第4回 残響世界の聖剣譚 -VRMMOで鍛えた力で今を生きるこの世界を守ります-/気力♪ 様  前編


※イベント内容にもあるようにこれは「分析→評価」の結果であり、決して作品を否定している訳ではないのでご了承ください。


「残響世界の聖剣譚 -VRMMOで鍛えた力で今を生きるこの世界を守ります」

気力♪ 様

https://kakuyomu.jp/works/1177354054894212714


※読み始めた時点(第一話23)までの分析・評価になります。

※作者様は執筆初心者の可能性があるのでどうしようか迷いましたが、とあったので、自分でも引くくらい辛口で行かせていただきました。

でも高田の愛故です。書くことを止めないで欲しいです。応援してます。


――――――――――――――――――――



1、物語の総論


ターゲットは「ラノベ読者(特に十代前半の男性)。かつネットゲームに多少詳しい人」

 だと判断しました。

 前半だけならまだしも、後半がちょっとだけ人を選びます。私はSF好きです。


・簡単な要約

「病弱な主人公が自分の感情を模索する為に世界を救う物語」

 ちょっと飛躍していますが、面白くするならこんな感じかと判断しました。


・総轄なので最初にちょっとキツい事を言ってしまいます……あくまで一般的、基本的にはですが「何となく」で書くのはやめましょう。

 想像力を読者に「丸投げ」するのは大変危険です。意味のないシーンや会話は書かない方が無難です。用法用量を守って正しくお書きください。



・MMOミステリーアクションとの事で、個性があります。

 しかし……まだ途中なので何とも言えませんが「ミステリー」要素は見当たりませんでした。物語の根幹を揺るがす「謎」をミステリーとは言わないので、もうちょっと後に出てくるのでしょうか。

 ゲーム内では最初なんの情報も与えられず、クリアした後に「こうでした」と告げられるのですが、これはアクションゲームなので、それではミステリーではなく説明書がないただのクソゲーです……。

 ミステリーっぽく書きたいなら謎解きを詰め込むべきで、戦闘を詰め込むとただの普通のRPGになってしまいます。



・物語の本筋には要らないエピソードが多すぎます!とは言えつまらない訳ではないので、全部スピンオフにしましょう!

 理由は、ここはWEBなので読者様の取り合いが凄まじいからです。本筋からちょくちょく外れるので逃げられてしまいます。

 どうしても書きたい場合、SAOみたいにとりあえずは本筋は本筋で書いて、別の章でスピンオフ的にそれぞれのお話を書いていく方がベストなように思います(アルフォンス編とか)。

 この作品はキャラの数が多いので、そうすればそれぞれのキャラの掘り下げも圧倒的に楽です。(長親とかもっと喋るとこ見たかったよ!)



・上記を踏まえて非常に勿体ない作品です。ぶっちゃけまだ一章しかないので書き直すか話の順番を変えた方が良いかもしれないです(その際は、主人公の性格を絶対に変えて下さい!)。

 それゆえにもっと辛口になってしまうのですが、愛故ですのでご容赦ください。絶対に良くなります。



・まずこの作品、超ポジティブに言えば私小説的な地の文ですが、アクションが主なので……


 超 圧 倒 的 に 描 写 が 足 り な い ように映りました(重要!)


 明記しておきますが。ただしこれはただの表現と言うよりと判断しました。

 この作品がようになってしまった原因を考えました。

 理由は一つです。

 この作品は恐らくは作者様の「自分の物語」になっていて「誰か(つまり作中の主人公)の物語」になっていない、それ故自分の中では風景などがあるのでその部分が描かれず、全体的に曖昧になっている可能性があるのかなと感じました。


 これを解消する方法は定かではないのですが、すこしでも客観性を持たせるためにせめて三人称で書いてみる事をお薦めします。(オナニーではなくセックスするのです!)

