第18話 四万十絶命

 2018年はeスポーツ元年だった。『ぷよぷよ』のプロリーグ『ぷよぷよチャンピオンシップ』が開かれたりした。

 一般社団法人日本eスポーツ連合『Jesu』が発足した。

 今年は『ペガサス』が開発した『インソムニアキル』ってゲームのプロリーグが開催される。睡眠不足になっていることを計測し、睡眠時間が8時間なら8000ヒットポイント、1時間なら1000ヒットポイントだ。寝れば寝るほどキャラが強くなるってシステムだ。

 ウイイレやハースストーン部門で日本は予選突破し、本戦出場してる。

 幕張メッセは熱気に包まれていた。

 全国高校eスポーツ選手権に出た少年も来ていた。海外では賞金総額26億円の大会もある。今回の賞金は15億円だ。


 ゲーマーである甲田佐助は幕張大会の予選に落ち、旅に出かけていた。京都の祇園で沖田景子という美女と出会い、ホテルにて一夜を共にする。しかし彼が目を覚ますと景子は死んでおり、直後に警官隊が駆けつけてくる。


 辛くもホテルから脱出した甲田は、景子を殺し自分を陥れた犯人に復讐すべく、ゲーマー仲間の牛尾周平の助けを借りつつ犯人探しを始める。

 そして、鞍馬にて殺人鬼である伊賀朱雀との戦いを繰り広げた。朱雀は分身の術を使い甲田を疲労困憊させた。体のあちこちが痣だらけになり、死にそうになったが朱雀はトドメを刺さずに立ち去った。

 景子の双子の姉である聖子と出会ううちに、彼は犯行を企てたのが国を裏から牛耳る有力者、四万十であることを突き止める。四万十と共犯者の庄内は、悪徳障害者施設『アザミ苑』のケアマネージャー、沖田景子を餌食にした。施設は犬山市にある。

「新幹線が無料ってのは実にいいね?」

 四万十は八坂神社の石段の上から夜景を眺めていた。

「うん、そうだな?」

 庄内は感情のこもらない声で言った。妻の海絵が流産してしまったのだ。海絵は無事だったが、新しい命は儚く消えた。それ以来、庄内は口数が少なくなった。庄内が景子を麻酔銃で撃ち、四万十がロープで絞殺した。 


 甲田は新京極通を歩き回って景子の縁者を探し、彼を犯人と思い込む聖子の誤解を解いて、全てが現実である事を確信する。その強面のせいで一度も女を抱いたことがなかった甲田を、打算づくとはいえ景子は愛してくれた。甲田は一度は敗北した伊賀朱雀に逆襲して彼を生きたまま解体して犬に喰わせ、友人のストリッパーである中村彩に聖子を預け、ついに四万十の泊まってる烏丸御池の宿に乗り込む。 

 

 甲田は四万十をベレッタM92Fってオートマチック拳銃で射殺するも、警官隊の銃撃を受けてしまう。


 一命を取り留めた甲田は、四万十たちの分まで罪を着せられ、刑務所で処刑を待つばかりの身となった。そんな甲田のもとを聖子が訪れる。甲田は彼女を景子と勘違いしたことを謝罪するが、聖子はそのまま彼と一夜を共にする。翌日、甲田は三条河原で後頭部を銃で撃たれて処刑されるが、彼の脳裏には景子との一夜が焼き付いていた。


 死刑宣告を受けながら顔を変えて上野に戻ってきた男、竹内高春。竹内は益子洋という派遣社員を轢き殺してしまった。事故だったが、死刑になった。派遣社員に粗末な扱いをすると最悪、死刑になることもある。

 竹内は蒲原博己と名を変えていた。

 BLな仲である日比谷涼介に手下と共にしつこく付きまとう矢本里帆に対し、アメ横で竹内はきつい制裁を加えて追い返すことに成功する。しかし、妙な胸騒ぎを覚えた竹内は、日比谷の制止を振り切って彼らの車を追いかける。


 矢本里帆は竹内の元恋人である濱田健二が仕切る御徒町の娼婦街へ赴く。彼女はそこで見つけた娼婦、脇本美波を無理やり連れて行こうとして拳銃を取り出すが、脇本美波は派遣社員だった。

「おまえ、カマじゃないのかよ?」

 里帆は美波がボーイッシュな為に男と勘違いしてた。

「ひどいこと言うわね!?」

 彼女は娼婦街を警備する殺し屋の窪田建夫によって手下もろとも殺害されてしまう。ところがそこで矢本里帆の正体は刑事であることが分かり、濱田健二たちはお互い干渉せずという警察とのルールを破ってしまった事が発覚する。このままでは娼婦街は昔の無法地帯に逆戻りしてしまう。


 竹内は娼婦街を救うため証拠の隠滅を図るが、娼婦街を手に入れようとするマフィアが彼を狙う。不忍池に矢本里帆の死体を沈めようとした竹内はマフィアが雇った傭兵部隊の襲撃を受け、危ういところを窪田建夫によって救われる。


 しかし、脇本美波の裏切りによって情報を掴んだマフィアの用心棒、桐谷五郎一味が、既に娼婦街へと乗り込んできていた。人質となった濱田健二との交換で、竹内は矢本里帆の死体を一味へ引き渡す。その死体には爆弾が仕掛けられていた。一瞬の不意をついた竹内は娼婦たちと協力し、桐谷一味を皆殺しにして濱田健二を救い出す。 斯くして、警察との協定違反の証拠となる矢本里帆の死体は始末され、桐谷一味の末路は娼婦街を狙うマフィアの大ボスへの見せしめとなった。娼婦街の治安は保たれたのである。


 卵巣ガンを持つ警視庁捜査1課の女刑事、立花りえは、連続女性殺人犯である神木陽介を上野公園に追い詰めて重傷を負わせ、中村彩を助けることに成功する。ところが相棒である岬剛志に裏切られ、銃で撃たれてしまう。立花りえは中村彩を救えた事を確信しながら、意識を手放す。


 しかし、立花りえは重傷を負いながらも生き長らえていた。

 四万十修の父親である四万十文夫議員の復讐として、立花りえは連続幼女殺人の犯人にされてしまう。だが救助された中村彩だけは立花りえを信じ、彼女に手紙を送り続けた。立花りえはその手紙を支えに尋問に耐え続ける。


 それから1年後、中村彩からの手紙が途絶え、彼女が再び狙われていることを知った立花りえは、罪を認めて刑務所から出所し、中村彩に会いに行く。

 再会を喜ぶ二人だが、その近くには治療の副作用で醜く変貌した四万十修が潜んでいた。甲田に殺されたが、ある人間が『蘇生』の魔法を使った。

 中村彩が狙われているというのは、立花りえを動かして彼女の居場所を突き止めるための罠だったのだ。


 ふとした隙を突かれた立花りえは、中村彩を四万十修に誘拐されてしまう。

 四万十修は中村彩を隅田川沿いの廃墟に閉じ込め、立花りえを待ち伏せる。立花りえは四万十修の手下を一人ずつ始末しながら、必死に廃墟へ向かう。


 立花りえは苦戦を強いられるも、死闘の末に1年前と同じく四万十修を倒して撲殺し、再び中村彩を救い出す。しかし息子を失い家系を絶たれた四万十文夫議員は、執拗に復讐を企むだろう。そうすれば中村彩も危ない。


 中村彩を神奈川にある夕凪へと逃した立花りえはガンが悪化して死亡した。

 

 

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