第5話 小学校
電車で小一時間ほど揺られて、シンとエイトが出会った小学校へ向かった。土曜日なため、小学生はおらず閑散としている。フェンス越しにじっと中を見ていると、玄関口に誰かが現れた。最初、その人物はシンのことを警戒していたが、近くにつれ、笑顔になった。「やや、正木くんじゃないか!!何年ぶりだい?」と、両手を挙げて喜んでいる。シンははて、と内心首を傾げ、目の前でにこにこ笑う初老を思い出そうと試みた。
「僕が担任していたのは小学二年生の時だったからね〜〜いやあ、大きくなって。」
その人物が自ら素性を明かしてくれたため、シンはすぐに誰だか思い出すことができた。シンが小学校二年生の時に担任の先生だった宇津井先生だ。エイトとはまだこの時は知り合っていない。
「お久しぶりです、宇津井先生。お元気そうで何よりです。」
「もう俺も年だよ。最近はあちこちが痛くて仕方がねえ。……そうだ、なんでまたここに?」
「いや、あの……」
シンが少し気まづげに目を逸らし、足元を見ながら「四季エイトとの思い出を巡ろうかと思いまして。」と言った。そこまで言えば宇津井先生も合点がいったようだった。
「残念だよね、本当に。そうか、そうか……。そういうことなら、ちょっと見ていきな。そっちに行けば門があるから今開けるよ。って、言わなくてもわかるか。」
ははは、と笑いながら先生もシンと並んで門の方へと向かった。
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