 正直キャラの動き方もご都合主義がかなり目立つので、作者様がどう思うかではなく、そのキャラがどう思うかを想像して書くと良いと思いました。

 生き生きとしている愛らしいキャラクターは血の通った人間であり、糸が付いた操り人形ではないのです。



・具体的にはほとんど主人公の気持ちしか地の文にないので主人公の挙動すらわかりにくいのです。

 主人公が歩く挙動一つにしても、「歩いている」と言う描写ではなく「歩いている自分が今何を考えているか」が先に描かれてしまうので、何が起こっているか分かりにくい。


 その為「誰が喋っているのか分からない」「プレイヤーなのかNPCなのかわからない」「ゲーム中なのか現実なのかわからない」と言う致命的な現象が何度も起きてしまいました……(私の想像力不足と言えばそれまでですが)

 さらにそれが戦闘アクションになると「えぇと、今多分、狼が倒されたのかな?」と言う程度の認識になってしまい情報が垂れ流されるだけで臨場感がありません。

 誰かが見る物語なので「多分、これくらいはわかるだろうな」と思わずに外界の描写を意識した方が良いと考えます。

 個人的には、読者の想像力を引き出せるのは良い作家だと思いますので!



・その延長線上の事なのですが、プロローグ04で世界の説明がこれ見よがしに出てくるんですが「はい、これ読んでね、世界観の説明だよ!」と読者に丸投げするのは好ましくないと判断します。

 せっかく冒頭に戦闘があるのであれば、それに絡めてさりげなく、少しずつ説明して行く等の配慮が必要(人は物語の方が頭に入ってくるので。文献より)です。

 読者様は我儘なので「読むの面倒くさいな……もういいかな」と逃げられてしまいます。



・それに関してもう一つ(しつこい)、例えば「POG」や「デブリーフィング」と一般的ではない名詞が出て来た時に「読者は知らないかもしれない」事を予測して、それらしいアクションを起こさせる必要があると思います。(高田は知らなかったんですけど……一般的、じゃないですよね?)

 読者にわざわざググらせるとそのままブラウザバックの可能性が高まりますし、何よりその後の話が入って来ないので困ります

(POGってググったら競馬が出て来たんですけど……主人公は馬主を目指すんですか?)

 難しいですが、読者の一般常識と、自分が知っている常識の丁度いいバランスを予測して物語に設定を落とす必要があるなと感じました。



・作者様が戦闘好きで、戦闘を書きたい気持ちがビシビシ伝わって来るものの、そこはグッと抑えて、ここぞと言う時に取っておいた方が良かれと思います。

 理由は根幹の物語に意味があるような、絶対になければならない戦闘が、あまり見受けられなかったからです。

 それでも自分は戦闘が書きたいんじゃ、と言う場合は別の作品(ドラゴンボールみたいに戦闘こそがメイン)でやった方が無難かもしれません。


・通して読んだところ、プロローグは要らないと判断します(文献より)

 せめて掴みがあればよいので、書くとしたら現実の世界に侵食が起こったシーンを一瞬だけ書いて、主人公がちょっと慌てて……終わり(説明的には書かない)くらいで十分な気がします。



・人は物語が見たいので(文献より)、始まったらとりあえずは「世界の紹介」ではなくまずキャラに関心を向けさせないと読者に逃げられてしまう可能性が高いです。

 なので先に主人公を掘り下げる方が良いと思います。


「「 例としてはプロローグの05が面白いので、そこから始める。そして一旦日常に戻り2話くらい日常回(親父、御影、警察の事情聴取の回。ゲーム内の軽い戦闘と説明回。その際は御影がいるのでキャラは増やさない。増やすなら「師匠」だけ)そしたらすぐに16話(人狼が現実世界に出てくる所)につなげる。 」」


 するとかなりスマートで、緊張感の維持と、次が読みたい!感が増すと思います(主観)。そして、その後は主人公の確固たる目的(物語のゴール)を作り、主人公にとって上手く行かない展開を続けまくってください。


 何故上手く行かない展開かと言うと、主人公の思い通りに行くことは普通稀で、上手く行かない事でそこにドラマが生まれるし、読者が見たい部分なのです(文献より)。この作品はちょっと主人公への試練が足らないように思いますので……。


