうございました!
次の第回は、もってぃ様の「修学旅行で出逢った、君と…」を拝見させて頂きます。
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