 ちなみに超がっつり戦闘するのは作品全体の25%くらいの方がいいと思います(掴みにするならせめて現実で戦う緊迫感のあるシーン)。

 理由はこの作品の戦闘が難しく、特殊だからです(ゲームシステムが関わる)。世界観とキャラクターの下地が出来るまで我慢した方が良いと思います。恐らく戦闘が好きな作者様には残酷な物言いですが、ショートケーキの苺は最後に食べて下さい。


 

・物語に出てくる物(シーン、キャラ、小道具、その他諸々)にはすべて出てくる理由がなければなりません(文献より)。

 それを踏まえて、


 メディに人格が存在する意味(なくても物語に支障がない)。

 ゲームの最初透明人間である意味(現実世界に影響はあるのか。ちょっとありそうですが……)。

 ゲームにポイントのある意味(これも最新話当たり見ると後々にありそうですが、一応)


この辺りが必要がどうか、物語の構造上特に気になりました(他にもあります)。なければ削除した方が無難です。



・戦闘中にメディが喋るとアクションにスピード感がなくなるので、できれば極力喋らせない方が良いと思います。

 実際喋らなくても良いシーンが多く見受けられます。

 それが作品の味になったりはしますが……一応、伏線にならない限り、戦闘に関係ない台詞は喋らない方がテンポは良くなると思います。



・何度か読み通しましたが、意味のある戦闘がほとんどありませんでした(まだ途中だからと言うのもありますが……)。

 負けても主人公が特に失うものが何もないので、毎回の戦闘が茶番に見えてします(言い方キツいかな)。

 できれば一回一回に緊張感があたえられると良のですが……



・もし理由があったら聞き流して欲しいのですが、何故狼なのかが作品の中で語られる必要があります。もしかしたら世界を終わらせるフェンリルがモデルとかあるのかもしれませんが、まだ序盤で不明なので……一応明記しておきます。

 それか感情のない主人公(後で持論を述べます)とオオカミ少年をかけているのかな……と予想。



・物語はゴール(主人公の目的)を決めて、それにそって進行しないといけません(文献より)。内面的な物はまだしも、外的な物(主人公が欲しがるもの)すら明確じゃないので、どの視点からストーリーを追えばいいかわかりませんでした。

 (例えばドラゴンボールの孫悟空は「ピッコロ」や「フリーザ」が居て、それを倒す為に旅立ちますが、この作品にはその「敵」がいない。もしくは明確にされていない)

 不可解な出来事や謎が残されつつも、それについてはほぼ進展せず、09話くらいまで物語が何も始まっていません。いくら先が長くても、そろそろこの辺りでこの作品の着地点は何処か読者に分からせた方が良いと思います(文献より)。

 それか、私の言う様にゲーム内をスピンオフで描く等。


 最新話まで、VRゲームを始めた時と世界もキャラの内面もほぼ変わっていません。あらすじを読む限りこの作品はゲーム内での戦闘と言うより、現実を侵食して行くことの面白さが重要なので、ゲーム内の出来事はそれに関わらる小道具でしかないと判断します(今の所ですが)。

 なので「現実世界への影響がないゲーム内の出来事は要らない(読者は興味がない)」と切り捨てる必要があります。

 仮にゲームの中の戦闘に意味がある場合は、既に十三万字超えているので、読者へ知らせるのが遅すぎると判断します。




・主人公に付いて

 私なりに深読みして分析しました。中々興味深いキャラクターです。


 まず外面的に欲しいものは「楽しいと思うゲーム」。内面的に欲しいものは、ざっくり言いますが「感情」もしくは「愛情」と判断します。

 内面的な欠落(感情)を埋めるため、中学生がどうしらいいのかもわかる訳もなく、父に言われた通り女の子を守っている、と言う事を遂行している。「命令」と言う言葉からもそれが伺えます。

 あと両親がいなかったり、ファザコンだったり、それ故御影を守りたいと思ったり、どこか愛情飢餓な印象も受けます。


 これは本人に自覚はないが、御影を好きだとと感じました。

 見た目の目的は「楽しいゲームに没頭したい!」でもこれは「ゲームを楽しいと思いたい」の裏返し。自分に訳で、本当は楽しいと思っていない事をクソゲーのせいにして無意識に抑えつけている。

 つまり、これは外面上はゲームが現実にリンクしてきてヤバイ、と言う物語なのですが、その実、本質としては「主人公が感情を探す物語」であるわけです。

 激熱ですよ。


 そして上気しましたが両親が死んでいるので、愛情飢餓と言う設定で、義理の父(でいいんですよね)に対してファザコンなのでしょうか。そうしたら「お母さんを求める」描写が必要なように思います。

 もしかしたらそれが御影なんですかね……。そう言う予測が正しいとすると、御影に対して母を求める主人公の描写が必要になります。

 この辺まで考えると主人公が好きになってきます。が、ちょっと難点が……


 主人公はどこか不真面目で、いつも世界を舐めきったような態度を取るのは、もしかしたら病気のせいかもしれませんが……主人公の「小物感」が否めません。

 理由を考えましたが、もっとインパクトのある「ズレ」た価値観や「突き抜けた個性」が欲しいと感じます。

 (例えば、メディの人格の必要性が見受けられなかったので、健康維持AI機能としてはあるが実際には喋っていないイマジナリーフレンドにする方が面白くなる、と提案します)。


 あと、主人公のナルシスト的性格(これが苦手な読者は絶対に多い!)で友達がいるのも違和感があるので、思い切って友達は一人もいない方がいいと思います。

 引きこもりにして、歪ませて歪ませて、人格破綻くらいぶっ壊れている方が命を軽く見ている感にも説得力が出ます(その場合、よりそれを際立たせるために御影とか別のキャラを超常識人に書く必要がある気がします)


 例えば、彼はゲームと現実がごっちゃになっている設定なので、いざそう言う風になってもそこまで狼狽しないシーンがありますね。(現実に侵食がある場面)

 これは今の所こういうシーンは安っぽく映っているのですが、この「異常さ」をきちんと描写して説得力を持たせた場合、その安っぽさを回避できる、むしろそれに成功すると「めちゃくちゃキャラが立つ」事になります。

 そうしない限り、主人公の痛々しい言動に意味を与えられないような気もしますので……。

(説得力を持たせるには、主人公がもっと一人で居るシーンや、戦闘ではなくてネットで動物が虐殺されるシーンなどを見て「ダメだ、何も感じない……」等の悩んでいるエピソードが必要に思います)


 そして現実世界とリンクする事により主人公は「おもちゃ」を手に入れる事になります。つまり、「退屈しのぎ」にやっていたインディーズゲームではなく「本当にやりたかったゲーム」を手に入れる。

 他人の死が何とも感じない、と言うより自分の死も「命そのもの」に価値を見出せない少年です。そう思う理由は、現実世界にモンスターが出て来ても「自分の命もゲームのように捨て去る気分で居られる」からです。

 だからこその「現実とゲームの区別がつかない」訳で、設定には説得力はかなりあると思います。


(でもこういう系の主人公の結末は、イキりまくって最後無様に死ぬ事こそ、読者がカタルシスを得ると言うちょっと救われない感じを予想させますが……)

 もしくはヒロインと二人とも病弱なので、VRの中で心中エンドでも良いかもしれません。

 魅せ方によっては、どこかダークヒーロー感が出ると思います。(誰も知らない所で世界を救いつつ、一人無様に死んでいく……ちょっと格好良くないですか?)


 そしてこれは明記しようか最後まで悩みましたが、書きます。

 ここまで濃厚な設定を持つ主人公が、妙に「鼻に付く」のはナルシストなだけではなく地の文やキャラ同士の「ちょっと気持ち悪い」やり取りのせいであり、そのせいで読者が物語に入り込めないと言う残念な部分があります。


 その主な原因になっている一人称の語り口は所謂「いけ好かない系」で、これは大抵の読者に嫌われる傾向にあるので感情移入が容易そうな主人公を用意する方が良いかもしれません。


 例えば体が病弱なので、性格は内向的にして「VRなら皆みたいに自由に動けるから、ゲームが好きなんだ」みたいに健気なキャラの方が同情も引けて読者からの応援も受けやすくなります(SAOにそう言うキャラが居ますが……)


 ちょっと話は変わり、体弱い設定が行かせていない気がしました。病弱だろうが、健康体であろうが物語に関係ないのであれば、要らない設定になります。病弱だからこそ悩みとかがあったりすれば良いですが……。


 18話でようやく主人公のちょっと変なやつ設定、23話で行動理由が出てくるので、もっと前にだしておくと、殺す時の無感情さに説得力が出ると思います。これが出るまでは淡々としすぎて、伏線と言うよりただ不自然なだけでしたので。


 と言う主人公の設定自体は大変素晴らしいので、あのナルシストキャラにしておくのは勿体ないです。





・今の所はですが、役割のない、物語的に意味のないキャラが出過ぎなのでスピンオフ送りにして、もっと主人公の内面を掘り下げるか、御影と二人のエピソードを描くかした方が良いと思います。



・物語上の敵はわかりやすく、外面では「現実にリンクしてくるモンスター」であり、内面は「悲しいと言う感情を持ち合わせない自分」であると判断しました。

 これが物語のテーマにもなっている「残響」とどうかかわって来るのか。もしかしたら主人公の心の何処かに感情の「残り」があり、世界を救いつつそれを見つけて行く、と言うストーリーなのかもしれないと想像させます。


・物語で必要になる「援助者」はゲーム内での仲間ではなく御影と判断しました(文献より)。


・同じように「賢者(アイテムや力、知識などを授けるキャラ)」は「おっさん」だと判断します。

 援助者と違って賢者は物々交換が基本なので(文献より)、おっさんが「主人公に協力する理由」が必要ですが、今の所明らかにされていないです。(13話)

 もしかしたらおっさんは主人公にあらかじめ何か助けられているか、貰っている可能性があるのかなぁと推測。そうすると、VR剣道の世界での顔見知りなのかもしれない、と考えました。


※ただし通して読んだ結果、マスタードマスターがこの役割を演じても構わないので、この二つのキャラを出来れば一緒にしてしまって良いかと思われます(文献より。そのキャラはいるか?合体出来ないか?)


・「贈与者」と言う役割があって、恐らくそれは親父で、その贈与物は「VR機器」だなと判断します。(例。贈与者がトトロなら贈与物は猫バス)



・物語の主人公は日常から非日常へ旅立つのが定石ですが(文献より)、この場合は日常世界(いつものゲーム)から非日常世界(ゲームが現実に現れる)と流れて行きますね。

 本来なら主人公は非日常に踏み出す時はいったん拒否するのが自然なので、ゲームが現実に現れた時、設定的に主人公の動揺はほとんどしないものの、

主人公「これ、現実なのか?」

ミディ「そうみたいですね」

(一瞬ためらう)

主人公「ま、大丈夫か。俺なら」

 みたいなくだりがあると死に対しての感情が薄いなりにも、説得力が増すと思いました。


・日常が失われる時には予兆させる物があると臨場感が出るので、いきなり狼が出てきてしまうより、伏線的な物があると良いと思います。(個人的にはそれをプロローグなりに使うと良いと思います)


・非日常がやってくる場合、ただやって来るだけではご都合主義になるのでその具体的な理由(トリガー)が必要です(出来ればそのトリガーを引く人も必要)。

 この作品では其れが描かれていないか、恐らく後に描かれる可能性が高い(AR犯罪等だと私は推測しています。一ノ瀬なんかが関わると面白そう)ので、仄めかす程度はしておかないと理由が明らかになった時に不自然に映ってしまいます(文献より)。



・定石として非日常に出た時に主人公に制約やタブーがあると面白いのですが、せっかく病弱設定なので現実では3分しか戦えないとかの厳しい壁があると、ただの戦闘にも緊張感が出ます(強敵なら尚更)。



・そういえばメディみたいな高性能AIが主人公にしか搭載されていないのは不自然ですね。主人公が難病指定で実験的に付けさせられているなら別ですが、その設定もないので他にも持っている人が居るのが自然です。

 ヒロインだし同じ病弱設定なので、せめて御影あたりは持っているといいですね。

 揚げ足取りになりますが、ここまで技術が発達しているなら、自宅、もしくは病院でVRで授業受けるのが普通な気がします。友達いない設定にできますし、だからこそVRにのめり込む理由にもなる。

 わざわざ学校に通うなら、その理由が必要になる……と思いました。





総論は以上です。



―――――――――――――――――――――



2、各論


※先に明記しておきますが、プロローグ01~04までは物語上、そしてテンポからしてバッサリとカットした方が良いと思われます。

 理由は物語の主軸に関わらない為です(なくても進行上問題ない)。ここを削ってしまう事により、読者が離れる事はかなり減ると思います。



●プロローグ01


 この作品を作者様がどう見せたいか分かりませんが、冒頭は今後の物語の雰囲気を決めてしまいます(文献より)。

 何回か通して読んだ結果、この作品はやっぱりシリアスで攻めた方が無難かと思われるので……最初のイキった感じの少年が語り部だと、ちょっと雰囲気が出ず不愉快なだけです。

 主人公の性格を変えない場合、冒頭部分だけでも三人称にした方が良いと考えます。


 この冒頭で「掴みをやりたい!」と言う気持ちは見て取れるのですが、主人公がナルシズム的に悦に入っているだけなのでインパクトがありません。全部読めばここが物語に関係した一部分と分かりますが、ここが適切な理由が見当たりません。

 この場面より少し前の……現実世界に狼が現れた所を描いて、この場面に居る主人公らしき少年はどうなっちゃうの?で終わらせた方が読者の興味を引くと思います。



>VRパルクールなどは友人たちが引くくらいにやり込んだ。


 VRパルクールがそこまで一般的ではないように思えますし、物語上関係がないのでこの部分はカットして大丈夫だと思います。剣道の下りだけで十分かと……。


>自分こと風見琢磨はVRゲーム中毒である。現実ではあまり動かない体のせいで自由に動き回れる仮想世界の中に依存しているタイプの。


 ここは重要なのでさらっと流しては不味いと思います。

 何故主人公は「ゲームが好きなのか」を描けておいたらよかったかもしれません。現実では面白いからで住んでしまうのですが、これは物語の主人公ですので深い理由があると物語も深みが出ます(文献より。内的な欠如)

 私は総論で言った通り「自分に感情があると信じたいため」と予想しましたが、作者様的にはどうでしょうか。



・この後Echo Worldの「成り立ち」が語られますが、説明の仕方がよくありません。ここではこの「ゲームの内容」を語るべきでした。

 成り立ちは伏線でない限り必要ないですし、最悪後で説明すればよい。この後十数万字に渡ってほとんど出てこない単語が連なり、そこは読者的に「どうでもいい」ので、目が滑って結局読まれないばかりかブラウザバックされる可能性があります。

 せめてこれから紡がれる世界のゲームの内容ならギリギリ許容範囲かなと考えます。



・このあと唐突にVRの世界へ入りますが、情景描写などが一切ないためVR世界に入った!と言う感動がありません。「一番最初にその世界に入るシーン」と言う物語的にかなり重要な場面なので、ここはしっかりと細かく表現する方が良いと思われます。

 作者様の思い描くVRゲームの世界が皆は見たいのです!それを是非描写して、一緒に冒険したかった。



>『推定、何かしらの基本アクションを身につけなければ先に進めないような設計になっているのかと』

 メディさんありがとう。


 このシーンですが、これは天地人(世界観、舞台、キャラ)がはっきりしていないのに、固有名詞と独自設定を出してしまうと言うミスになります(文献より)

 まずメディがなんなのかはっきりしていないので、VR世界の物なのか、現実世界の物なのか区別がつきません。

 後に現実のAIでVRの世界に持ち込める技術を用いている事が判明しますが、結構後なので読者はずっと「?」と言う状態に置かれます。これは早めに明記しておく必要があると思われました。

 余談ですけどミディって伊藤計劃の「ハーモニー」に出てくるアレみたいですね(名前忘れた……自殺の原因になるやつ。ハーモニー知ってます?)



・透明人間になりますが、その設定がいつ活かされるかわからないので、要らないかと……しかもこの設定のせいで後の「自分が見えないせいで周りも見えない」という一人称でやるのは得策ではない展開になります。



●プロローグ02

>……あー、こういうのに弱いんだよなぁ畜生! ゲームで熱くならないでどうすんだ! 馬鹿になってくぜ! 


 熱くなるのはわかるのですが、描写が少なすぎてその熱い感じが伝わってきません。嘘っぽく見えてしまうので、もう少し地の文が欲しい所です。ただし主人公の本心が当たっていれば……嘘っぽいのも伏線になる、かも。



>というか空間を食うな。冗談抜きに風で引っ張られんだよ。


 空間を食う→風で引っ張られる、と言う理論がちょっと意味不明でした。量子物理とか勉強しなきゃダメですか?

 しかも周りの描写もほとんどないので、主人公の語る結果だけが情報としてわかるだけ……しかも何故戦っているかもわからないと言う、この辺で読者が置いてけぼりになる可能性が大です。



・メディがVR世界で敵のステータスを知る事が出来たりするのが謎です。便利すぎる。欲しい。

 ここは説明がないとご都合主義になってしまいます。俺TUEEEE系を演出するとしても、ちょっと無理やり感が否めません。



>「クッ、我々を押し留める気か!」

「んー、矢を見てから避けられる距離に居るよ連中。しんどいッね!」

「ならば俺が切り開こう。盾はここにあるのだから」


 少し前に出てきた弓云々のNPCの台詞ですが、誰が喋っているかわからないし、戦闘に必要もないので要りません……。

 そもそも彼らは役割に敵にエキストラなので喋らせる必要がないのです(文献より→キャラクターには主役級、モブ、エキストラがあって、一瞬しか出てこないエキストラには存在のみが与えられます)



・そして始めて会ったキャラクターと熱い感じの会話をしていますが、感情移入できない読者は冷めた感じで見ていると思います。物語のシーン的にここの戦闘の意味がないので、出来ればすぐに収束させるべきでした。スマートに行きましょう。

 


>『無茶が過ぎると思いますけれど』ゲームなんだから、無茶も馬鹿も上等よぉ! 

『では、お好きなように』……アドバイスとかくれても良いのよ? 

『では、寄って切って下さい』何て的確なアドバイスなんだ!

 

 物語では終始、戦闘中にメディとのこのような会話がありますが、止めた方が良いです!その理由を二つ上げます。


a、戦闘のテンポが落ちる為。

b、見ていて結構痛々しいので……これが苦痛で去って行く読者様がいる可能性。


 bに関してですが、より良い作品にする為にもあえて申し上げるのですが……作品中に出てくるやり取りがほぼスベっています。ですが、それが味になる可能性ももちろんあります。

 しかしそもそもシリアスで映える作品だと思うので、そのやり取りはいれないで良いかもしれません。



>なるほど。マスターが警察に捕まった時はゲームと現実の区別がつかなかったと証言しておきます


 ここは一応伏線になっていますね。こういう感じのもっとあると主人公に付いてわかりやすくります。



>『そして、マスターのバイタルを魂側から管理している私にはマスターが剣を拾ってからその剣の命に引かれて力を出している……と思わしきデータを測定しています』


 便利すぎぃ!何故そんな事がメディがわかるの?と言う疑問しか残らないので、ご都合主義になってしまいます。もし理由があっても、やはりチートなので良くないです(もしかして作者様チート系が好きですか?)。

 出来れば主人公には困難に会ってもらいましょう。



>『ええ、氷華様とお話しする際にこういったモノを提示すると面白い反応が見られるので』


 御影が出てくるのはまだまだ後なので、ここで名前を出すのは不自然です。「こんなキャラが居るので紹介しておこう」と言う作者の意図が丸見えなので、あまり良くないと判断します。



>「まだ、終わってないわ。行くわよロックス!


 今後あまり関わる事のないエキストラの方々が喋り出す必要はないし、名前も付ける必要は一切ありません。ここの戦闘もただ長いだけで全く意味がなく、読者的には置いて行きぼりでした。



・ここでエキストラが死にまくりますが、あっさりしすぎていて勿体ないです。

 エキストラはどうでもいいのですが、そこそこ仲良くしていた奴が死にまくる、と言うシーンで、設定どおり主人公は「何も感じません」。重要なシーンなので出来ればそのことをピックアップして書くべきでした。

 プロローグは全部必要ないと書きましたが、どうしても伝えたい情報があるのであればこの部分だと思います。



>そして、俺は小鬼を捌きながら命を奪い、ただひたすらに前に行く。そこになにがあるのかはわからない。しかし、ここまできたのだから最後まで戦っていたいと思ったのだ。


 いやいや!これはご都合主義的展開です!行動原理をちゃんと挟みましょう。物語は進行も含め「なんとなく」で進めてはいけません(文献より)



●プロローグ04

>「所でここは?」「とりあえずデスペナ待機場って呼んでる~~」


 目覚めて、いきなり知らない人物との会話なので、ここで人物の外見描写がないとかなり不自然です。読者は「こいつ誰?」状態なので、話が入ってきません。



>このチュートリアルの目的なのでした」


 いや、ここでチュートリアルの説明があるのであれば何故最初になかったかの説明が付きません。ご都合主義が目立ちます。



>ガソリンを入れる入れ物でも有ればいいのだが……『掘るのですか?』 できたら掘りたい。ガソリンと火炎瓶がないとVRパルクール民は禁断症状を起こしてしまうんだ! 


 完全に意味不明です!客観的な意見ではないですが、経験からこういうやり取りは必要ないと断言できます。断言です。

 少数派にしか伝わらないネタは入れない方が無難かと思われます。そもそも全く物語に関わって来ない上に、読者的にはかなり冷めてしまいます。身内ネタって見ていて寒いですよね?それと同じです。

「年齢も性別もわからない不特定多数の人が読む」と言う事をもっと意識して書いた方が絶対に良いと思われます。



●プロローグ05


>『10:30ですね』「うわ、補導ギリギリライン。


 わざわざこの表示であれば22:30です。午前中かと誤解を招きます(ちょっと細かい指摘ですが、一応……)

 そもそも息子を溺愛している設定なのに、心臓の弱い子供に対してコーヒーを買わせに行かせる理由がわかりません。今後もそれに関して出てこないので、外に行かせるためのご都合的展開に見えてしまいます。



>つまり、“自転車も漕げねー赤ちゃんかよーwww”ということだ。泣くぞコラ。


 うーん……これも主観ですけど、このような表現は美しくないばかりか馬鹿みたいに見える上かなり寒いので止めた方が良いと思います(言いすぎかな……)。

 確かにこの作品のターゲットは十代前半ですが、それ以外の層は嫌悪感を感じて去って行く可能性が多いので勿体ないと感じます。主人公、そう言う所だぞ。



・ここでプロローグが終わりますが、ちょっと長いですね……。これだとプロローグじゃなくて、普通に一章ですよ。

 本来プロローグはなくてもよいもので、入れるとしたらほんの少し物語の重要な情報を詰め込むだけが理想とされます(文献より)

 さらに、何故戦っているかが明確じゃないので、緊張感がなく、それ故さっさと倒さないと退屈です……。







長くなるので後編に続きます!

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